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KDDIの第1四半期決算説明会、増収増益もガバナンスやセキュリティ対策などに課題

 KDDIは7日、2027年3月期の第1四半期決算(4月1日~6月30日)を発表した。

 売上高は、前年同期比+5.1%の1兆4873億1600万円、営業利益は同+21.1%の3142億4800万円、四半期利益は同+24.4%の2214億5700万円となった。なお、調整後の当期利益は同+21.6%の1934億円としている。

 説明会では、KDDI代表取締役社長の松田浩路氏が登壇し、業績を説明した。

KDDI代表取締役社長の松田浩路氏

モバイル事業が増収を牽引

 今回の決算では、「テレコムコア」「パーソナルグロース」「ビジネスグロース」の全セグメントで増収を達成している。長年の懸念材料であったモバイル収入も増収したほか、金融やデータセンター事業などの成長分野も好調に推移した。特に営業利益では、モバイル通信収入の増加が牽引し、全体で548億円の増益になった。

 そのモバイル事業については、ライフタイムバリュー重視の取り組みが功を奏し、スマートフォン解約率が1.17%(前年同期比-0.06ポイント)、スマートフォン稼働数が3330万契約(同+39万契約)、モバイルARPU(1契約あたりの月間平均収入)が4400円(同+160円)と推移した。

 auでは、UQ mobileからの移行などで契約数が増加した。5G SAの人口カバー率は90%を超えており、差別化オプションの1つである「au 5G Fast Lane」の利用者は310万人を突破したという。

 UQ mobileでは、中容量帯のニーズと金融サービスを掛け合わせて「UQコミコミお得割」の提供をスタート。au PAYゴールドカードの契約が条件だが、成長領域をさらに伸ばすための重要施策として位置づけている。6月の開始以降、「コミコミプラン バリュー」を選択するユーザーが約2.1倍に伸長した。また、au PAYカードを同時申し込みする際にゴールドカードを契約するユーザーも、約1.6倍になったとしている。

 「povo」では、新しいトッピングの影響で、他社から乗り換えるユーザーが約4.4倍に急伸。auやUQ mobileからのブランド間移行はあまり増えていないため、新規顧客をうまく獲得できていると松田氏は語る。

 これらのブランド戦略に対して松田氏は「価格やデータ容量のみの競争ではなく、品質やサポートなどを含めた“総合的な価値”で競争する方針」と質疑で説明。NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」が期間限定でデータ容量を40GBに増量させているのに対して「現在の料金プランで勝負できる」旨をコメントした。

楽天モバイルとのローミングは9月末でひらく終了

 なお、楽天モバイルへのローミング提供については、「現在の契約は予定通り9月末で終了する」方針を発表した。KDDIユーザーへのネットワークリソース割り当てを優先する経営判断だと松田氏は説明した。

 一方で、郊外(ルーラルエリア)など、楽天側の基地局構築に時間がかかる地域では、期間を定めてローミングの継続を検討していることを明らかにした。具体的なエリアは、楽天側と協議して決めるという。

 楽天ユーザーに対しては「どう説明するのかは、楽天モバイル側がすること」と説明。前回(5月)の決算説明会で「副回線やpovoで支援」というコメントに対しては「楽天を販路として売っていく話はまだない」とし、ユーザー側に働きかけを行っていくと話した。

成長領域の進捗

 同社が「グロース領域」と位置づける成長領域では、個人と法人ともに増益を達成。個人向け領域の営業利益は555億円(前年同期比+9.3%)、法人向けは185億円(+21.6%)となった。

 金融事業を担うauフィナンシャルホールディングスの営業利益は前年同期から37億円減益の80億円になった。松田氏は、この減益を「想定通り」だとし、金利上昇による時価評価損が要因だと分析する。au PAYゴールドカードの会員数は前年同期比+46万の207万会員となり、auじぶん銀行の預金残高も含めて、着実に成長しているとアピールする。

 また、デバイス関連収入は前年同期比+49億円の601億円となった。デバイス価格高騰を踏まえ、修理や補償サービスの販売が伸長した。松田氏は「日本のユーザーは、端末を丁寧に使ってもらっているので、下取り価格も高くなると思う」と高騰するスマートフォンの価格に対して言及し「ミリ波など新しい機能が入った端末を届けたい気持ちは変わらない」と、端末販売にも引き続き力を入れる方針を示した。

 Pontaパス収入は、223億円(同+8億円)となった。ローソンとの連携では、「ハッピーローソンタウン」を東京と大阪に開設。2030年までに全国で約100カ所を展開するとしている。

AIインテグレーションやデータセンター

 AIインテグレーション領域で松田氏は「どの経営者にとってもAIの活用は共通の経営課題」と指摘。「企業の固有データをクラウドに移し、セキュアな環境を整える」基盤に大きなビジネスチャンスがあると松田氏は説明し、この基盤を拡大、さらにインテグレーションや保守運用を掛け合わせることで、強固な収益基盤にするという。

 また、堺のAIデータセンターでは、ソブリン環境の構築とあわせて、デジタルベルトからAI生活力、AI労働力までを一気通貫で提供することを目指しているとした。

 コネクティビティデータセンター事業では、AI推論ニーズを持つ大企業に近い都市部にデータセンターを置くことで、低遅延のAI環境を構築している。フランスやカナダなど複数の地域で受注を獲得しているといい、今後も注力していくと説明した。

Power-to-Connect 2028

 同社が目指すAI社会実装「Power-to-Connect 2028」に向けた取り組みとして同社が定義する「AI労働力」と「AI生活力」について、直近の取り組みを松田氏は語る。

 AI労働力では、新たに店舗スタッフからの問い合わせに回答するAI「auセールスサポートAI」を開発。7月から全国のauショップ約2000店舗に導入しており、回答時間の8~9割を短縮し、月間約20万件あった社内問い合わせを半減させた。

 AI生活力では、対話型AIサービス「バブミー」を7月にリリースした。信頼できる約150のコンテンツを情報源に、ハルシネーションを抑えた回答を提供する。発表後も、コンテンツ提供に関する引き合いもあるといい、今後もコンテンツを拡充させつつ「信頼できる情報源の確保」を粘り強くやっていくと話した。

 AI基盤を支える技術面では、オールフォトニックネットワーク(APN)に注目。商用環境で1対複数の拠点をすべて光伝送でつなぐ実証に世界で初めて成功させ、国際標準化も推進しているとアピールした。

ガバナンスと災害対応

グループガバナンス強化

 同社グループのビッグローブとその傘下のジー・プランで発生した架空取引を巡り、同社ではグループガバナンスの強化が急がれている。

 6月までにグループ会社のうち110社の総点検を完了させ、新ルールの運用とモニタリングを徹底しているという。経営トップとグループ会社との綿密な対話や、与信審査や財務データの異常検知などでAIを活用することも進めているという。

メールシステムの不正アクセス事案、他社の動向など

 6月に発表されたISP向けメールシステムへの不正アクセスについて、松田社長は「行政指導を厳粛に受け止め、再発防止に全力を尽くす」とコメント。

 原因は、第三者製ソフトウェアの未知の脆弱性と旧来の通信規格の混在だったと説明。AIを活用した潜在的問題の事前チェックやセキュリティ強度の高い規格への早期移行、1000を超える保有システム群の脆弱性診断を進める。

令和8年熊本地震の復旧対応

 7月に発生した令和8年熊本地震では、衛星通信「Starlink」やドローンなどを活用して復旧活動を進め、発災地域の通信エリアはすべて復旧させている。

 復旧対応では、各キャリアの回線を相互に開放しあう「JAPANローミング」が効果的に機能したと松田氏は説明。「10年前の熊本地震では復旧までに11日間かかったが、今回は短くできた」と語り、平時からの備えや最新技術の活用、他社との連携が早期復旧につながったと評価した。

ソフトバンクとセブン-イレブンらの資本業務提携

 ソフトバンクとセブン-イレブンらの資本業務提携について、松田氏は「他社のことにコメントする立場にない」としながらも、通信×コンビニの価値創出は、先行して進めてきたものがあり、その点で一定の評価を受けたものではないかと語る。

 ローソンについては、同社と三菱商事との共同経営体制となっており、「未来のコンビニに変革していく」かたちで取り組んでいるが、取り組みがローソンの事業成長につながり、それが利益となってKDDIに帰ってくることも非常に大きな要素の1つと評価した。