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「転売ヤー」対策や他社周波数への対応など提言へ、競争ルール検証の報告書(案)が公開

 総務省は19日、競争ルールの検証に関するワーキンググループ(第34回)を開催し、「競争ルールの検証に関する報告書 2022(案)」を公開した。

 同ワーキンググループは、2019年に施行された改正電気通信事業法の効果やモバイル市場に与える影響の評価や検証を目的としたもの。これまで、携帯電話ポータルサイトの開設やMVNO事業者がMNO各社に支払う接続料の低廉化、SIMロックの原則禁止を促進してきた。

MNOとMVNOの料金差が接近

 2022年の報告書案では、通信市場の動向として2021年春以降、低廉な料金プランが各社から提供され、利用者の選択肢が拡大。諸外国と比べた料金水準も中位~低位になったと評価した。

 しかしその一方で、MNOとMVNOの料金差が接近しておりMVNOの価格での優位性が低下しているとも指摘している。

 ユーザーの乗り換えやプラン変更の動きは活発化しており、改正法に対応した料金プランの契約数は4000万を突破したとされている。

端末販売は高価格帯が伸びた

 端末市場の動向としては、2021年度のスマートフォン売上台数は前年度比で4%増加、売上高では14%増加したという。1台あたりの平均売上高は6万5810円だった。

 価格帯別で見ると、中価格帯の割合が減り、高価格帯の売上の割合が増加した。報告書案では人気端末の価格帯上昇や端末の大幅な値引きなどが影響した可能性を指摘している。

 5G端末の出荷台数は2倍以上に拡大しており、全体に占める割合はおよそ7割だった。

「転売ヤー」対策や他社周波数への対応など提言

 報告書案における提言案としては、値引き条件明確化のため、セット購入時や端末のみ購入時を併記するなど、端末価格表示のルール策定、覆面調査の実施、不良在庫の値引きなどの適切な運用の実施が必要とされた。

 また、大手各社については、端末メーカーに対して「他社の周波数に対応しないことを求める」など不当な干渉をしてはならないことをガイドラインとして整備する案が示されている。メーカーに対しても各社の経営判断としつつも、複数MNOの周波数に対応することが望ましいとした。

 さらに、MNOと端末メーカーには、他社に乗り換えた際に端末が使用できるかといった情報の充実も合わせて求めている。

 加えて、MVNOとの料金差を狭めることになる、MNOの「一部ゼロ円」の料金プランは、必要に応じて接続料と小売料金との関係を検証する必要性が訴えられている。

 このほか、いわゆる「転売ヤー」対策として、MNOに対しては大幅な値引き販売は1人1台に限定するなど、対策が必要とされ、改善が見られなければ必要な措置の検討も視野にいれるべきとされている。