本日の一品

ベッドの上でPCゲームができる「Steam Deck」

 パソコンでゲームを遊ぶためのプラットフォームとして、Steamはもうずいぶん市民権を得た印象がある。インディーズゲーム販売の主要チャネルとしてはもちろん、有名ソフトウェアメーカーの参画も多く、パソコンでゲームを遊ぶ際には無くてはならない存在になった。

携帯できるPCゲーム機・Steam Deck OLED

 そんなSteamがプラットフォーマーだけに飽き足らず、ハードウェアも手がけ始めた事は話題になり、耳にした方も多いだろう。そのハードウェアであるSteam Deck OLEDを遅ればせながら入手した。

 知っている人はすでによくご存知だろうが、あらためてSteamとは? を簡単に説明しておくと、PCゲームの総合プラットフォームである。販売だけではなく、オンライン接続部分やコミュニケーション機能、交流コミュニティ提供など、従来の据え置きゲーム機メーカーが担っていた部分をとりまとめている。多数のインディーズゲームを扱っているのが特徴で、数多のマイクロパブリッシャーが日々面白いゲーム・話題のゲームを上市している。

 そのSteamが遊べる専用ゲームハードを開発・販売を発売したのだ。

 ハードウェア、特に操作面は後発の強みを生かして、既存メーカーからさまざまな部分を吸収している。はっきり言ってしまえば、Nintendo Switchとよく似たインターフェイスを採用しているという事だ。メインスクリーンの横にアナログスティック付きのコントローラーとボタン。左右両肩にトリガーボタンが2つずつ。左右にトラックパッドがあることが特徴と言えば特徴だろうか。

 とにかく、使い慣れたデザインを踏襲している。大きく違うのは、この部分は固定式で取り外せないことだ。

電源ボタン、USB-Cポート、音量キー、イヤホンジャックなど、インターフェースは上面に集中している
背面ボタンがあるのが嬉しいところ。Valveのロゴがあるが、後頭部にバルブが生えているおじさんはいない

 基本性能としては、AMDのRyzen 4コア8スレッドCPUにRadeonのGPU、メモリーは16GB、画面はOLEDとなっている。筆者同様、これだけ見てもピンとこない人も多いと思う。人気タイトルを試してみた結果としては、エルデンリングは快適に動作、ストリートファイター6はややグラフィックレベルが落ちるものの快適、といった次第。

 1~2年前に発売されたフルスペックゲームは快適に動作するし、最近のものでも調整次第では動作する、と思っていただいていいだろう。

 ただし、2月に発売された「モンスターハンターワイルズ」は設定を落としに落としてなんとか動く、という塩梅なので注意が必要だ。

 普段Steamで遊んでいる人は、ビッグピクチャーモードをご存知のことと思う。フルスクリーン表示と大きな文字を採用したUIで、あたかもコンソール機と同じように操作できるモードの事だ。Steam Deckはこのモードで立ち上がる専用機という建付けだ。既存のモードを流用するという合理的な考え方だ。Steam OSというlinuxベースのオリジナルOSで動作しており、起動も早い。

 また、OSはデスクトップモードに切り替えることができて、普通のパソコンのように使うこともできるようになっている。セーブデータなどはクラウド保存なので、状況次第でSteam Deckと別のパソコンを切り替えて遊ぶことができる。

 筆者をはじめ、何人かの友人に試してもらっての最初の感想は「思ったより軽い」である。これは、見た目がニンテンドーSwitchより二回りくらい大きいので、重そうという先入観からくるものだろう。実際Switchは約400g、Steam Deckは約640gで明らかに重い。

ニンテンドーSwitchとの比較。サイズ感も重量も、二回りほど大きく重い

 ただ、両手で保持したときの収まりがよく、持ちやすいことが影響しているのだろう。実際にプレイしてみても違和感はなく、ストリートファイター6のヘビープレイヤーである友人に言わせても、操作感は良好という感想だった。操作感についてはよく研究しているものと思われる。

標準的な画面イメージ。ビッグピクチャーモードと呼ばれる、操作しやすいインターフェースを使用する

 バッテリーについては50Whrと記載があり、実際に使ってみるとフルスペックゲームを遊んでみて2時間弱といったところ。劣化を考えると、あまり長時間の使用には向いておらず、一時的なものと考えていたほうが良いだろう。

 電池の持ちや重量などネガティブな部分はあるものの、なによりベッドの上でPCゲームを遊べるのは楽しい。ライフスタイルがちょっと変わる新鮮な感覚がある。また画面が近くなるのでメガネが不要(近視なので)になるのも地味にうれしい。ゲーム内メッセージも大きく見えるので、老眼にもやさしいのがありがたい。

 インディーズゲームはプレイ時間が短く、隙間時間に遊べるものが多い。プレイするためにパソコンを立ち上げる手間がかからないため、プレイ機会がどんどん増えている。次々リリースされる面白いゲームを逃さずプレイしたいのならば、購入検討してみてはいかがだろうか。

外装箱にValveの人気作・Portalのイースターエッグがあった。箱は愛すべき存在だが、ご褒美のケーキは同梱されていない
商品名発売元実売価格
Steam Deck OLEDSteam14万3000円
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