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ドコモ前田社長、通信品質対策で「基地局3倍」を宣言
2025年11月4日 16:58
NTTドコモの前田義晃社長は、4日の決算説明会で、同社の通信品質対策について語った。「最重要課題のひとつ」と位置づけ、2025年度下期は上期の約3倍の基地局を構築する。
同氏によれば、2025年度に入り、ドコモでは5G基地局の建設をさらに加速。2023年度末と比べ、2025年度上期末時点の5G基地局数は約1.3倍に達した。
それでも「都市部を中心とした人の多いエリアでのご不便はすべて解消に至っていないことは事実」として、前田氏はドコモの通信品質に課題がまだあるとの認識を示す。
今回の会見で初めて、通信品質対策が2026年度にも継続されることが示され、その主な要因として、前田氏は「地権者との交渉などに時間がかかっていることは事実」と、主に基地局建設での工程に要する時間が必要だとする。
2025年度下期に約3倍
今後は、基地局構築の手法を多角化し、都市部など基地局向けの場所を確保しづらい場所でも設置できるようにしていく。
また、パートナー企業との連携を強化して、基地局工事のための体制を強化し、プロセスを見直す。これにより、2025年度下期は、上期よりも約3倍の基地局数を構築する目処が立っているという。
2026年度は、2025年度上期よりも多くの基地局を構築し、年間を通じた工程の平準化を進める。その上で、2026年度での基地局建設数は、2025年度を上回る計画という。
技術面でも新手法、26年3月に品質改善実感へ
2025年度上期までにドコモが取り組んだ、技術面での通信品質の向上に向けた施策も紹介された。
たとえば、2025年2月からは「デュアルバンド対応MMU(複数の周波数に対応し、多数のアンテナを使う設備)」を導入し、イベント会場など人の多い場所で、データが通りやすくしている。
また、2025年6月には「HPUE」(5G SA向けには8月開始)を開始。スマホ側の送信電力を大きくすることで、より遠くの基地局まで電波が届くようにするもので、対応機種であれば、より広いエリアで繋がりやすくなる。
このほか9月からはSub6(6GHz帯以下の周波数)に対応したレピーター(中継機)も導入が開始。基地局からの電波を中継して、隅々まで電波を行き渡るようにする。
たとえば、Webサイトを観たり動画を観たりする際にスムーズな体感になるかどうか影響する、下りの通信速度についてはどうか。
今回の決算説明会で示された資料によれば、2024年度3月と比べ、2025年9月時点では全国で25%の向上を記録し、2026年3月時点で30%以上の向上を目指す。新宿駅や池袋駅の周辺に限ると9月時点で約20%向上したという。
さらに全国の主要な鉄道路線沿いでの通信品質も、同じく2024年3月時点と比べ、9月時点では40%、下り速度が速くなった。こちらも2026年3月には50%以上を達成する目標が示された。



