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KDDI松田社長が5Gミリ波に意欲、5G SAエリアは全国90%に
2025年11月6日 18:06
KDDIは、5Gで高速大容量を実現する周波数のひとつ「ミリ波」の拡充に本腰を入れる。また、2025年度第4四半期(2026年1月~3月)には、5G SAのサービスエリアを人口カバー率90%超にする。6日の決算説明会で、次の成長に向けた取り組みのひとつとして紹介された。
同社代表取締役社長CEOの松田浩路氏は、AI時代に向けたインフラが、2026年度に打ち出す次期中期経営戦略の重要なテーマのひとつと説明。通信ネットワークの高度化も進めるとして、5Gのエリア強化が紹介された。さらにミリ波についても強化する方針が示された。
ミリ波活用も
前週に開催されたKDDI SUMMITでは、高輪ゲートウェイ駅前にミリ波の中継機(リピーター)が設置され、ネットフリックス(Netflix)と連携し、映像コンテンツを数秒でダウンロードできるようにしていた。また仕事での活用例として、ソニーの一眼レフで撮影した写真をミリ波で高速にアップロードする例も紹介されており、スポーツの試合など報道の現場で役立つことも示された。
実利用を想定した展示となっており、KDDIとしても、今後に向けてミリ波の利用を促進したい考え。
ただし、スマートフォンで見ると、たとえばユーザーが多いとされるiPhoneは、米国版ではミリ波対応となっているのに対して、国内版は非対応のまま。
ミリ波を活用してモバイル事業の成長を進めたいものの、対応製品が限られる。そんな状況にKDDIはどう取り組むのか。
そう問われた松田氏は「私個人の思いもあるが、しっかりビジネスに昇華したい」と前置きした上で、「ユースケースがないから搭載できないという負のループにある。KDDI SUMMITでわかりやすいユースケースをご紹介した。リピーターも開発している。端末メーカーとの交渉にも私自身、陣頭で指揮しながらやっていきたい。(ミリ波より高い周波数を用いる可能性がある)6G用の周波数がまだまだ決まっていないなかで、今、過渡期にどう対応するか。私自身が進めていきたい」と強い意気込みを示した。
Sub6エリアは90%に
5Gでは、6GHz帯以下の「Sub6(サブシックス)」と、ミリ波と呼ばれる高い周波数帯が用意されている。さらに、4Gで活用されていた周波数を5G用にする“転用”も進められている。
以前は、転用周波数で5Gエリアを広げてきたKDDIだが、今回の説明では、Sub6とミリ波に対応する基地局が約5.6万局になり、業界最多になることが紹介された。
さらに、2025年度第1四半期時点では、人口カバー率で50%を超えていた5G SAエリアが、第4四半期に90%を超えるという目標を掲げることが初めて明らかにされた。
5G開始時には、まず4Gの設備に繋がり、その後に5Gの設備へ切り替える方式である「5G NSA(ノンスタンドアローン)」で導入が始まった。一方、SAは「スタンドアローン」の略であり、4Gの設備を用いず、5Gだけで繋がることから、5Gの能力をフルに活用できるものとして期待されている。


