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ドコモの第3四半期決算は増収減益――通信改善“3倍ペース維持”を約束、競争激化もNTT島田氏は「戦いには勝たないといけない」

ドコモ代表取締役社長の前田義晃氏

 NTT(持株)は5日、2025年度第3四半期決算(2025年10月~12月)を発表した。対前年同期比で増収増益を達成し、営業収益は過去最高となった。

 営業収益は、対前年比+3713億円の10兆4210億円、営業利益は同+579億円の1兆4571億円、当期利益は同+754億円の9261億円だった。セグメント別で見ても、すべてのセグメントで営業収益が増加、一方で総合ICTとエネルギー事業などの営業利益は減少した。

 通期業績予想は、NTTドコモグループとNTTデータグループの業績や事業環境を踏まえ下方修正した。営業収益は、当初予想から260億円減の14兆1640億円、営業利益は同1100億円減の1兆6600億円、当期利益は同750億円減の9650億円とした。営業利益の内訳は、ドコモが-830億円、データグループが-260億円としている。

ドコモは、通信品質改善や購入プログラムの収益悪化が影響

 ドコモの第3四半期決算の営業収益は、対前年比+924億円の4兆6597億円、営業利益は同-885億円の7454億円、四半期利益は同-564億円の5288億円だった。

 なお、通信品質向上を含めた全体の設備投資額は、前年比+1327億円の5658億円としている。

 ドコモの業績予想について、ドコモ代表取締役社長の前田義晃氏は「MNP競争の激化と長期化に伴う販促費用の増加」で1130億円、「端末購入プログラムの収益悪化」で300億円の影響が出ていると説明する。

競争の激化

 競争の激化についてドコモ前田氏は「昨年比でMNP転出が1.2倍程度になっている」とし、ユーザーの流動が活発になってきていると指摘する。競争激化の要因をドコモ前田氏は「ドコモでは顧客基盤強化を掲げて、販促費を引き上げてしっかり競争していくスタンスをとった。これは、ある意味で競争を強めていくアプローチをとったことにもつながったのではないか」と説明。

 MNPの転出が多い一方、転入も多くなってきているとしながらも、「各社の考えはわからないが、顧客基盤を維持または増やしていくかといったなかで、一定程度の成長をキープしなければならないとなると、ユーザー獲得に動く。相手がユーザーを獲得していけば、ドコモもユーザーを獲得していく、それを上回った形で他社も獲得していくと、数字がどんどん積み上がってしまっているのが、今回(業績予想の下方修正)につながってきている」と分析する。

 直近の獲得状況についてドコモ前田氏は、「ドコモMAXなど『是非使いたい』とユーザーの方から言っていただけるようなものにすることで販促費の効率化を目指し、徐々に実績になりつつあるが、時間がかかる」と指摘。大型商業施設のイベントスペースなど常設ショップではない場所でのユーザー接点など販促を「かなり強化してきた」(ドコモ前田氏)とし、獲得単価としては若干上がってきていると話す。これまでの取り組みから得られた知見を生かして、強化していくポイントの分析など販促費の効率化をより一層進めていくとした。

 一方、純増数(新規顧客数)にこだわらない方針を示している競合他社もある。ドコモ前田氏は、現況の競争環境について「落ち着いてきているという認識はない」とコメント。既存の顧客を重視するという姿勢には同調しつつ「ユーザーに長く便利に使っていただくことが大事なので、dポイントやdカード、d払い、電気やガスなどのサービスをセットで使ってもらうことも重要。解約率を下げていき、それによって出ていく部分(販促費)が減っていけば、ドコモとしても効率がよくなる」と説明。

 NTT代表取締役社長執行役員CEOの島田明氏も「第2四半期にirumoの0.5GBプランを終了してMNPの転出が多かった。下期からかなり力を入れて販促し、収束してくるかと思ったが全然収まらない。競争は激しくなっている」と指摘。来期の競争環境について「どういう風になるか予想はつかないが、戦いには勝たないといけない」と激励した。

NTT代表取締役社長執行役員CEOの島田明氏

 他方で、楽天モバイルが契約回線数1000万を突破した。ドコモ前田氏は「しっかり努力されて1000万まで来られて、すごいと思う」と賛辞を送る一方、「特筆して大きく影響があるわけではない」と冷静な分析を示した。

端末購入プログラムの収益悪化

 NTT島田氏は、端末購入プログラムの収益悪化について「想定よりも返却が多かった」とコメント。ドコモ前田氏は「買い替え時にプログラムを利用する方が多かったのは事実だが、今年度は特に競争が激化している。端末を購入するユーザーが多く、返却することも増えた影響で、我々が見込んでいた以上のコストが積み上がってしまった」と説明する。

 プログラムの仕組みがうまく機能していないのでは? という記者からの質問に対し、ドコモ前田氏は「見直していく必要性は、我々でも感じている」とコメント。適正な残価の設定や、より長期でドコモを利用してもらえるようなプログラムにしたいと話した。

通信品質

 ネットワーク強靱化へのこれまでの取り組みとして、基地局の増設や装置の更新、5G基地局の大規模展開、パラメーターのチューニングや多くのユーザーが集まる場所へのスポット対策などを実施した。その効果として、下りのスループットが主要都市中心部の90%で100Mbps以上を達成できたと説明。

 5G基地局の構築について、2025年下期は同上期比で3倍のペースで構築。2026年度もこの“3倍ペース”のまま年間を通じて構築を維持していくとした。ドコモ前田氏は「5G基地局構築エリアでは、確実に体感品質が向上している」と説明。都市部では、地上だけでなく、東京メトロの各路線にも大規模なエリア構築を実施していく。2月以降導入を進め、4月をめどに地下駅の60%以上に5Gを導入、設備容量を1.5倍以上にしていくと話す。

 ドコモ前田氏は、「26年度中に他キャリアの5G基地局数に追いつく。Sub6を中心に構築を強めており、2026年度中に他社と遜色ない、あるいは超えられるようなところまで実現できる」とコメントする。

顧客基盤強化の成果

 ドコモ前田氏は、これまでの顧客基盤強化に向けた取り組みを説明。料金戦略などでエンゲージメントの高い顧客基盤へ転換できたといい、MNPは4カ月連続プラス、料金プラン「ドコモMAX」も250万契約を突破し「年間目標の300万契約は達成確実」とした。また、ユーザー1人あたりの単価「ARPU」も昨年比で+50円となり、大容量プランの比率も向上したと効果を強調する。

 営業収益でも、端末購入プログラムの影響があるものの、ドコモMAXによるARPU増により、改善傾向は継続しているという。前四半期でマイナスだったMNPも本四半期ではプラスに転じ、解約率も0.74%と低い水準をキープできているとした。

 顧客基盤をより強固なものへと進化させるべく、dポイントや決済の利用促進に加え、新たなサブスクリプションサービス「dバリューパス」を3月にスタートさせる。内容を拡充し、より深い関係の顧客基盤を構築するとした。

 一方、スマートライフ事業は引き続き堅調に推移しており、増収に貢献。住信SBIネット銀行の連結もあり、増収を達成した。金融分野では、決済取扱高が伸長、銀行預金残高も対前年比で+11%となった。法人向けに提供するマーケティングソリューションも順調に拡大しており、金融事業全体での規模拡大と成長をアピールした。

そのほかの質疑

――ドコモの3Gが終了する

NTT島田氏
 3Gのユーザーには、4Gや5Gへの移行を進めているところ。端末の割引などしっかりと対応しているところだが、最終的には200万契約くらいは残ってしまうだろうが、大半がIoT向けの使い切り契約だと思う。引き続き対応していきたい。

――ドコモの顧客基盤拡大は、継続していくのか

NTT島田氏
 ドコモの最大のミッションは「顧客基盤の維持、拡大」と「通信品質の向上」の2点。以前話した「シェア35%死守」というのは、「シェアを下げるな」というメッセージをわかりやすく言ったまでで、基本的には維持していってもらいたい。将来的に、金融やエンターテイメントなど、付加価値サービスを提供していく上で、我々としての顧客基盤の拡大を図ってまいりたい。

――ドコモの金融事業持株化について、検討しているのか?

NTT島田氏
 金融の持株事業会社を作りたいというのは、以前から申し上げている。環境が整えば、7月くらいに作りたい。当然、M&Aした「ドコモSMTBネット銀行」(8月に住信SBIネット銀行から行名変更)やドコモファイナンスも参加するが、dカードやd払いなどドコモの金融事業がすべて入る会社を作りたい。

 理由の1つは、金融行政に対してガバナンスを明確にさせていく必要がある。従来の監督官庁は総務省だが、金融庁との対応がしっかりできるような体制づくりをしていきたい。予定通りにいけば、今夏にはその体制に持って行きたい。

 顧客基盤を強化し、金融やエンターテイメントなどの付加価値ビジネスとの連携をうまくやっていきたい。どこかのタイミングでしっかりと説明できるような機会を作りたい。

ドコモ前田氏
 金融事業持株会社の設立準備を進めている。各種ライセンスの取得など、関係省庁と相談しながら準備を進めており、なんとか7月に設立できるようにしたい。

 金融事業自体は、ドコモは従前より営んできているが、直近1年の間でさまざまな金融領域に参画していくなか、どういうふうにガバナンスをとっていくのか、事業をスピーディーに進めていくためには、より金融にフォーカスした形で体制を作り、事業を進めていく必要があると思う。そのために、新しい会社を作っていく必要性を従前から感じていたので、この準備を進めているところ。

――NECの基地局事業縮小について、NTTは2020年に出資していたが、どう受け止めているのか?

NTT島田氏
 NECとは引き続き既存の基地局の保守などやっていただけるという話なので、我々が持つ装置やソフトについて心配はしていない。

 一方、5Gのところで国内のベンダーがなかなか競争力を発揮できなかった部分は非常に残念。vRANなど新しいサービスで国内ベンダーがしっかりいいものを作っていただき、NTTグループが使えるような形が望ましいと考えている。