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他キャリア周波数対応端末を「マーク付け」でわかりやすく、総務省の会合で提言

 総務省は25日、「競争ルールの検証に関するWG(第29回)」を開催した。会合の中では、スマートフォンの全キャリアの主要周波数への対応の是非について議論された。

周波数によるロックイン効果

 4月11日に開かれた同会合では、端末の対応周波数についてキャリア各社からのヒアリングが実施された。日本国内でキャリアが取り扱うスマートフォンなどは、自社に割り当てられた周波数にのみ対応し、他社周波数には非対応となっていることが多い。

 キャリアモデルでもSIMロックフリーが原則となり、契約解除料の低廉化などキャリア間の流動性を高める動きが広がる中、周波数の制限が一部で疑問視されているという。

 各社では、メーカーに他キャリア周波数へ対応しないことを要請している事実はないとした上で、全周波数への対応は利便性向上につながる一方でコスト上昇による端末値上げにつながると懸念が示された。

特定キャリアと複数キャリア対応での価格の違い

 25日の会合では、総務省が対応周波数の違いによる端末の価格の比較を提示。サムスン電子製の「Galaxy」シリーズの比較では、特定キャリアのみに対応する日本の端末と複数キャリアに対応する韓国の端末が取り上げられた。

 比較対象になった「Galaxy S22/Ultra」「Galaxy S21/+」「Galaxy Z Flip3 5G」「Galaxy Z Fold3 5G」では、S21シリーズを除き日本版のほうが高価という結果が示された。レートは4月11日現在のもの(0.1015ウォン/円)。

 また、ソニー製の「Xperia」シリーズを例とした国内モデル同士の比較では、個別で見るとKDDI版がSIMフリーモデルよりも安価だったものの、全体の平均ではキャリアモデルのほうが割高とされた。

周波数対応へガイドライン

 同日、テレコムサービス協会 MVNO協会では、対応周波数に関するガイドラインの策定を提言した。

 内容は、対応周波数を一覧でWebサイトなどに掲載するといった情報提供の改善や端末メーカーに対して、MNO各社の主要周波数への対応を求めるといったもの。

 加えてガイドラインの要件を満たす端末には、それを示すマークなどを発行することで、MNPへの心理的障壁を下げる、リセールバリューの上昇や中古品取扱事業者の取り扱いやすさにつながるなどとされた。

 また、全周波数への対応で見込まれるコストアップについては「安心して事業者を乗り換えられることに対するユーザーは一定数いる」と、容認する構えを見せている。ガイドラインという案に対する、構成員からの反応は「技適マークのように普及してくれれば」といったように、賛成意見が挙げられた。

 構成員から指摘された、ガイドラインや全周波数対応のマークはどの団体が策定することが適切かという声に対しては、同協会では「今後の議論によると思う。キャリアモデル端末の問題のため、MNOが主体的にこの問題に取り組むことが近道になるのではないか」と回答した。

 また、訪日外国人が自国から端末を持ち込んで、日本のSIMカードで通信する際にも、どのキャリアが自分の端末に適合しているのか分かりづらいのではないか、という意見が出され、2025年の大阪万博を見据えて「国際的な観点からの対応」も必要なのではという指摘もあった。

 このほか、端末メーカーからのヒアリングも実施されたが、その内容や参加した社名、数については非公開だった。