インタビュー

日本でLeica Leitzphoneを展開する狙いは? 店舗・サービスも強化するシャオミの日本戦略

 2月28日のグローバル発表から間を置かず、日本でも発表・発売となった「Xiaomi 17 Ultra」をはじめとする新製品。発売タイミングの前倒しに加え、関西初のXiaomi Store出店やサービス体制の拡充など、日本市場でのリアル展開も加速している。

 こうした一連の動きの狙いはどこにあるのか。シャオミ・ジャパン社長の呂暁露氏と、プロダクトプランニング部本部長の安達晃彦氏に、日本市場での戦略と今後の展望を聞いた。

シャオミ・ジャパン プロダクトプランニング部 本部長 安達晃彦氏、同社社長 呂暁露氏

店舗数よりも「体験価値」重視の出店戦略

――ECを中心に成長してきた中で、関西ストアや秋葉原のサービスセンターなど、リアルでの展開が加速している印象です。日本市場において、店舗を強化している理由やきっかけを教えてください。

呂氏
 大きな理由は2つあります。1つ目は「お客様がどこにいるか」という視点です。お客様がいる場所に、私たちのチャネルや接点を広げていく必要があると考えています。

 2つ目は、オフラインの店舗だからこそ提供できる「体験」の重要性です。ECは非常に便利でスピード感もありますが、実際に製品を全方位から感じたり、専門スタッフによる説明を受けたりする体験は店舗ならではのものです。お客様の体験の質を向上させるために、リアルな接点を強化しています。

――今後の店舗展開について、具体的な目標数や、どのような規模の都市に出店していくのか、展望を教えてください。

呂氏
 現時点では具体的な数字(店舗数)を第一の目標に掲げているわけではありません。それよりも「いかに質の高いサービスと体験を提供できるか」を重視しています。

 出店地域に関しては、まずは都心部や人口の多い地域を優先し、そこから周辺地域へ広げていく考えです。自分たちのチーム体制が整い、確かなサービスを担保できる状況に合わせて、着実に拡大していきたいと考えています。

――将来的に、中国で展開されているような「電気自動車(EV)」を扱うような大規模な店舗の展開も検討していますか。

呂氏
 今後、車が日本市場へ導入されるタイミングがあれば、それに合わせて試乗ができるような広いスペースを持つ店舗などを検討していくことになるでしょう。

――サービスセンターのデザインもXiaomi Storeのように世界共通なのでしょうか。

呂氏
 サービスやデザインの基本的な部分は、グローバル基準で統一されています。一方で、日本向けには独自のサービスや、家電・テレビ・オフィス製品などを統合してスマートライフを体験できる「ショールーム」のような要素も取り入れています。生活シーンに合わせた、より身近に感じていただけるデザインをカスタマイズしています。

――対面修理や当日修理といったサービスについて、目標などはありますか。

呂氏
 スマートフォン、タブレット、そして多くのIoT製品については、原則として「当日修理・当日返却」を目指しています。万が一、部品の在庫がない場合などは後日になることもありますが、基本的にはその日のうちに対応したいと考えています。ただし、テレビや掃除機などの大型家電については、配送による集荷・修理というプロセスになります。

フラッグシップ同時展開の背景と日本市場での製品戦略

――「Xiaomi 17 Ultra」などのフラッグシップモデルを、グローバルとほぼ同時期に日本でも発売されました。このスピード感を実現できた背景を教えてください。

安達氏
 シャオミ・ジャパンとして日本市場へ注力する中で、中国本社からの強いサポートを得られたことが大きいです。これまではグローバル発表から日本発売まで数カ月のラグがありましたが、「Xiaomi 14 Ultra」では2カ月、「Xiaomi 15 Ultra」では2週間と、徐々にその期間を短縮してきました。

 今回は2月28日にグローバル向けに発表し、日本では3月2日に予約を開始します。週末を挟む日程ではありますが、実質的にはほぼ同日といえるタイミングになりました。

 今回はFeliCa(おサイフケータイ)を搭載しない前提としたことで、グローバルと同一のSKU(製品仕様)をそのまま日本市場へ投入することができました。その結果、「同時発売」に近いスピード感を実現できたと考えています。日本のユーザーに、最新の体験をラグなしでお届けしたいという私たちの意図の結果です。

――「Xiaomi 17 Ultra」と「Leica Leitzphone powered by Xiaomi」の両方をラインナップされた狙いは。

安達氏
 どちらか一方を選ぶという発想は、当初からあまりありませんでした。我々にとってメインのフラッグシップはあくまで「Xiaomi 17 Ultra」です。

 一方、「Leica Leitzphone」はライカ社とのコラボレーションによる、非常に象徴的で特別な位置づけのモデルです。想定するターゲット層や提供したいコンセプトがそれぞれ異なるため、戦略的に両方のモデルが必要だと判断しました。

 価格帯はいずれも20万円前後となるため、購入時に迷われる方もいらっしゃるかもしれません。約5万円の差を安いと見るか、高いと見るかは、ユーザーそれぞれのご判断によるところが大きいと考えています。割合で見れば約2割の差になりますので、実際に製品をご覧いただいたうえで、ご検討いただければと思います。

Xiaomi 17 Ultra
Leica Leitzphone powered by Xiaomi

――グローバル向けには「Xiaomi 17」も登場しましたが、今年は「Xiaomi 17 Ultra」のみとなった理由はなぜでしょうか。

安達氏
 グローバルのラインアップと日本市場からのフィードバックを踏まえ、常に検討を重ねていますが、今回は製品の特性や優先順位を総合的に判断した結果、この構成となりました。

――小型モデルを好むユーザーに対して、今後はどのようにアプローチしていく考えでしょうか。

安達氏
 シリーズとして展開してほしいというご期待は、ありがたく受け止めています。たとえば、先日発表した「POCO F8 Pro」は6.59インチと、昨年モデルと比べてややコンパクトになっており、全体のサイズバリエーションについても一定の意識はしています。

 一方で、グローバル全体のトレンドと比べると、日本では小型モデルを好む声が強い傾向にあります。ただ、実際の販売データと照らし合わせると、その声の大きさと需要が必ずしも一致しているわけではないという側面もあります。

エコシステム重視の家電戦略

――家電の領域でも、単なるIoTから「AI家電」へと進化しています。シャオミとして、日本の暮らしにAIをどう落とし込んでいく構想をお持ちですか。

安達氏
 私たちは製品をアピールする際、あえて「AI」という言葉を過度に強調しないようにしています。どちらかといえば、必要な機能を備えた製品を、より手に取りやすい価格で提供し、家電のラインアップを広げていく方針です。

 まずは「Xiaomi Home」アプリを通じて、さまざまな製品が有機的につながるエコシステムの構築を優先しています。そのパズルのピースが一つひとつ埋まっていくことで、製品同士がシームレスに連携し、利便性が高まり、ユーザーにとってのベネフィットもより実感しやすくなると考えています。

――日本市場における競合の家電メーカーとの差別化、シャオミならではの武器はどこにあるとお考えですか。

呂氏
 最大の武器は「IoT製品の圧倒的なポートフォリオ」と「それらが互いにつながる体験(スマートライフ)」です。単体のハードウェアとしての性能はもちろんですが、アプリを通じて全ての製品が連携し、遠隔操作やデータ交換ができる利便性は、他社にはない強みです。

――最後に、電気自動車の日本導入の可能性についてはいかがでしょうか。

呂氏
 グローバルでは2027年の欧州市場参入が発表されていますが、日本市場への展開については現在、慎重に検討している段階です。日本で導入する場合、法規制への対応や右ハンドル仕様へのカスタマイズなど、さまざまなローカライズ作業が必要になります。

 こうした点を踏まえながら、総合的に評価を進めていきたいと考えています。