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第177回:Opera とは
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大和 哲 1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら。 (イラスト : 高橋哲史) |
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Operaは、ノルウェーのOpera Software ASA社が開発・提供しているブラウザソフトです。パソコン向けWebブラウザというと、マイクロソフトのInternet Explorerが圧倒的なシェアを占めていますが、そんな中でもOperaはその性能から根強いファンを持つブラウザです。
ちなみにパソコン版Operaは、使用中にバナー広告が表示されるものの無料で利用することができます。ライセンスキーを購入すると広告を消して利用できるようになります。
Operaには、Windows、Mac OS、Linuxといったパソコン向けOS上で使えるバージョンのほかに、携帯機器で使用できるバージョンもあります。携帯電話・PHSでは、日本で先日発表されたDDIポケットの京セラ製AirH"PHONE端末「AH-K3001V」で初めて採用されました。海外では、同じく京セラ製で中国の小霊通(PHS)向け端末で採用されているほか、Nokiaの携帯電話に対応するバージョンが用意されています。
■ Operaの特徴
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Windows用OperaでのWebの縮小表示
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Windows用OperaでのWebの拡大表示。どのような画面でも、大きさを変更しつつ、かつ違和感なくWebを表示させることができる
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パソコン版Operaの特徴としては
・HTML、XHTMLで書かれたWebを表示できるフル機能のWebブラウザ。
・他の一般的なWebブラウザと比較すると、プログラム容量が小さく、限られたリソースでさまざまな機能を使うことができる。
・タブブラウザとなっているので、ウィンドウを開きすぎてページが見づらくなることがない。
・柔軟な表示拡大縮小機能を持っている。
といった点が挙げられます。
この特徴の多くは、携帯電話版Operaにもしっかり引き継がれています。これまで携帯電話に搭載されているブラウザは、パソコンなどで使われているフル機能を持ったHTMLではなく、たとえばCompact HTMLや、HDML、WMLといったサブセット、あるいは用途が限られた専用言語で書かれたページしか表示できませんでした。パソコン用に作られたWebページを表示させようとすると、レイアウトがおかしくなったり、表示がおかしくなったり、はたまた表示できなかったりするというようなこともあり得ました。
Operaが搭載された「AH-K3001V」では、Compact HTMLだけでなく、フル規格のHTML、そしてXMLの一種であるXHTMLなどで書かれたWebページを正しく解釈して表示することができます。つまりこの端末は、携帯電話用のコンテンツだけでなく、パソコン用に作られたホームページや掲示板、あるいはXHTMLが使われているブログ、iモード用XHTMLで書かれたFOMA用サイトなどを正しく解釈して、閲覧できるのです。
また「AH-K3001V」では、パソコン向けWebサイトを携帯電話の画面上で、パソコンで見るのと同様に表示させることもできます。これまでの携帯電話に搭載されていたブラウザでは、仮に解釈できるCompact HTMLの文法範囲内で書かれていたとしても、パソコンと同じように表示することはできませんでした。たとえば、表を作って画面上で文字を配置しようとしても、携帯電話では表示できる文字数自体が少ないため、作者の意図したようにレイアウトされるとは限らないのです。
Operaでは、「SSR(Small Screen Rendering、スモールスクリーンレンダリング・小さい画面でのレンダリングの意)」という技術を使って、この問題を解決しています。これは、携帯電話の画面上で表示させるページを任意の大きさに変更できるという柔軟な表示拡大縮小機能です。たとえば携帯電話の画面上にWebページをまるまる収めてしまったり、あるいは、画面からはみ出すような大きな仮想画面上にWebページを表示して、のぞき窓のように携帯電話の画面上に一部だけを表示するというようなことも自在にできるようにしたわけです。
ちなみに、この画面の柔軟な表示拡大縮小機能は、パソコン版Operaでは、バージョン7以降で使うことができます。コントロールキーを押しながら、マウスのホイールを動かすことで表示の拡大縮小の切り替えられます。
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「AH-K3001V」で本誌を表示させたところ。パソコンで見た場合と同じレイアウトでも閲覧可能だ
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また「AH-K3001V」では、フル機能のHTML 4.01で書かれたデータを解釈できるだけでなく、ページ上に書かれたプログラムを端末上で実行するための「JavaScript」、セキュアなWebサイトにアクセスするための「SSL」、サーバーがアクセスしてきたユーザーを見分けるための「Cookie」など、パソコン向けWebサイトではよく使われている仕様にも対応しているため、パソコン用のサイトをそのまま携帯電話で使うことができます。
具体例を挙げると、パソコンでアクセスするWeb掲示板などでは、いたずら目的の書き込みなどを防止できるように、サーバーがCookieを送って、掲示板にアクセスした端末を1台ずつ見分けることがあります。携帯電話の端末では、一般的にはこのCookieに対応しておらず、たとえばサブスクライバIDのような携帯電話固有の情報を利用するなど、パソコンでは使えない方法で同じような仕組みを作って問題を解決するようになっています。しかし、そうすると、携帯電話用ではパソコン用のコンテンツは利用できず、逆にパソコンでは携帯電話用のコンテンツは利用できないことになります。
携帯電話でCookieを使うことができるようになると、表示だけでなく、そのような「制御の」部分もそのまま使うことができるようになり、結果的に、パソコン用のコンテンツをそのまま携帯電話で使うために役立つのです。
■ URL
Opera Software ASA
http://www.jp.opera.com/
■ 関連記事
・ DDIポケット、待望の新型AirH”PHONE「AH-K3001V」
(大和 哲)
2004/04/28 12:31
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