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NTTとKDDI、楽天モバイルらがNICTのオール光ネットワーク基盤研究事業に採択――中小地方さまざまな事業者のAPN化を期待
2024年10月22日 14:33
NTT(持株)とKDDI、富士通、日本電気(NEC)、楽天モバイルは、情報通信研究機構(NICT)が公募した「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業の社会実装・海外展開志向型戦略的プログラム(共通基盤技術確立型)」の2025年度新規委託研究の実施企業に採択されたと発表した。
次世代通信技術の基盤として期待されている光ネットワーク技術「オールフォトニクス・ネットワーク」(All-Photonics Network、APN)を複数のプロバイダー間で柔軟に利用できるよう技術開発を進める。なお、研究開発にはKDDI総合研究所も参画する。
APN実装への課題
大規模~小規模なものを含めてネットワーク全体をAPN化するにあたり、大きく課題が3点ある。
まず、異なる通信事業者同士など主体となるネットワークの間をシームレスにつなぐ仕組みがない点。障害が発生しても早期復旧ができない可能性がある。
2つめは、運用コストの問題。多数のユーザーをネットワークに収容しようとした場合、低廉な装置や低いコストで通信品質をエンドツーエンド(E2E)で確保できるシステムがまだ存在していない点。
3つめは、エンドユーザー側の装置が開発されてない点。光伝送装置の1つ「ROADM」の現行機種は、大手通信事業者向けの装置であり、小規模な拠点へ機能を配置したり収容したりすることが難しい。
3つの共通基盤技術を開発
今回のプロジェクトでは、複数の事業者をまたがって光ネットワークを接続するための技術研究、開発を行い、APNの事業者間連携に必要な共通基盤技術の確立を目指す。
先述の課題を解消する技術として、1つめの課題に対しては「光ネットワークフェデレーション技術」、2つめには「サブチャンネル回線交換技術」、3つめには「分散型ROADM技術」を共通基盤技術として研究開発を図る。
「光ネットワークフェデレーション技術」
「光ネットワークフェデレーション技術」は、ユーザーの要求を受けるためのAPI機能と、送信先や通信品質などユーザー側の要求に応じて、さまざまな事業者のネットワークを通じて確実かつ安定的に相互接続を行うための機能。
KDDIは、事業者間ネットワーク接続のアーキテクチャーやインターフェイス設計を担当、楽天モバイルは、モバイル分野でのアーキテクチャー設計を担当する。
「サブチャンネル回線交換技術」
「サブチャンネル回線交換技術」は、複数のクラウドやデータセンターを同時に利用したり柔軟に切り替えたりできるよう、多数のユーザーの要求に応じてE2Eで通信品質を確保できる機能。
「分散型ROADM技術」
「分散型ROADM技術」は、現行のROADM機能の一部のみを備えた装置を開発し、簡易な運用ができるインターフェイス機能と同様の装置同士の連携機能を備える。APNノードの小型化と地方データセンター、中小拠点へのAPN展開ができるようになる。
複数事業者間で安定したAPN構築が目指せる
これらの研究開発により、複数のプロバイダー同士でAPNが強調し、耐障害性の向上や、サービス品質の保証確保ができるようになったり、ユーザーが複数のクラウドやデータセンターを同時に利用できるようになったり、接続先を柔軟に切り替えたりできるようになる。
また、小型APNノードの開発で、地方のデータセンターや中小拠点へもAPNが展開できるようになる。
情報処理量が年々増加している昨今、情報通信システムに対しては、さらなる伝送能力の拡大や処理の高速化、低消費電力化への需要が高まっている。APNは高速、大容量、低遅延のネットワークを低消費電力で運用でき、今回のプロジェクトではAPNがさまざまなネットワークで導入できるようになることが期待されている。