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ArmハースCEO「孫氏に感謝」、ソフトバンク買収で挑戦拡大 AI時代のCPU需要と戦略を示す

 英Armのレネ・ハースCEOは、イベント「Arm Everywhere」に登壇し、AI時代に向けた同社のコンピューティング戦略を語った。講演では、同社の歩みを振り返り、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏による投資判断に感謝を述べる場面もあった。

Arn レネ・ハースCEO

孫氏への謝意と投資がもたらした転換点

 ハース氏は、Armの歴史における最大の転換点として、2016年のソフトバンクによる買収を挙げた。孫正義氏とのパートナーシップが、同社の可能性を大きく広げたと振り返る。

 同氏によると、孫氏はそれまで投資が及ばなかった未踏領域への挑戦機会を積極的に提供したという。「本当に感謝している」と述べ、この大規模投資によって、スマートフォン市場にとどまらず、クラウドやデータセンター、自動運転、フィジカルAIといった幅広い分野でリーダーシップを発揮できる現在の基盤が構築されたと説明した。

低消費電力のDNAと3500億個の出荷実績

 Armの技術的な優位性については、「バッテリー駆動」を前提とした低消費電力設計がDNAにあると説明。英Acorn Computersからのスピンオフ以来、発熱の抑制とバッテリー寿命の最大化を追求してきた結果、その技術は世界中のデバイスへと広く浸透した。

 同氏が示したデータによると、Armチップの累計出荷数は3500億個を突破。地球上の総人口の約3倍、Arm以外のCPUの合計出荷数の約7倍に相当する規模となる。現在、世界では1世帯あたり平均160個のArmチップが存在し、2200万人以上のソフトウェア開発者がこのエコシステムを支えているという。

AIクラウドにおけるCPUの新たな役割と将来予測

 AI時代の戦略として、ハース氏はCPUがアクセラレーターを最適に制御する「オーケストレーション」の重要性を説明。同社が注力する「Compute Subsystems(CSS)」は、開発期間の短縮と品質向上を両立し、すでにロイヤリティ収入の約20%を占める主力事業に成長している。

 今後については、AIエージェントの急速な普及により、コンピューティング需要はさらに拡大すると予測。同氏によると、同じ電力枠内で1ギガワットあたり1億2000万個のCPUコアが必要になる見通しで、これは現状の約4倍に相当するという。「さらなるCPUの増強が必要になる」として、自社設計CPU「Arm AGI CPU」を紹介した。