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第186回:加速度センサー とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 加速度は、「速度が一定時間あたりにしてどれだけ変化したか」を示す値です。加速度センサーは、この「加速度」を検知するセンサーです。どの程度精密に測るか、あるいは、どの程度まで大きな加速度まで計るかなどによって、さまざまな方式や大きさのセンサーがありますが、最近では、非常に小型で耐久性もあるセンサーが開発され、携帯電話にも搭載されるようになりました。

 現在、NTTドコモの「らくらくホンIII(F672i)」、ボーダフォンの「V401D」にこのセンサーが搭載されています。


さまざまな応用がある加速度センサー

ボーダフォンの新端末「V401D」にも加速度センサーが搭載されている
 この加速度センサーという機械は、非常に多くの用途に使えます。たとえば、そのセンサーが搭載された機械を持った人が歩くと、「動いた、止まった」ということを知ることができます。動き始めるときには進行方向に加速がかかりますし、また、止まるときには逆に進行方向に対して減速(つまりマイナスの加速)がかかるからです。

 この加速度センサーの応用例として、身近なところでは、歩数計に使われています。進行方向に対して、ある時間内に加速・減速すれば一歩とみなすという設定であれば、歩数をカウントできるわけです。実際に、加速度センサーを搭載した携帯電話のF672i、V401Dにはどちらにも、このセンサーを使った歩数計機能が実装されています。

 また「V401D」では、カメラにおける「手ぶれ感知モード」という機能にもこの加速度センサーで計測したデータが使われています。上下左右の加速度を携帯電話が察知し、手ブレで携帯電話が動いている間は、たとえシャッターボタンを押してもその間は撮影されず、止まったところでシャッターが切れるようにすることで、写真撮影の際にぶれた写真が撮れてしまうことを予防できるのです。

 また、加速度センサーは動いたか動かないかだけではなく、どのくらい大きな力で動いたかを数値として知ることもできます。たとえば自動車には非常に大きな加速度まで計れる加速度センサーが搭載されていて、普段は何もしませんが、このセンサーで、非常に大きな加速度を感知したとき、つまり車が事故などで急に止まったなどのときにエアバッグを膨らませる、というように使われています。

 携帯電話の加速度センサーは、それほど大きな値を検知できるわけではないので、「衝突を知る」というような使い方はできませんが、普通に歩いているか、走ったか、ジャンプしたかくらいは見分けることができます。現在の携帯電話には実装されていませんが、Javaなどで加速度の大小を見分けてデータを蓄積していくプログラムを作れば「今日の歩数のうち、走った(ジャンプ)したのは何歩か」をチェックできる歩数計アプリも実現できるでしょう。


傾きも検知できる

 このほか、加速度センサーを使うと、物がどのくらい地面に対して傾いているかを知ることもできます。地球には、重力があり、1G(約9.81m/s2)の力で地上の物を地面に引っ張り続けています。

 加速度センサーは、軸方向といって、センサーから見て“ある方角”に「どのくらいの加速度がかかっているか」を数値として得られます。ちなみに、一度に検知できる軸方向の数によって「1軸」「2軸」「3軸」という言い方をします。「F672i」や「V401D」に搭載されているセンサーは、どちらも2軸の加速度センサーです。

 1つめの軸(X軸とします)が0G、2つめの軸(Y軸)が1Gの加速度を検知した場合、このセンサーはまっすぐY軸方向に立っていることがわかります。逆に、1つめの軸(X軸)が1G、2つめの軸(Y軸)が0Gの加速度を検知した場合、このセンサーはまっすぐX軸方向に寝ているということになります。もし、45度に傾けている場合、X軸方向には「1G×Sin(45°) = 約0.707G」が検知され、Y軸方向にも同じく約0.707Gが検知されるはずです。



 この「センサーが自分の傾きや、地面方向を知ることができる」という性質を利用して、「V401D」では、携帯電話が、自分がどちらの方向を向いているかをチェックして、写真の天地を自動的に調整して表示する「オートターンピクチャー」や、待受画面で携帯電話を傾けたときに、その方向へキャラクターが移動する機能が実装されています。


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(大和 哲)
2004/07/06 11:58

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