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KDDI髙橋社長が「au通信障害」謝罪、現時点で判明している経緯とは

 KDDIは、2日から発生している通信障害について、3日午前、記者説明会を開催し、冒頭、髙橋誠代表取締役社長が謝罪した。

通信障害の内容と範囲

 今回の障害は全国のVoLTE交換機において輻輳(ふくそう、通信が大混雑していることを意味する用語)し、音声通話とデータ通信が利用しづらい状況となった。そのため音声通話がつながらない、SMSの送受信ができない、はたまたデータ通信の速度が遅くなったり、接続が切れてしまったりするといった状況になった。

 影響する回線数は全国で最大3915万回線。このうちスマートフォンや携帯電話は最大約3580万回線、MVNO向けが最大約140万回線、IoT回線が最大約150万回線、ホームプラス電話が最大約45万回線。最終的な影響の範囲は、障害解消後、精査することになる。

 法人向けとしても多く活用されており、物流関連、自動車向けのコネクテッドサービス、気象関連、銀行関連、交通関連と幅広い範囲で影響が及んだ。

 ただし、SMSを利用していないテレメーター(遠隔の水道計測などのメーター)といったIoT機器は影響を受けていない。

 また、KDDIにとって顧客にあたる、楽天モバイルへのローミングサービスについては、VoLTE交換機をKDDI側と分けており、楽天モバイルのユーザー向け設備で輻輳は起きていない。ただし、輻輳を抑えるため、全体に50%の規制をかけており、その影響で楽天モバイルのローミングエリアでも利用しづらい状況になった。

何が起こったのか

 今回の障害は、日々のメンテナンスの一環として実施された作業のなかで発生した。

 当初予定されていたのは、古いルーターを新しいルーターへの交換。これにより、トラフィックのルート変更となるなかで、一部の音声通話が不通となってしまった。

 これをきっかけにルーターで障害が起き、約15分、VoLTEでの音声通話が使えなくなった。

 これらの状況を踏まえて、変更を取り消して、ルートを切り戻そうとしたが、アクセスが集中して再接続要求が多発し、全国で輻輳が発生してしまった。深夜ではあるが、VoLTEでは、50分にいちど端末はネットワークに登録処理をするため、一定の通信が実施されており、通話できない時間が発生したことで輻輳につながり、VoLTE関連のリクエストを処理できなくなった。

 また電話をかけようとすると、まず携帯電話側のネットワークにある加入者データベースに位置情報などを登録し、その後、VoLTEの交換機にそれらの情報が渡される。VoLTE交換機がダウンしていたことで、加入者データベースからVoLTE交換機へアクセスできない状態となり、加入者データベース装置も輻輳状態に陥った。

 そして加入者データベースとVoLTE交換機がそれぞれ保有するデータが一致しない状況にもなっており、2日の夕刻からはデータの不一致を解消する作業が進められている。

 これらの作業は、西日本で3日11時に終了しており、東日本で3日17時30分に終了する予定。その後、ネットワーク試験を進めた上で、本格再開時間が決まる。

 なお、KDDIでは3月末で3Gサービスを停波しているが、その前から、4Gのネットワークを使ったVoLTE(LTE網で音声データをやり取りする通話方式)への移行が進んでおり、今回の障害において、3G停波の影響はない。

 また、5G方式が影響を与えたかどうか、という点についても、VoLTEは4Gでも5Gでも利用されていることから、「5Gだから」という要素はないという。