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ドコモが「ケーブルの近くに置くだけ」アンテナ開発、6Gに向け

 NTTドコモは、電波を伝送するケーブルの近くに置くだけで、通信エリアを作り出せるアンテナを開発した。60GHz帯での実験にも成功した。

 今回発表されたアンテナは、高い周波数帯の電波を届けるケーブル(伝送線路)の誘電体導波路にプラスチックのかけらを接触させると、触れた部分から電波が漏れ出るという現象を用いたもの。

 実験では、誘電体導波路を板に埋め込み、アンテナとなるプラスチックの小片を置くと、その近くで通信エリアができあがった。あわせて、複数設置すると通信エリアを作れること、アンテナの大きさや向きを変えれば通信エリアの範囲や方向をコントロールできることが確認されたという。アンテナを離すと、電波の漏洩が止まるとのことで無駄な電力放射を抑え、エネルギーの利用効率もアップできる。

 実験に用いられている周波数は60GHz帯。5Gサービスでは、ミリ波として28GHz帯の活用が始まっているが、6Gに向けて、さらに高い周波数の活用が想定されている。そうした高い周波数は、アンテナからまっすぐ進む傾向が強く、見通しの悪い場所、障害物に囲まれた場所で、どう通信エリアを作るか、引き続き課題となっている。

 誘電体導波路を床、壁、天井、什器などに埋め込んで敷設したとしても、その近くにアンテナを置くだけとなれば、従来の手法では電波が届きにくい場所であっても、よりスムーズに通信エリアを構築できるようになる。同社では、2022年度上期から、28GHz帯での検証を進め、実用化を目指す。