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NTT、約90kmの通信遅延をIOWNで1ミリ秒以下にする実験成功

 NTTとNTTデータグループは、イギリスおよびアメリカ国内で、NTTグループ保有するデータセンター間を、IOWN APNで接続する実証を行い、約90km離れたデーターセンター間の通信について、IOWN APNでの接続により1ミリ秒以下の低遅延通信を実現した。

 背景には、都市部でのデーターセンター建設が困難になり、郊外に建設せざるを得ないケースがある。物理的に離れたデータセンター間を接続すると、データーセンター間の通信遅延が非常に大きくなってしまうため、低遅延接続するニーズに応えられない課題があった。

 こうした環境でも、データセンター間の接続にIOWN APNを活用すると、都市部のデータセンターと、郊外のデータセンターを同一センターのように活用できるという。低遅延通信の実現により、ダークファイバーの新設をすることなく、波長追加による接続回線の提供が可能となり、サービス申込から接続回線の提供までの時間を大幅に短縮できる。

 ファイバー敷設状況、遅延・遅延ゆらぎなどの情報を収集し、海外においてもNTTデータグループのデータセンター間をIOWN APNで接続した統合ITインフラの提供が可能になるという。

実証実験の概要

 イギリスでは、へメル ヘムステッドのHH2と、ダゲナムのLON1の2つのデータセンターをファイバー長89kmで、アメリカではアッシュバーンのVA1とVA3の2つのデータセンター間を、NEC製のAPN機器で接続し、データセンター間の往復遅延と、遅延ゆらぎの測定を行った。

 実証実験の結果、400Gbpsの通信において、データーセンター間を1ミリ秒未満の遅延かつ、1マイクロ秒未満の遅延ゆらぎでの接続に成功した。

 大手クラウド事業者では、同一のデーターセンターとして扱える条件が2ミリ秒以内と規定されているため、今回の実証では一般的なクラウドアプリケーションで想定される遅延や遅延ゆらぎを大幅に下回る結果が計測された。

ファイバ長遅延遅延ゆらぎ
イギリス89km0.893ミリ秒0.035マイクロ秒
アメリカ4km0.062ミリ秒0.045マイクロ秒