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第192回:AVC/H.264 とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


5月に開催されたNHKの「技研公開 2004」では、MPEG-4とAVC/H.264の比較を行なっていた
 「AVC/H.264(ISO/IEC 14496-10 MPEG-4 Part10 Advanced Video Coding/ITU-T Rec. H.264)」は、国際標準化団体であるMPEG、ITU-Tとの共同標準化組織JVT(Joint Video Team、合同ビデオチーム)で策定され、標準化された、新しい動画のデジタル符号化技術です。

 MPEG規格として見た場合、この規格はMPEG-4の追加規格である「MPEG-4 Part10 Advanced Video Coding」となり、ITU-Tの標準規格として見た場合は「H.264」であるため、この両方の名前を合わせて「AVC/H.264」あるいは「H.264/AVC」と呼ばれます。

 なお、この規格はISOでも標準化(ISO/IEC 14496-10)されているため「ISO/IEC 14496-10 AVC(Advanced Video Coding)」と呼ばれることも稀にあります。

 「H.264/AVC」は、地上デジタルテレビ放送の中でも「1セグメント放送」と呼ばれる、携帯電話やPDAなどの携帯端末向けの放送で使用されることで知られています。

 また次世代のDVDである「HD DVD」を推進するDVD Forumで、高圧縮コーデックにこのH.264/AVCが承認されたほか、米アップルコンピュータが来年リリースする「QuickTime」に「AVC/H.264」を採用するなど、現在注目を集めているコーデックでもあります。


標準以下の画質で高圧縮率を行なうコーデック

 動画の圧縮技術では、他の画像・動画符号化技術と同様に、画像の冗長な部分のデータ量を少なく表現することで、画像データを小さくします。MPEG-2やMPEG-4でもこれは同様ですが、「AVC/H.264」では、より緻密に複雑に計算することで、データの圧縮率を高めています。

 また、AVC/H.264では、これまで使われている圧縮技術に加えて、サブマクロブロック分割、イントラ予測、デブロッキング・フィルタなど新しい技術も利用してデータ圧縮性能を向上させています。

 MPEG-4の回でも解説しましたが、たとえば、ある時間の画像にあった画像の一部が次の画像では別の地点に動き、またその次の画像ではさらに他の地点に動いている画像(動画)があるとします。この場合、1つ1つの画像データを記録するのではなく、最初の画像に含まれるブロックが「時間ごとにどこへ動くか」をデータとして記録することで、データ量を圧縮します。

 MPEG-2やMPEG-4では、ブロックのサイズは一定でしたが、「AVC/H.264」では、より小さなブロック(サブマクロブロック)を組み合わせて、普通のサイズのブロック(マクロブロック)を表現することができるなど、柔軟なデータの表現が可能になり、より複雑な動きを少ないデータで表現できるようになっています。これが「サブマクロブロック分割」です。

 また「イントラ予測」という機能では、これまではなかった同一フレーム内での予測も行なっています。

 さらに、「デブロッキング・フィルタ」は、圧縮によって歪んでしまった画像の見栄えを向上させます。デジタル圧縮の際に画像をブロックごとに区切って扱うと、ブロックごとに色や輝度が違ってしまうために、人間の目には、機械が区切ったブロックが判別できてしまいます。これは俗にブロックノイズと呼ばれるのですが、デブロッキング・フィルタでは、隣り合った2つのブロックが自然につながるように画像を調整します。この仕組みによって、高い圧縮率で縮めたデータでも鑑賞できる画像を作り出せるのです。

 これらの技術を利用することによって、「H264/AVCで」は、特に標準以下の画質の動画像の場合、高い圧縮率でデータ量を少なくしながら比較的緻密な画質を保てるようになりました。おおよその目安として、標準画質のテレビ画像をデジタル化した場合、MPEG-2方式に比べて2~3倍の圧縮性能を、また標準的なMPEG-4方式に比べても1.5~2倍の圧縮性能になる、とされています。

 ただし、画像データの圧縮や解凍のために必要な計算量は、MPEG-4などに比べても非常に多くなります。特にモバイル機器のようにマシンパワーが限られている機械でこのコーデックで作られた画像を再生する場合、搭載するマイクロコンピュータの性能や電池の持続性が課題になるかもしれません。



URL
  MPEG LA 「AVC/H.264」関連ページ
  http://www.mpegla.com/avc/

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(大和 哲)
2004/08/24 15:07

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