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アップル、「iOS 17」を発表

 アップルは6日(日本時間)、同社のイベント「WWDC 2023」で「iOS 17」を発表した。

 iOS 17は、iPhoneに搭載される最新のオペレーティングシステム。デベロッパー向けベータ版は本日6日から配信され、パブリックベータは7月中にも提供される見込み。アップデートの対象となるのは「iPhone Xs」以降のモデルで、今秋にも一般向けにリリースされる。

連絡先ポスター

 電話アプリでは「連絡先ポスター」のカスタマイズが可能になる。着信画面に表示されるデザインを好みのデザインにカスタマイズでき、着信者に対して明確に誰なのかを区別しやすくする。このほか、連絡先カードの一部としても機能する。

 写真やミー文字でカスタマイズでき、日本語と中国語ユーザーには、縦書きでの表示も用意される。連絡先ポスターは純正の電話アプリ以外にも他社製の通話アプリでも利用できる。

 新たに「ライブ留守番電話」(Live Voicemail)では、着信時に相手がメッセージを残すと話している内容がリアルタイムで書き起こされる。通信事業者が迷惑電話と判断した電話番号からの電話は表示されない。書き起こし処理はオンデバイスのため、プライバシーは担保されている。

 「FaceTime」では、オーディオとビデオによるメッセージに対応。相手が出られないときにメッセージを残せるようになる。ハートや風船、花火などのリアクションをFaceTime上で利用でき、より豊かな表現でのコミュニケーションを実現した。他社製のビデオ通話アプリでも同様にリアクションできる。

メッセージのインターフェイスを刷新

 「メッセージ」では「検索フィルター」が追加され、追加で言葉を加えてより検索結果を絞れる。

 1回タップすると展開するメニューから、iMessageにアクセスできるようになる。新しいキャッチアップの矢印で、会話の最後に表示していた部分を指し示せるほか、吹き出しをスワイプするだけで返信できるようになるなどの機能が追加される。

 ユーザーが位置情報を共有すると、会話の中でリアルタイムに更新され、確認できる。オーディオメッセージが届いてもすぐに聞けないときには書き起こしてその場で読める機能も提供される。

Check In

 メッセージ内の機能として「Check In」(安否確認)を提供する。家族や友人などに帰宅を知らせられるほか、不測の事態が起きた際に現在地や辿った経路などを確認できる。

 このほかにもバッテリー残量や通信状態なども確認でき、共有された情報はすべてエンドツーエンドで暗号化されている。

AirDrop

 AirDropでは、新たに「NameDrop」の機能が追加される。これにより、iPhone同士またはiPhoneとApple Watchを近づけるだけで、共有したい電話番号やメールアドレスを選べる。iPhone同士が近くにあれば、SharePlayで音楽視聴や映画鑑賞、ゲームを一緒に楽しめる。

自動修正が進化、新アプリも

 キーボードでは「Autocorrect」(自動修正)機能が提供される。入力間違いがより正確に修正されるようになる。単語予測のための「Transformer」言語モデルにより、タイピングのたびに精度が向上するとしており、より多くの文法ミスの修正にも対応した。

 ユーザーが入力すると、予測テキストの提案がインライン表示され、スペースバーをタップすると単語全体を追加したり、分を最後まで入力したりといった操作がより簡単になる。

 このほか、新たな音声認識モデルで音声入力の精度も向上した。

 新たなアプリとして「Journal」(ジャーナル)が用意される。機械学習により日記を書くべきタイミングなどをiPhoneが提案する。日記をつけることは心身の健康改善に役立つとして、「iPhoneユーザーが感謝の気持ちを振り返り、実践するのに役立つ」アプリという。

 写真や人々、場所、ワークアウトなどのアクティビティからきっかけが提案され、通知を設定することで、日記執筆の習慣化もサポートする。アプリのロック機能やエンドツーエンドの暗号化でプライバシーを保護。ユーザーが入力した情報はアップルも閲覧できないとしている。開発者向けにAPIが提供され、自身が開発したアプリに日記のための候補を追加できるようになる。

スマートディスプレイ化する「Stand By」

 新たに提供される「Stand By」(スタンバイ)では、充電中にiPhoneを横向きにするとスマートディスプレイのように使える。

マップやSiriにもアップデート

 「マップ」では、オフラインマップにより特定のエリアをダウンロード。ターンバイターンナビや到着予想時刻、場所の検索などがオフラインで利用できる。また、AirTagを最大5人と共有。友人や家族が「探す」で探せるように鳴る。

 このほか「画像を調べる」機能が一時停止した動画にも対応する。さらに、これまで「Hey Siri」だったSiriのウェイクワードが「Siri」だけで起動できるほか、複数のコマンドを連続して伝えられるようになる。「リマインダー」の買い物リストでは、追加したアイテムが自動的にカテゴリー分けされる機能が利用できるようになる。

 「Safari」では、プライベートブラウズが進化。Webサイトによるトラッキングやデバイスの特定を未然に防ぎ、使用していないときは自動的にウィンドウがロックされる。

 ヘルスケアでは、心理面での健康の機能が加わる。気分や感情を記録し、精神状態に影響を与えるものごとを確認するといった機能を利用できる。また、子供向けにデバイスを見る距離を改善し、近視のリスクを低減するほか成人向けにもデジタル眼精疲労の軽減のための機能が用意される。

 Apple Musicでは、共同作業プレイリストが追加される。AirPlayはユーザーの好みを学習しコンテンツ共有がより手軽になる。「写真」では犬や猫の認識にも対応。「AirPods」で適応型オーディオやパーソナライズされた音量、会話感知などの機能が利用できるようになる。

 さらに、信頼できる連絡先グループとパスワードを共有できる機能が追加される。iCloudのキーチェーンを通じて共有されるため、プライバシーを保てる。「ホーム」アプリでは、ドアやガレージ、警報、接触センサーの動作履歴を確認できる機能を追加。「タップしてロック解除」とPINコードがMatter対応の鍵でも利用できるようになる。

 「プライバシー」がアップデートされ「コミュニケーションの安全性」がメッセージアプリ以外にも拡大。AirDropや連絡先ポスター、faceTimeの利用で子どもの安全を守る。「アクセシビリティ」では、認知障害を持つユーザーに対して、iPhoneの利用がより簡単になるようサポートする機能も追加される。

【追記 2023/6/6 04:40】
 記事の内容を一部更新しました。