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第213回:メールヘッダ とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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■ メールヘッダとは
メールヘッダとは、Eメールに記されているデータです。送り主のメールアドレス、返信時に送って欲しいアドレス、メールの題名など送り先のメールソフトが記録した情報のほか、メールを中継したサーバーが残した通過時間などが記録されています。
メールを受信したメールソフト、携帯電話などは、このヘッダ情報を参照して、メールの題名や送信者の一覧などを表示します。
インターネットでのさまざまデータのやりとりの手順(プロトコル)は主にRFCと呼ばれる技術文書で規定されています。メールヘッダをどのように書くかは、現在は「RFC 2822」という文書で規定されています。携帯電話でも、Eメールの仕組みを利用したメールでは、この手順に従ってメールヘッダなどの情報が記録されます。
■ メールが配送されるには
インターネットや、携帯電話で、メールを送信するための手順はいくつか知られているものがありますが、その中でももっとも一般的なSMTP(Simple Mail Transfer Protocol、簡単なメール転送手順の意)を例に挙げて説明しましょう。
メールは、メールの中身の文章だけで送られるわけではありません。メールを送るには「誰に送るか」「メールの題名は何にするか」などのデータも必要になります。インターネットメールでは、本文に加えてメール題名や差出人、送り先のデータをメールヘッダとして記録します。
パソコンや携帯電話は、SMTPサーバーにアクセスすると、誰に送りたいかなどをメールサーバーに伝えて、データを送出します。受け取ったメールサーバーは、メールデータに「エンベロープ」と呼ばれるデータをつけて、次のメールサーバーに渡します。エンベロープとは「封筒」の意味です。
さて、さらにメールサーバーは、メールヘッダ部分に、自分にアクセスしてきたマシン(この場合はメールサーバーにアクセスしたパソコンや携帯電話)の情報、ホスト名などをヘッダ部分に追加します。そして、メールサーバーから次のメールサーバーへはエンベロープという封筒に入れられてメール本体が送られます。最終的にエンベロープデータは、受信側のパソコンや携帯電話がアクセスするメールサーバーで捨てられます。
ちなみに携帯電話では、メール受信する際に必要なメールの題名、メール送信者といった最小限の情報だけを残し、発信元のアドレスなどの情報は捨てていました。というのも、これまでの携帯電話では通信速度が遅く、通信に使用したパケット量を基準に課金されていたので、データ量の多くなるヘッダの大部分は捨ててしまった方が時間もお金も節約できるからです。
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メール配送の仕組み。途中経路のサーバーが、発信元のアドレスなどを記録している。そのため、ヘッダ情報があれば、相手がどのプロバイダに接続してメールを送信したかなどの情報が得られる
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■ 迷惑メールの対策などにメールヘッダを使う
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Outlook Expressで表示させた、迷惑メールのメールヘッダの例
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メールヘッダの情報が使えるようになると、たとえば、迷惑メールなどの対策に利用することができます。
従来、メールの送信者欄(送った人のメールアドレス)は、Aというプロバイダの回線から送信しているにも関わらず、Bというプロバイダから送信されたように簡単に偽装できます。これは、自己申告したデータがメールの送信者欄にそのまま使われてしまうからで、単純にいえば「Bを使っている」とメールソフトの設定を変えるだけでよかったためです。
たとえば、パソコンのメールで「Outlook Express 6」を利用している場合、メールのヘッダ情報は、
1.メール一覧の中からヘッダを参照したいメールを右クリック。メニューから「プロパティを選択」
2.ウィンドウの「詳細」タブを選択
という手順で見ることができます。ここを見れば、送信者のメールアドレスだけではなく、送信元や中継されたメールサーバーといった情報がわかります。
これらの情報が入手できれば、迷惑メールを発信した際に接続していたプロバイダがわかりますから、そのプロバイダに連絡して止めさせることが可能になるというわけです。迷惑メールの送信行為は、規約で禁じられているプロバイダがほとんどですので、このような指摘をすると、たいていのプロバイダは該当ユーザーに注意を行ないます。実際には悪質な場合には退会処分などを下す、などということも行なわれているようです。
携帯電話では、多くの携帯電話ではヘッダ情報がサーバーで捨てられていましたが、NTTドコモの携帯電話では、3月23日から、オプション設定によってiモードメール本文にヘッダ情報をつけたまま受信できるようになります。こういったサービスは、auやボーダフォンでも迷惑メール防止対策の一環として既に提供されています。
■ URL
NTTドコモ iモードメールのヘッダ情報提供について
http://www.nttdocomo.co.jp/info/meiwaku/header_info/
KDDI(au) Eメールヘッダ情報表示機能
http://www.au.kddi.com/notice/meiwaku/email/header/
ボーダフォン 迷惑メール対策 ヘッダ情報の確認方法
http://www.vodafone.jp/japanese/information/spam_mail/info/040122.html
■ 関連記事
・ ドコモ、iモード宛メールのヘッダ情報付加サービス
(大和 哲)
2005/02/15 14:07
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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