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総務省研究会で「プレフィックス自動付与機能」や「データ接続料の水準」について検証

 総務省は15日「接続料の算定等に関する研究会」を開催し、接続料の適正性向上などが議論された。同研究会では、第5次報告書の骨子案がまとめられ、「5G SA提供における課題」「NTT東西の光ファイバーの接続料の透明化の進展」や、「モバイル音声卸に関してプレフィックス自動付与機能の条件など」についてまとめられている。

5G SAにおける課題

 現在の5G通信は、4GのコアネットワークによるNSA(ノンスタンドアローン)方式で提供されているが、2021年から独立した5GのコアネットワークによるSA(スタンドアローン)方式に順次切り替わっていく。ネットワークの仮想化やスライシングの導入など、公正な競争関係の確保に影響を与える環境変化が進展していくことが想定されており、研究会ではMVNOへの機能開放方法などが議論された。

 MVNOへの機能開放としては、APIを利用する形態の「ライトMVNO」と、コアネットワークから開放する「フルMVNO」の2つの方法が議論され、メリットデメリットや実現に向けての課題の洗い出しやスケジュールなどが事業者間で議論された。

 研究会では、総務省が「MNOとMVNOが同時期にサービス開始できるよう」事業者間の協議を注視する必要があると指摘。

 また、今回の協議では「既存LTEとの連携」や「音声通話の実現方法」、「MEC(Multi-access Edge Computing)の活用・連携」について、これらの実現に向けてMNOとMVNO間で精力的に協議を行っていくことが必要である旨を確認した。

 これらの協議について「MNOが能動的に交渉に臨むこと」や「MVNOへの積極的な情報開示など卸交渉を活性化/適正化する方策」の実施を促すとともに、総務省に対して適切に行われているか注視することや精度的な対応の検討を求めた。

NTT東西の卸料金は値下げ傾向へ

 研究会では、NTT東西の費用項目や卸料金と接続料相当額との差額が示され、透明性が向上されている。また、この検証を踏まえて卸料金の引き下げが実施されることで、接続料相当額と卸料金の差額の拡大が抑えられるとしている。

 また、光ファイバーに係る接続料では、2020年度と比較して主端末回線部分についてNTT東日本が113円、NTT西日本が141円引き下げが行われているなど引き続き減少傾向が見られており、卸料金の値下げがなければ卸料金と接続料相当額との乖離が大きくなってしまうと指摘。研究会において引き続き対応していくことを確認した。

プレフィックス自動付与機能

設備形態の違い(研究会資料より)

 モバイル回線の音声通話に関して、音声卸とともに議論されているのが「プレフィックス自動付与機能」。同機能では、これまでMVNO回線ユーザーが通話料の低廉化のために「アプリなどを経由して発信する」行為がなくなり、標準の電話アプリからそのまま発信するだけで、MVNOの通話サービス経由で音声電話ができるようになる。

 研究会ではプレフィックス自動付与機能について「音声卸の代替となるサービスかどうかは検証が必要」とし、音声卸についても継続的に議論が必要との意見があったことが報告書案に含まれている。

 なお、プレフィックス自動付与機能をMVNOで使用できるようにするためには、KDDIとソフトバンクではSIMカードの交換が必要な旨を明らかにした(NTTドコモは交換不要と回答)。4G通話については、SIMカード交換不要で対応できるよう改修する用意はあるものの、3G通話については、通話機会が非常に少ないことや数年以内に停波することから改修はしない方針を示した。

 また、同機能ではいわゆる「中継事業者」を利用することになる。中継事業者については、MNO系列会社の中継事業者の存在があるがそれ以外の中継事業者も複数存在することから、現時点では「中継事業市場」の競争は歪められているとは言えないとしながらも、引き続き注視する必要があるとした。

MNOのプラン料金と接続料との関係を検証

携帯料金のコスト構造イメージ(研究会資料より)

 2020年10月以降に発表されたMNO3社の新料金プランについて、MVNOに提示されているデータ接続料でMNO3社の新料金プランに対抗できる水準の料金を提示できるかどうかなどの問題提起がなされた。

 これをうけて、同研究会では「MNO3社の新料金プランの料金水準が、データ接続料等の回線費用に営業費を加えた額を上回っているのか」について検証を実施。MVNOが適正な利潤を得られる水準となっているかを検証した。

 MNO3社による試算結果では、直ちに原価割れの状況だとは言い切れないとしながら、データ接続料の水準が適正かどうかという疑念は残ったとした。

 また、同検証時にインターネットイニシアティブ(IIJ)とオプテージからコスト構造に関するヒアリングを実施し、MVNOの原価構造において、データ接続料の占める比重が大きく経営に与える影響が大きいことが明らかになったという。

 今回の検証では、新料金プランに絞って実施されたものであるため、今後MNO間の競争が活発になる中、MNOとMVNOの間のイコールフッティングの適正性の確保の観点から、携帯電話料金と接続料等の関係については引き続き注視し、更なる検証を行っていく考えを示した。なお、検証の際は、特定の範囲やサービスに絞ったものではなく、MVNO市場全体を俯瞰した検証の実施が必要と指摘している。