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5Gによる「リモートでアニメCGを制作する」実証実験、ドコモら4社が成功

 NTTドコモ、スプラッシュトップ、カラー、ワコムは、スタンドアローン(SA、Stand alone)方式の5Gを活用し、モバイル通信でリモートからアニメCGを制作する実証実験を2021年12月22日に実施し、成功したと発表した。

 5G SAと高性能GPUを活用したMEC環境によるリモートデジタル作画は国内初だという。

実証実験の環境

 アニメCG制作は、ワークステーション相当の性能を持つパソコンを準備する必要があり、在宅ではオフィスと同等の性能・操作性を持つリモート環境を用意できないために、制作活動が遅れるといった課題がある。

 また、制作活動には閉じられたネットワーク環境が必要で、非常に高いセキュリティーレベルが求められるという課題もある。

 同実証実験では、ドコモのクラウド基盤サービス「ドコモオープンイノベーションクラウド」に、NVIDIA GPUとスプラッシュトップのリモートコンピューティング技術を用いてエッジサーバーを構築。5G SAで「クラウドダイレクト」による閉域接続を実施し、最大4Kの解像度と60fpsのフレームレートでの画面転送を実現した。

 また実験では、アニメCG業界での利用を想定し、カラー所属のクリエーターが、ワコムの液晶ペンタブレットを用いて、オフィス環境と同等の操作性で描画を円滑にできることも確認した。

実証実験のイメージ

 同環境の活用で、アニメCG、建築BIM、製造デザインCAD、金融、メディアなどの業界で高性能なパソコンをオフィス以外に持ち運ぶことなく、一般的なパソコンやタブレット、スマートフォンを用いて、高セキュアなモバイル通信環境で業務ができるようになるという。

 スプラッシュトップは今後、高性能GPUを用いたリモートコンピューティングサービスの提供を目指すほか、高セキュアなモバイル通信環境を通じて、高性能なパソコンをリモートで利用できる環境の実現に向け、新規ビジネスモデルの可能性を検討するとしている。

 また、ドコモは今後、5G SAおよび「ドコモオープンイノベーションクラウド」を活用し、高セキュアな環境で高性能GPUを用いたソリューションの創出や、新規ビジネスモデルを探るとしている。