レビュー
シャオミ版となった「Leica Leitzphone powered by Xiaomi」はカメラに詳しくなくても楽しめる1台
2026年3月30日 00:00
3月5日より、「Leica Leitzphone powered by Xiaomi」(Leitzphone)が発売された。従来の“Leitz Phone”シリーズはシャープが製造を担い、MNOとしてソフトバンクが取り扱ってきたが、今回は製造をシャオミが担当。国内MNOでの取り扱いはなく、シャオミの公式ストア、一部量販店でのみ販売されている。価格は24万9800円となる。
ローレット加工、ライカロゴといったLeitz Phoneのデザインを踏襲しつつ、ベースは同時に発表されたXiaomi 17 Ultraを採用した1台。注目はやはりカメラだが、本記事ではそのほかの使い勝手も合わせてレビューしていく。
ライカのカメラを彷彿させるデザイン美
個人的にLeitzphoneを推したい大きな要素が、デザインの美しさだ。大きなカメラを上側にどっしりと構え、左上にライカロゴを配置した背面デザインは、シンプルながら唯一無二とすら思える、シックな印象を受ける。
側面には、ローレット加工が施されている。デザイン性もさることながら、大きな本体のグリップ感を向上させるという意味でも優秀。高価なスマートフォンだけに、ケースなしでの運用は慎重にしたいところだが、そのまま持っていたくなる質感だ。
音量ボタンの上下が分かれたデザインも、押し間違いが起こりにくく、個人的にはお気に入りのポイントだ。質量は223.4gとやや重いが、ただのスマートフォンではなく、カメラを持っていると認識すれば許容できる。ただし、本体サイズ、質量の両面から、片手での長時間操作には向かない。
デザイン面は非常に気に入っているが、個人的にはシャッターボタンが欲しいと感じた。カメラが特徴のスマートフォンだけに、半押しでのAFロックなど、よりカメラ体験を向上させるアプローチがあってもよかったのではないだろうか。シャオミとしては初のLeitzphoneでもあるため、次機以降での対応に期待したい。
同梱物は専用ケースとレンズキャップ、ストラップ、充電ケーブルとなる。本体カラーに合わせたケースや、主張の強いカメラを保護するレンズキャップも同梱されるのはありがたいところ。化粧箱も高級感があり、開ける瞬間からワクワクする。
ちなみに、日本でも発売されるグローバル版のLeitzphoneは、中国版とは異なるデザインが採用されており、カメラに印字されているロゴの向きは、本体を横持ちすると倒れる格好になる。スマートフォンを持つ方向としては縦のほうが多いため、これはこれでありなのだろうが、Photography Kit Proを装着すると、いびつな形になってしまうのが悩ましい。個人的には、わざわざ中国版からデザインを変えなくてもよかったのではないかと感じてしまう。
オリジナルデザインが楽しめる大画面ディスプレイ
ディスプレイは6.9インチで、フォルダブルスマートフォンを除けば最大クラス。解像度は2608×1200で、解像感を向上させる「Xiaomi HyperRGB」が採用されている。リフレッシュレートは1~120Hz、タッチサンプリングレートは最大300Hz、画面輝度は最大3500ニトと、文句ないハイエンド仕様となる。
ベゼルは非常に細く、四辺が均一になっている。フラットではあるが、画面が隅まで広がり、そのままローレット加工、背面デザインと続いていくような一体感が魅力だ。
TUV Rheinlandの低ブルーライト認証、フリッカーフリー認証も取得しているが、使っていて実感できるほどの違いを感じるわけではない。違和感を覚えず、快適に使える性能となる。
ちなみに、LeitzphoneのOSは「Xiaomi HyperOS 3」でベースモデルと共通しているが、専用の「Leica UX/UI」が用意されており、テーマやアイコン、レイアウトが特別仕様になっている。アプリアイコンのデザインは、Leitzphoneの本体デザインと統一感があり、ホーム画面を美しく整理するという意味では有用だが、どのアプリかわかりにくいという難点もある。また、対応していないアプリは、黒枠の中に元のアイコンが置かれただけのデザインとなってしまうなど、やや力業感のある仕上がりになっている。
お手軽にエモさを演出する圧巻のカメラ性能
Leitzphoneにおいて最も重要なのはやはりアウトカメラだ。構成は5000万画素メイン、2億画素望遠、5000万画素超広角の3眼となり、光学ズームは75mm〜100mmで可変する。
1インチセンサー搭載モデルや、これまでのLeitz Phoneと同様、背景ぼかしによる演出力、被写体を明るく鮮明に捉える力は圧巻。1インチセンサーをスマートフォンに搭載し始めた頃のような“振り回されている感”もなく、安定して綺麗な写真が撮影できる。細かな設定をせずとも、ライカらしい写真に仕上がるのが、Leitzphoneの大きな特徴だ。
ただし、75mmから100mmで可変する望遠カメラは、可変する範囲がそこまで大きくないため、あまり恩恵を感じることはなかった。
特に、影のような暗い部分を無理に明るく立ち上げるのではなく、しっかりと暗さを持って写真に残せるのがお気に入りポイント。ちょっとした違いではあるが、リアルな描画が損失なく行える。スマートフォンカメラとしては、ほかのモデルとは大きく違う独自性を持っており、名実ともに「これこそが、ライカが作るスマートフォンなのだ」と感じられる。
ライカ独自のフィルター、ウォーターマークを利用できるのもLeitzphoneならでは。ウォーターマークがついているだけで写真の仕上がりが1段階良く見えるのだから、人間とは実に単純なものだとすら感じる(筆者だけかもしれないが)。特にLeitzphoneオリジナル要素として利用できる、LEICA M9、LEICA M3のフィルターは、ライカの世界観をスマートフォンでお手軽に再現できるため、写真撮影が楽しくなる。
Leitzphoneならではの要素として用意されているのが、カメラリングを回転させてカメラ設定を微調整する機能だ。撮影モードに応じて、カメラリングの回転でどのパラメータを変更するのかが設定できる。
通常の撮影モードでは、カメラリングに設定できる項目が少ないが、プロモードではフォーカスやISO、ホワイトバランスといった項目を設定できるため、普段からデジカメ、一眼レフカメラを使っている人なら、楽しんで使えるだろう。筆者は通常のカメラモードではフィルター、プロモードでカメラリングをフォーカスに設定し、風景の撮影だけでなく、物撮りにも多用している。
シャープのLeitz Phoneを見ても、カメラリングは新しい試み。そのためか、使用感にはやや疑問もある。まず、ケースを着けていない、裸の状態ではカメラリングを回転しにくく、撮影中にサッと触るのが難しい。
一方で、カメラリングのアシストにもなる純正ケースを着けると、今度は少し触っただけでカメラリングが回転してしまい、倍率やフォーカスが変わってしまう。カメラリングを回転させることでカメラアプリの起動、撮影ができるショートカットも用意されているが、ポケットに入れていると不意にカメラアプリが起動してしまったりと、いまいち使い勝手が悪く、慣れるまではやや不満に感じる。
カメラ以外もハイエンド仕様
チップセットは「Snapdragon 8 Elite Gen 5」、メモリーとストレージは16GB/1TBを搭載している。スペックを見てもわかるように、現時点でのフラッグシップ仕様の性能をしっかりと搭載しており、操作性は快適そのもの。「Xiaomi 3Dデュアルチャネル IceLoopシステム」も搭載されており、長時間のカメラ使用、ゲームプレイでも、本体がほんのり熱くなる程度にとどめられている。
バッテリーは6000mAhで90Wの急速充電、ワイヤレス充電にも対応する。使っていて楽しいカメラを搭載しているだけに、ついカメラアプリを多用してしまい、バッテリーをゴリゴリと消耗していくこともあるため、充電器を持ち歩き、隙間時間にサクッと充電する運用スタイルがおすすめだ。
そのほか、防塵防水性能はIP68準拠。顔認証、超音波式の画面内指紋認証も備える。nanoSIM×2、nanoSIM+eSIM、eSIM×2と、柔軟にSIMを入れ替えられるのも、地味ながら助かるポイントだ。
MNOの採用もないためか、おサイフケータイ(FeliCa)機能には非対応となる。価格、製品コンセプトを考えれば納得感こそあるが、普段持ち歩くカメラとスマートフォンを1台にまとめたいというニーズであれば、やはりおサイフケータイ機能が欲しくなる。近年は交通系ICだけでなく、スマホ用電子証明書にも使われることから見ても、Leitzphoneのみで運用するには、どうしても物足りなさを感じてしまう。
では、Leitzphoneをカメラメインのサブ機と考えると、途端に価格がネックになってくる。コミュニケーションツール、おサイフケータイ機能メインのスマートフォンを別で用意するとなると、結局2台分の出費となるため、「それなら普通のカメラを買えばいい」という考えも過る。NFC機能は利用できるため、一部の決済サービスは利用できるものの、おサイフケータイ機能の有無は、どうしても快適さに直結するというわけだ。
運用方法、価格とネックになる部分はあるものの、フラッグシップスマートフォンで並べてみても、ここまで強烈に個性を持ったモデルはなかなかお目にかかれないだろう。デザイン性、カメラ性能、処理性能はいずれもトップクラスになっており、ライカならではの撮影体験がお手軽に楽しめるのは魅力だ。“刺さる人には刺さる”の範疇を飛び出すわけではないものの、弱点を理解して運用できる人であれば、手に取る価値は大いにある端末だ。




























