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KDDIやNVIDIAら5社、6G時代に向け「デジタルツインRAN」構築へ 仮想空間で通信網を模擬

 KDDIとKDDI総合研究所は23日、NVIDIA、Keysight、Samsung Research Americaの3社による協力のもと、実際のネットワークを仮想空間に細部まで再現する「デジタルツインRAN」(high-fidelity Digital Twin RAN)の構築に向けた共同検討を開始した。

 デジタルツインRANは、6G時代に向けたAI駆動型ネットワークの最適化や自律運用、評価を安全かつ効率的に行う基盤となるもの。

AIの学習や検証を仮想空間で

 6G時代は通信品質への要求がさらに高まるため、エリア最適化のためにAIの高度化が不可欠となる。AIの高度化には膨大なデータの学習や検証が必要だが、実環境で行うと期間が長期化し、安全性にはリスクが生じる。

 デジタルツインRANを活用すると、実際のネットワークに影響を与えずに仮想空間でAIの学習や検証ができる。また、さまざまな条件下での多数のシナリオ検証も同時に実行可能だ。デジタルツインRANの大規模運用に向けた計算基盤には、KDDIのAIデータセンターを活用する。

 KDDIら5社は、2028年度末までにデジタルツインRANのスケーラビリティを実証するプロトタイプの構築を目指す。また、2030年度末までにデジタルツインRANを多様なユースケースに対応させ、KDDIの商用ネットワーク上で性能検証を行うことを目標としている。

共同検討の内容

 実環境を仮想空間で忠実に再現するデジタルツインRANは、電波伝搬や無線ネットワークの挙動といった複雑な現象を高精度に模擬する技術と、それを汎用的な計算基盤上で大規模にスケールさせる技術を組み合わせて構築する。

 デジタルツインRANでは、主に2つのユースケースでの活用が想定されている。一つは、ネットワーク最適化向けAIの学習や評価基盤としての活用だ。

 実環境に影響を与えずに多数のシナリオを並行して模擬でき、試行回数を飛躍的に増加させられる。また、将来起こりうる環境変化やトラフィック変動を先回りして検証できるため、プロアクティブなエリア最適化が可能となる。

 もう一つは、RANにおける新機能や新AIのフィールドトライアル基盤としての活用だ。6G時代には、高度なAIがRAN装置へ多数組み込まれる見込み。ここで、デジタルツインRANの多様な仮想環境を活用すると、新機能や新アルゴリズムを同時並行かつ網羅的に評価できる。これにより、品質の確保と開発サイクルの大幅な短縮が可能となる。

 AIがさまざまなRANの処理を予測・サポートする「AI air interface」と呼ばれる仕組みを活用し、通信品質の向上や省電力を実現する技術の検証を行う。

各社の役割

 この共同検討における各社の役割としては、KDDIが「商用ネットワークデータの提供と商用トライアルの推進」を、KDDI総合研究所が「ユースケースの創出」「デジタルツインRANの伝搬予測技術の開発」「技術的要件の定義」を担う。

 また、NVIDIAが「AODT(Aerial Omniverse Digital Twin)およびアクセラレーテッドコンピューティング基盤による高精度なデジタルツイン基盤の提供」、Keysightが「UE(ユーザー端末)の再現技術の提供」、Samsung Research Americaが「仮想化技術により基地局を実現するvRAN技術の提供」を行う。