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ドコモ、「空から携帯電話のサービスエリア」づくりに向けた電波測定実験

 NTTドコモとスカパーJSATは、5Gの高度化(5G evolution)や、6Gにおける上空からの通信エリア化の実現に向けて、2月15日~2月26日、小型飛行機を活用した市街地・山林・離島での電波伝搬測定の実証実験を行った。

 両社では、上空20kmの成層圏に通信装置を搭載した高高度無人機(HAPS)を飛ばし、広いエリアでの通信サービス提供をめざすための研究開発を進めている。今回の実験はその取り組みの一環であり、今後も実証実験を重ね、2023年度までに成層圏で実証実験を行うことを予定している。

 実験は、これまでの移動通信方式では1Gbpsを超えるような高速通信の提供が難しかった僻地、空、海上などへの通信エリアの拡大を目的としており、市街地(小田原)、山林(丹沢)、離島(伊豆大島)で実施された。小型飛行機を飛ばして、上空約3km先の受信装置に向けて、5Gでの高速通信に適した39GHz帯のミリ波と、比較用として2GHz帯(電波が届きやすい低い周波数帯)での電波の届き具合を測った。たとえば、市街地では建物などの障害物や反射波の影響、山林では地形や樹木の影響、離島では海上からの低い仰角や雲の影響などをチェックしたという。

 その結果、遮蔽物のない見通し環境の場合は、ほぼ机上計算と同じ受信電力が得られる一方で、建物や樹木を挟んだ場合は39GHz帯の受信電力の損失は比較的大きいことが分かった。また、雨が降っていない場合、雲の影響は比較的小さいことが確認された。このような遮蔽物の影響は、複数の地上局を切り替える技術などを用いて軽減することを検討していくとしている。

 さらに、今回の実験では小型飛行機の位置や飛行姿勢によらず、同じ指向性パターンのアンテナを用いて送受信を行ったため、飛行機の旋回の影響でアンテナの角度が変化することにより、受信電力が大きく変化することもわかったという。これにより、将来のHAPS実用化に向けては、旋回による影響を抑えて一定の受信電力を保持する制御技術が重要であることも確認された。