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ドコモのエコノミーMVNOに「トーンモバイル for docomo」が登場、石田氏「保護者と子どもがWin-Winとなる料金プラン」

 フリービットと新会社トーンライフスタイルは15日、NTTドコモの「エコノミーMVNO」で展開する「トーンモバイル for docomo」の新プラン「TONE for iPhone」を12月22日から提供すると発表した。

 携帯電話番号(090や080、070から始まる番号)とIP電話番号(050から始まる番号)、動画以外のデータ通信使い放題で月額1100円で提供される。

 また、トーンモバイルの見守り機能「TONEファミリー」が月額308円で利用できる。なお、「TONEファミリー」の月額料金は、初月~6カ月目の末日まで無料で利用できる。

 このほか、動画視聴する際は「動画チケット」を1GBあたり370円で購入することで利用できる。

2018年夏の中期計画での目標が現実に

フリービット代表取締役社長兼トーンモバイル代表の石田 宏樹氏

 フリービット代表取締役社長兼トーンモバイル代表の石田 宏樹氏はドコモの「エコノミーMVNO」への参加について「塾に通い始めて、お客様の最初のスマホに最適」とし、これまでのサービス同様高校生までの初めてスマホを持つユーザーをターゲットにしたサービスだという。

 フリービットでは、2013年にドコモのMVNOとしてサービスを提供し、独自端末とデータ通信、音声通信をセットで提供。2015年にはフリービットとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が業務資本提携をしトーンモバイルとしてサービスを提供開始した。

 その際に戦略として、子どもをターゲットにiPhoneを使ったサービス提供を描いていた。今回のサービスはまさにその描いた戦略に合ったサービスとなったという。

 トーンモバイルでは、「社会問題をテクノロジーで解決する」を掲げ設立以来インターネットのフィルタリング機能や見守り機能、利用制限サービスなどを提供してきた。今回は、「8年間磨き続けてきた」(石田氏)テクノロジーを月額1408円(基本料金+TONEファミリー)で利用できる通信サービスとなる。

 石田氏は、2018年に制定した「トーンモバイル中期計画」を取り上げた。その中では、「TONEファミリーコントロールエンジンによる見守り機能をほかのキャリアやMVNOにも展開する」ことが掲げられており、今回ドコモショップで同機能を持った通信サービスを提供することができたとコメント。中期計画ではほかにも「自動車のプラットフォーム」やカーシェアリングといった内容も含まれており、石田氏は今回設立した新会社「トーンライフスタイル」で実現していきたいとした。

リニューアルされたロゴ

保護者と子どものしたいことを両立

 石田氏は、ドコモの「エコノミーMVNO」について改めて説明。ドコモの料金プランのなかで低廉(料金が安い)かつデータ容量が小さいものを「ドコモのエコノミーMVNO」と位置づけ、この部分をドコモ回線を使用するMVNOによる提供でカバーし、ドコモショップで契約から基本的な設定までを提供するものとなる。

 石田氏は、「ドコモからは今年初めに声がかかった」とし、トーンモバイルの見守り機能などが評価されて声がかかったのではないかと考えを述べた。

 また、今回の料金プランについて「保護者と子どもがWin-Winとなる料金プラン」(石田氏)と説明。保護者の「安く抑えたい」や「使い方が心配」といった声と子どもの「スマホを使いたい」「iPhoneを使いたい」といった声のどちらにも応えた「通常はマッチングしないニーズをマッチングさせるサービス機能と独自機能」としている。

教育意識の高い家庭がターゲット

 提供中の「TONEファミリー」の機能の一つ「ジオフェンス」機能は、登録した場所に端末を持ったユーザーが近づくと家族に通知が届く機能。この機能に登録されている場所を分析してみると多くが私立/国立中学近辺だったという。

 この結果を踏まえ、「TONEファミリー」機能をもった「トーンモバイル for docomo」について、ターゲット層となるのは「教育意識の高い家庭」となると説明。さらに、東京だけでなく全国でも約15%が中学受験を検討している層がターゲットになるとし、「トーンモバイル for docomo」のターゲットは全国に存在するとしている。

 また、ドコモショップでは新規でiPhoneを購入することや、ドコモの端末購入プログラム「いつでもカエドキプログラム」を利用して端末を購入できる。さらに、ドコモショップ店頭でも中古のiPhoneを持ち込んでの契約もでき、通信できるまでドコモショップのサポートを受けられるという。

従来プランから約50%に値下げ

 従来のプラン「TONE SIM(for iPhone)」では、基本料金が1650円、これにTONEファミリーが220円、携帯電話番号の「090音声オプション」が1045円かかる。

 新プランでは、1100円の月額料金に携帯電話番号が含まれているうえ、TONEファミリーが親と子の2アカウントで月額308円で利用できる。

 ドコモショップでの取り扱いにあたり、ドコモへのインセンティブやdポイント付与の原資の負担などが必要となるが、石田氏は「ドコモからの(回線使用料などの)卸料金の低廉化と将来的な値下げ、またユーザー数が多くなりTONEファミリーなどの機能に関わるコストが低下したため値下げを実現できた」とコメントした。

 なお、既存ユーザーの月額料金は、1月請求分から新プランと同様の価格に改定するという。既存ユーザーの新プランへの移行は、新規扱いとなる。090音声オプションの電話番号は、MNPにより番号を引き継げると説明した。

TONEあんしんAIによる年齢に合わせた見守り機能

 TONEファミリーで提供する機能には、自画撮り被害やネットいじめなどの被害を抑止する機能を搭載しており、AIによる機能と必要に応じて保護者への連絡などが備えられている。

 たとえば、ファイヤーウォール機能では、トーンモバイル独自のキャリアグレードファイアウォール(CGFW)により、iOSの「スクリーンタイム」を利用しなくてもアプリごとの利用時間帯の制限ができる。また、スクリーンタイムではアプリの制限はできてもブラウザからアクセスし利用できてしまうケースがあるが、CGFWでは通信自体を遮断できるためブラウザでも利用を制限できる。

キャリアグレードファイアウォール(CGFW)
設定画面。保護者で設定を解除していれば、新しいツイートが読み込める
設定後の状態。LINEもメッセージが送信できず、Twitterアプリでも画像の読み込みや新しいツイートの取得ができない
設定画面、年齢別のレーティングも用意している

 TONEファミリーの機能は、内閣府の「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画」のアップデートに合わせる形で機能を随時アップデート、拡充し続けている。

 たとえば、近年発生件数が上昇している自画撮り被害に関しても、iPhoneの標準カメラアプリでの自画撮り抑止をサポートする「TONEカメラ」機能について、先述の内閣府の基本計画に先行対応する形で提供を開始した。この機能は、東京都を含む9都県市から「自画撮り被害抑止に資するスマホアプリ」として認定されているという。

TONEカメラ
不適切な写真を撮影しようとすると、保護者に通知と撮影した場所を知らせられる

 TONEファミリーの設定アプリ「Oneファミリー」では、家族とのコミュニケーションが分断されないようアプリ内にメッセージ機能などを内包している。これにより、家族の状況がリアルタイムで把握でき、家族内で安心安全に使用できるとしている。

全国およそ2400店舗で契約手続き

 ドコモショップでの取り扱いがスタートすることで、これまでTSUTAYAやカメラのキタムラ112店舗で取り扱っていたものが、全国およそ2400店舗にまで拡大することになる。

 ドコモショップでの取り扱いについて石田氏は「(店頭での)いろいろなサービスをドコモさんとしっかり勉強させていただきながら進めていく」とコメント。また、今後Androidスマートフォンやトーンモバイルのターゲット層であるシニア層向けのプランなども検討を進めていきたいと今後の方針を示した。

ドコモへのインセンティブは「合理的な値段」

 質疑では、多岐にわたる質問が挙がった。サービス内容については、ここまでですべてご紹介しており、ここからはサービス内容以外での主な質疑をお伝えする。回答者はフリービット代表取締役社長兼トーンモバイル代表の石田 宏樹氏。

――ドコモの「エコノミーMVNO」参加で、ドコモショップで売れることがメリットだと思うが、ドコモへのインセンティブについてどのように捉えているか?

石田氏
 ターゲット層が絞られていることやdポイントの原資負担など、非常に合理的な判断で、実際の価格帯や金額についても、(ドコモに)やっていただく内容としては非常に合理的な内容でしたので、ポジティブに捉えています。

――新会社を立ち上げた理由は?

石田氏
 ドコモさんのdポイントに対応するためのログイン方法など、レギュレーションにしっかりと対応することや、今年発表した中期経営計画で挙げていた「5G時代のライフスタイル」を提案していくため、それに特化した動きをできる形で新会社、新事業体での取り組みを行っているところになります。