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第194回:パブリックコメント とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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パブリックコメント(public comment)は、意見募集とも言います。政策などの立案などを行なう際に、その案を公表して、関係者の意見を募るという制度です。この制度には、立案者が政策に影響を受ける人や事業者なとから多様な意見や情報を集めることができ、また、方針の意思決定過程における公平性の確保や、透明性の向上を図れるというメリットがあります。
現在、国や自治体、団体や機関など、さまざまなレベルで方針決定の際にこのパブリックコメントの手続きが行なわれ、各方面から提出された意見などを考慮して最終的な意思決定に反映させています。
特に、日本の行政では、平成11年に「国の行政の規制の設定又は改廃に係る意見提出手続(パブリックコメント手続き)」に関する閣議決定で、迅速性・緊急性を要するもの、あるいは軽微なもの以外に関しては、国の行政機関が新たな規制を設けたり、また規制の内容の変更や廃止しようとする際に、この“パブリックコメント手続き”によって、広く意見募集することが必須となりました。また、新しい規制案が、パブリックコメント手続きの対象以外とされた場合には、判断の説明責任などを負うとされています。このため、平成11年の閣議決定以降、多くの省庁が方針決定などのためにパブリックコメントを集めるようになりました。
■ パブリックコメントの手続き
国の行政に関しては、このような方法で、パブリックコメント手続きが行なわれます。
まず、行政機関(たとえば、携帯電話や電波関連に関しては総務省)が規制に係る政令、府令、省令、告示、行政手続法上の審査基準、処分基準について、案を作成します。
行政機関が、その案と、なぜそのような案になったのか、理解しやすい資料を以下のような方法を使って公表し、意見情報を募集します。
・ホームページへの掲載
・窓口での配布
・新聞・雑誌等による広報
・広報誌掲載
・官報掲載
・報道発表
公表の後、国民が意見・情報を提出します。“国民”とされていますが、企業や団体からの意見も受け付けています。過去のパブリックコメント手続きでは、海外の団体が送ってきた例もあります。なお、意見はメールやFAXなどで受け付けられています。
意見の募集が行なわれると、行政機関は取り入れるべき意見・情報に基づき、案を修正します。取り入れない意見・情報に関しては、その理由を整理します。これらは案の公表と同様の手段で行なわれます。
そして行政機関が、政令等の案を確定します。
なお、総務省の発表によれば、平成15年度の実績でパブリックコメント手続きが行なわれた案件は501件。軽微であることや、迅速性・緊急性を要することを理由に意見提出手続を経ないで意思決定を行なったものが18件ありました。
パブリックコメント手続きによって集められた意見・情報を受けて政省令等を修正事項がある案は90件で、全体の18.0%がこのパブリックコメントによって修正されてから確定したことになります。
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パブリックコメントの流れ
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■ 携帯電話とパブリックコメント
携帯電話関連の政策に関するパブリックコメント募集は、管轄官庁である総務省より、既にいくつも行なわれています。たとえば、2006年導入とされる携帯電話の番号ポータビリティ制度についても、今年4月にパブリックコメントが募集され、それを踏まえた報告書が提出されています。
最近募集された案件としては、総務省が、8月に公表した「800MHz帯におけるIMT-2000周波数の割当方針案」に関するものです。この案は“800MHz帯の電波をどのような用途に割り当てるか”という目的に添った再編案です。総務省は、Webサイトや同省の連絡先窓口から、方針案を配布しており、郵便やFAX、電子メールで意見募集を行ないました。
現在、800MHz帯は、CDMA2000 1x方式やPDC方式の携帯電話などで使われています。また、地域防災無線や空港無線電話、航空機無線電話などにも利用されています。
再編案の内容ですが、総務省では、現在空いている第3世代の携帯電話(IMT-2000)には、815~845MHz、および860~890MHzを割り当て、これまで800MHz帯を利用していた事業者(NTTドコモとKDDI)に割り当てたい、としています。
総務省の説明によれば、短期的に割り当てられる枠が確定しているのはこの815~845MHz、および860~890MHzのみとなっています。しかし800MHz帯は、航空機無線電話が廃止され、地域防災無線が260MHz帯に、空港無線電話は400MHz帯へそれぞれ移行することになっており、将来的にはこれらの帯域を携帯電話用に割り当てられる可能性もあります。
また、帯域を効率的に使うためには、割り当てが確定している2つの帯域は狭く、多くの事業者に細分化して割り当てるのは技術的に好ましくないことから既存事業者に割り当てるという案になったとしています。
これに対して、3Gの携帯電話に新規参入を計画しているソフトバンクBBが、同社のインターネット接続サービスであるヤフーBBおよび、系列の電話事業者である日本テレコムのユーザーに向けて、「パブリックコメント」で総務省に対して意見を提出して欲しいと呼びかけるなどして、話題となりました。
■ URL
規制の設定又は改廃に係る意見提出手続(総務省)
http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/tetuduki_03.html
■ 関連記事
・ ソフトバンク、800MHz帯の再編についてパブリックコメントを呼びかけ
・ 総務省、800MHz帯の3G向け割当方針案を公表
(大和 哲)
2004/09/07 12:49
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