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第111回:CCD とは
大和 哲 大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


ケータイのカメラ機能にCMOSと並んで利用されるCCD

「J-SH52」
 最近ではカメラ機能の搭載された携帯電話が増えてきました。この携帯電話のカメラ機能ですが、デジタルカメラ同様に携帯電話内に搭載されたイメージセンサーによって捕らえた光をデータに変換しています。それを携帯電話内のマイクロコンピュータやDSP上で実行されるプログラムなどによって整形した後、サーバーに転送したりメールに添付するなどの形で利用しているわけです。

 このイメージセンサーデバイスとして、現在最も多く利用されているのはCMOSイメージセンサーなのですが、このほかの方式ではCCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)というものがあります。

 最近ではCCDカメラが搭載された携帯電話も増えています。最近のものではJ-フォンの「J-SH09」「J-T51」「J-P51」「J-SH52」などがCCDカメラを搭載しています。


CCDの仕組み

 「電荷結合」という名前の通り、CCDとは、電荷が素子間をバケツリレー式に転送されるデバイスです。カメラは、画像を撮影する際に、レンズから筐体の内部に入ってきた光を利用します。フィルムを使う光学式のカメラであれば、光を受ける部分にフィルムが入っています。携帯電話のカメラ機能はデジタルカメラなどと同様に、光を受ける部分にイメージセンサーと呼ばれるチップが搭載されており、これが光を電気信号に変えています。

 実際に光を電気信号に変換するのは「フォトダイオード」という半導体の仕事です。イメージセンサー上にはびっしりとフォトダイオードが配置されています。ここで発生した電荷は何らかの形で読み出されないとデータとして利用することができません。そこで、CCDでは電荷をバケツリレー式に転送して、画像データを利用するデバイスで読み込みができるようにしているのです。

 そのようなわけで、本来の撮像素子である「フォトダイオード」とCCDとは別の仕組みなのですが、CCDを利用した撮像素子のことを「CCD撮像素子」と呼ぶのが一般的です。

 携帯電話用のCCDイメージセンサーとしては、三洋電機から1/9型という非常に小さいものが発表され、出荷が始まっていることが過去のケータイWatchの記事などにも掲載されています。また、他メーカーでは、富士写真フイルムが、画素をジグザグに並べてハニカム配列にすることで、フォトダイオードを大型化し、感度の向上を狙った「スーパーCCDハニカム」といった製品も発表されています。


感度がよいことがメリット、消費電力の差は縮まりつつある

富士写真フィルム製「スーパーCCDハニカム」
 CCDの特徴としては、一般的に光に対する感度が非常によいということが挙げられます。イメージセンサーの感度は、光に対してどの程度敏感に信号電荷が発生するかといった点と、それぞれの素子から得た画像にどれだけノイズとなるデータのばらつきが出てしまうかということに影響されますが、CCDイメージセンサーでは、フォトダイオードが光を電荷にし、それをCCDが転送することで、内部の電荷はほぼ完全に転送され、ノイズがほとんど発生しないという有利な点があります。

 ちなみにCMOSセンサーもシリコン基板上で同じように光を電荷にするわけですが、単位画素内に出力を増幅するためのアンプ回路が組み込まれていて、その性能のばらつきがノイズとなります。そのため、CMOSイメージセンサーではノイズキャンセル回路を組み込むことで、撮影した画像を補正しています。

 このため、CCDは一般的にCMOSイメージセンサーよりも画質の点で有利であると言われています(もちろん、個々の製品レベルになれば、設計の良し悪しなども絡んできますので、一概にこれが決定的な性能の差となるわけではありません)。

 また、CCDイメージセンサーでは、CCD自体が電荷保持機能を持っています。つまり、CCD自体がバッファメモリのような役割を果たしており、画素数の多いデジタルカメラなどでは、他のデバイスがイメージセンサーから画像データを読み取る際に時間がかかってしまっても、ある程度はCCD自体がそれを保持してくれるという特徴があります。

 これらは、特に光源が少ない場所での撮影において利便性を発揮します。CCDは感度が良いことから、光の少ない場所でも比較的露光時間は少なくて済むことになります。そして、CCDが撮影した画像のデータを蓄えていてくれるわけです。

 CMOSセンサーでは、このようなときにたとえば長時間露光が必要になってしまい、手ぶれや、画像データの取り出し方によっては、画像をデータ化した時間がずれてしまい、被写体画像のゆがみとなって現われてしまうことが有り得るのです。

 逆に、CMOSイメージセンサーと比較すると、CCDには消費電力が大きいという弱点もあります。しかし、これに関しては製品も改良されてきています。最近では、15fpsでの画像撮影時の消費電力が、チップセットで45mW、CCD単体では5mWと、携帯電話に搭載できるレベルまで省電力化したCCDセンサーの製品も出荷されています。


富士フイルム、携帯向けの「スーパーCCDハニカム」の供給を開始
三洋電機、低消費電力の携帯電話向けCCDカメラチップセット


(大和 哲)
2002/10/15 13:37

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