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金子総務大臣、ふるさと納税の現金キャッシュバック「趣旨から大きく外れる」

 金子恭之総務大臣は、10日の会見で、ふるさと納税の返礼品の代わりに現金をキャッシュバックするサービスについて、「制度の趣旨から大きく外れる」とコメントした。

金子大臣

 会見では、「ふるさと納税について、ある業者が返礼品の代わりに現金をキャッシュバックするサービスを始めた。自治体から苦情があり、サービスを停止しているが、これについての見解と総務省の対応は」という質問があった。

 これについて、金子大臣は、「ふるさと納税は、故郷やお世話になった自治体に感謝し、応援する気持ちを伝えるもの。あるいは、税の使い道を自ら決めることを趣旨とする制度。寄付に対する返礼品は、寄付を受け入れた自治体がお礼の気持ちを表すためのものとなっている」とコメント。

 そのうえで、「そういったサービスの詳細は把握していないが、寄付者が返礼品の代わりに現金を受け取ることは、制度の趣旨から大きく外れたものと考えている。担当部局には対応の検討を指示した」とした。

 ふるさと納税制度については、返礼品競争の加熱などを背景として、2019年に指定制度が導入された。金子大臣は、「現在、自治体において一定のルールのもとで取り組んでいただいている。自治体にはこのような経緯と制度の趣旨をふまえた対応をお願いしたい」と語った。

質問の背景は

 今回の質問は、6月8日に発表されたサービス「キャシュふる」のことを念頭に置いたものだと思われる。

 DEPARTUREによる同サービスは、返礼品の代わりに、寄付金額の20%の現金が受け取れるサービスとして発表された。「返礼品を受け取る権利(返礼品受領権)」の他者への売買などをDEPARTUREが受任し、その売上から手数料を引いた金額が、ユーザーにキャッシュバックされるしくみとなっていた。

 発表時に、「キャシュふる」では寄付の予定先として自治体の名称が記載されていたが、これについてDEPARTUREは「当該自治体とは一切の提携関係にない。事前の断りなく、名称を使用した」として、翌9日に謝罪文をWeb上に掲載。ユーザーへの全額返金もあわせて発表されていた。

「デジタル田園都市国家構想」にも言及

 また、「離島など、地方における光ファイバーや5Gなどのデジタルインフラ整備にどのように取り組むか」という質問があった。

 金子大臣は、「岸田内閣の最重要課題。デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、地方におけるデジタル基盤の整備の加速化が必要不可欠」としたうえで、3月に公開した整備計画に触れ、「光ファイバーの世帯カバー率を2027年度末までに99.9%、5Gの人口カバー率を2025年度末に97%とすることなどの目標を掲げている」と、あらためて紹介した。

 これらの実現に向け、離島などの地域におけるインフラ整備に対する補助金など、さまざまな取り組みを実施していくという。