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都内初、有人地帯で「ドローンのフードデリバリー」実証実験を見てきた

 20日、東京・竹芝で、ドローンによるフードデリバリーの実証実験が実施された。KDDI、JR東日本、ウェザーニューズ、Terra Drone、JALの5社による取り組みで、2022年度にも解禁される「レベル4」のドローン制度を見据えたものという。

 実験にあたり報道陣に今回、ドローンによるフードデリバリーの一連の流れが公開された。どのような利用シーンとなるのか、そし、実験で何を目指すのか各社の狙いをレポートしよう。

都内初の有人エリアでのドローンデリバリー

 今回、仕組みとして新たな点となるのは、都内で初めて、有人エリアでのドローンによる配達、というものだ。

 現在、ドローン飛行については、目で見える範囲(目視内)で無人/有人飛行ができる(レベル1、レベル2)。そうした中で、2022年度にも制度が整備される見通しという「レベル4」では、有人エリアを、操縦・運営側の目の見えない範囲でも飛べるようにする。

 レベル4でドローンを飛ばせるようになることで、たとえば業務用として、橋脚や高速道路、工場設備などの点検をドローンで自動化する、といった活用方法が期待されている。

 その一方で、都内のような人口密集地でもドローンを活用するビジネスをどう生み出していくのか。

 今回の「ドローンでフードデリバリー」は、ユーザーにとって美味しい店の料理を届けてもらうだけではなく、ドローンというまだまだ日常では馴染みのない存在により、エンターテイメントとして楽しんでもらい、将来的なビジネスモデルの一例になり得るか検証するという狙いがある。

70mの距離で届ける

 会場で利用できるフードは、3~4人で1万円の「アトレ竹芝スペシャルランチセット」と、1セット4食分で2万円の「スペシャルランチセットボックス」。一般から参加者を募り、20日10時~17時に実施された。

着陸するドローン

 フードは箱詰めされ、ドローン(機体名:ACSL-PF2)の下部に搭載。70mほどの距離を飛んで、参加者の近くに用意された地点へ着陸する。そこでスタッフがピックアップし、参加者に届けるという流れ。

 実証実験としては、東京都のプロジェクトに基づいて実施されたもの。ドローンの社会実装に向けた取り組みで、エンターテイメントとしての価値がどの程度あるのか、そして配送にかかるスピードが検証されることになる。

 担当者によれば、技術面では、KDDIが携帯電話ネットワーク対応のスマートドローンを管理するプラットフォームで対応できたところはあるものの、都心部ということで巨大なビル群のなかで、位置情報を高い精度で得ることが難しいと解説。

 さらに、周辺の住民や施設との話し合い、自治体側との協議など、有人エリアでドローンを飛行させることへの調整にはどうしても時間が必要な面があった。

 2022年度にも制度が整い、解禁される“レベル4”「目視外ドローンの有人エリア飛行」を実際のビジネスとして育てていくため、今回の実験もマイルストーンのひとつとなる。