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50機超のドローンを1カ所で同時に管理、KDDIなど3者が「レベル4」見据え実証実験

 KDDIと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、パーソルプロセス&テクノロジー(パーソル P&T)は、全国13地域で同時に飛行するドローンの運行管理システムの実証実験を実施した。

左から経産省 川上氏、NEDO 林氏、KDDI 増田氏、パーソルP&T 前田氏

 2022年度中の制度整備が予定されている「有人地帯における補助者なし目視外飛行」(レベル4)を見据えた取り組みで、複数のドローンを制御し安全に飛行させる運行システムを開発。検証の結果、全国から機能・オペレーションの両面で運用可能なことを確認したという。

 NEDOが2017年より進めてきた事業で、運行管理機能を実環境で実証する研究開発として、KDDIとパーソルP&Tの提案を採択。3月には宮城県、三重県、兵庫県の3地域で9機のドローンを運行管理する先行実証を実施している。

22年度のレベル4施行に向けて取り組み

 実証では、東京都港区虎ノ門にあるKDDIオフィスに運行管理の設備を設置。全国13地域を飛行する52機のドローンを同時に管理した。

 複数の事業者が運行、かつメーカーも異なる機体同士が連携し、実運用環境での実証に成功したという。ドローンの中には主流のマルチコプター型以外にも飛行機のような固定翼機も含まれる。

 どこへ飛ぶのかなどの飛行情報をシステムに入れ込むことで、他機に影響が出ないかなどを確認。飛行後は、位置情報などはすべて虎ノ門で確認・管理され、現地の要員は電源を入れて飛行させるのみという。

 実証では52機を同時管理したが、通信のキャパシティがあればさらに多数もカバーでき、1000台あったとしても管理は可能で、ニーズがあればシステムも増強するという。

 運行管理システムは、サービスと運行管理の2つのレイヤーに分かれる。サービスレイヤーは、ドローンを運用するユーザーが操作する部分で、一方の運行管理レイヤーは、有人機でいうところの管制にあたるもの。

 他事業者では、1エリア1システムといったかたちで実証を進めているが、今回の取り組みで用いられた仕組みであれば、全国の機体を一元的に管理できるようになる。ヘリコプターなど、有人機を管理するシステムと接続しており、ドローン同士のみならずヘリコプターとの接近も避けられる。

 実証を通して見えてきた課題としては、オペレーションの人数の多さが挙げられるという。コミュニケーションツールを活用し東京と運用の現場でやり取りを行っているが、有人機の100倍以上ほどの数が飛行すると見込まれる、ドローンの運用においては判断・許可をすべて伝えるのは難しい。KDDI 事業創造本部 ビジネス開発部 ドローン事業推進グループ マネージャーの杉田博司氏は、段階的にそれらを自動化する必要があると語った。

 同社では今後、さまざまなパートナーと連携し、より社会で使えるシステムにすることと、2022年のレベル4開始に向けて、今回の成果や課題を含めて国と連携して社会実装を目指すとした。

企業参画に向けたガイドラインを作成

 パーソルプロセス&テクノロジーでは、実証の安全管理やユースケースの検証実施などの管理などをするとともに、ドローンのビジネスモデルの確立に向けたガイドラインを作成する。

 パーソルプロセス&テクノロジー 執行役員 ビジネスエンジニアリング事業部 事業部長の前田清史氏は「ドローンの社会実装には、多くの企業の参画が必要不可欠」と説明。

 同社では、今回の実証で得られた知見をもとに、収益モデルやビジネスモデル、必要な経営資源などを定めたガイドライン作成をすすめ、2022年1月にも展開していくという。

空飛ぶクルマの登場も視野に

 杉田氏は、レベル2の運行では人手を介在するため、省人化などの観点から事業のネックになっていると説明。また、レベル3では自律飛行可能なものの、有人地帯の飛行も制限される。

 一方、警備や物流では有人地帯上空を飛行する必要があり、現状では事業化が難しい。また、インフラ設備などの遠隔でのドローン点検は、現状でも実施されているものの、ワンタッチでドローンを飛ばすだけといった運用を実現することで業務の省人化が期待でき、活用シーンの広がりが期待できる。

 KDDIでは、モバイルネットワークを活用し、長野県伊那市における物流ドローンや実証としての提供などでドローン遠隔飛行のノウハウを重ねてきた。「モバイルネットワークの使い方はこれだけではなく、コネクテッド化することがある」と語る。

 レベル4でのドローン運行では、ドローン同士の現在地の共有やヘリコプターなど有人機との衝突の回避に向けた策が必要になる。ドローンをコネクテッド化し運行管理システムを用いることで、両機の位置を把握、衝突回避などにつなげることが期待される。

 災害現場においては、ヘリコプターがいる中でドローンを飛ばしたいという状況もあり、有人機・無人機あわせた連携の必要性が高まっている。

 経済産業省 製造産業局 産業機械課 次世代空モビリティ政策室 室長の川上悟史氏によれば、ドローン市場は拡大傾向にある。国内市場は現在1400億円規模で、2025年には4倍に拡大する見込みという。

 現在認められているレベル3飛行では、無人地帯でのみ目視外飛行が認められているが、2021年の通常国会で成立した改正航空法により、2022年12月からは有人地帯での目視外飛行が可能なレベル4での飛行が可能になる予定となっている。

 川上氏によれば、ドローンのレベル4を実現した後の展望として、2025年の大阪万博での公開を目指す、飛行する自動車といった次世代航空機の実現を見据えており、そうした場合にも安全に飛行できる効率的な空域共有についても、検討を進めていくとしている。

 また、将来的には同様の管理システムが多数登場することが予測されるが、その際に国がどう関わっていくかは、安全性や効率などさまざまな観点から現在検討しているという。