ケータイ用語の基礎知識

第656回:第三者課金サービス

 「第三者課金サービス」とは、通話にかかる料金を、通話するユーザーや通話機能を提供する事業者ではなく、他の事業者、つまり第三者が請求に関わるサービスです。

 多くの企業からこの第三者課金サービスが提供されています。通話する際、相手先(通話先)の電話番号の前に、「プレフィックス」と呼ばれる特定の番号を付け加えることで、第三者課金サービスを利用した通話を利用できます。

 第三者課金サービスには、さまざまな使い道があります。たとえば、NTTコミュニケーションズやソフトバンクテレコムなどでは、法人向けサービスとして、この第三者課金サービスを提供しています。そのサービス内容は、社員個人が持つ1台の携帯電話で、個人用の通話と仕事用の通話、両方に使う際、特定のプレフィックス番号をつけて電話をかけると、その電話料金の請求を会社に行うというものです。

 また、第三者課金サービスの中には、個人ユーザー向けに提供されているサービスもあります。最近では、楽天でんわ、ブラステル、G-Callなどが注目されています。それぞれ「0037-68」「0091-2020」「0063」のプレフィックスを付けて発信します。

 この第三者課金サービスには「携帯電話事業者の回線を使うよりも費用が安くて済む」という特徴もあります。携帯電話を使った通話では、「ユーザー~携帯電話事業者―相手先の携帯電話事業者~ユーザー」と、ユーザー間に携帯電話事業者のみ入る形です。

 一方、第三者課金サービスを使うと、「ユーザー~携帯電話事業者~第三者課金サービス~相手先の携帯電話事業者~ユーザー」となります。たとえばG-Callの場合は、間に挟むサービスとして国際回線を利用しており、通話料に消費税がかかりません。

 最近話題の通話サービスで、通話料が安くなる仕組みはここにあり、間に入る第三者課金サービスの事業者が、大口契約で回線を用意し、それをエンドユーザーが使う、という形にすることで、通話料を割安に設定できるとされています。

「通話料半額」をアピールするところも

 LTE方式のスマートフォンでは、携帯電話の通話料は高止まりしています。2014年3月現在、20円/30秒(税別)という通話料のプランが一般的です。

 一方、第三者課金サービスを経由して電話をかけると、この半分程度の料金で通話できることがあります。個人向けサービスを提供している企業では、これを売りにしていることも多くあります。

 第三者課金サービスを利用した場合の通話品質ですが、音質自体は通常の音声通話とほぼ違いなく、遅延もほとんど気にならない程度。実際には、通常の携帯電話の音声通話と変わりありません。このあたりは、同じように通話料を安くする「050」番号のIP電話と異なり、通常の回線交換方式を使っているからこそのメリットです。

 発番号通知が可能なサービスでは、発信者の電話番号が相手側の携帯電話に通知されることもメリットのひとつと言えるでしょう。050番号を使うIP電話では、050で始まる、通常使う携帯電話の番号でない番号が通知されることになります。楽天でんわをはじめとする第三者課金サービスでは、ユーザーが普段使う携帯電話番号が相手に通知されます。

 なお、楽天でんわ、ブラステル、G-Callともスマートフォン向けに、発呼時に自動的にプレフィックスを付けてダイヤルするアプリケーションを配布しており、これらを利用することで、ユーザーは意識することなしにプレフィックスを付けて通話相手に電話をかけることが可能になります。

 従来型の携帯電話では、自分でプレフィックスを入力してダイヤルするか、「プリセット登録」などの機能を使って、自分でプレフィックスを設定する必要があります

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)