ケータイ用語の基礎知識

第977回:プレフィックス番号自動付与機能とは

00XYを手動・アプリを使わずとも使える=通話料金が意識せずに安くなる

 プレフィックス番号とは、音声通話で、電話をかける際に特定の番号を付けて電話番号を呼び出すと通話料が安くなるという識別番号のことです。

 現在、携帯電話では、手動でその識別番号をかけたい電話番号の前にプッシュするか、あるいはスマートフォンの場合、専用アプリを使って電話をかけることでユーザーの代わりにプレフィックスをつけて電話をかけてくれるようになっています。特にMVNOの回線を利用する場合、「専用のアプリを使うと通話料金が安くなる」(例:30秒10円など)というサービスとして提供されていることが多いようです。

 この手の専用アプリの代表的なものとしては、IIJmioの「みおふぉんダイアル」や、mineoの「mineoでんわ」、OCN モバイルONEの「OCNでんわ」などがあります。これらは、それぞれ「0037691」「006751」「003544」というプレフィックスを手動で付ける替わりをしてくれているのです。

 逆にいえば、これまでは格安SIMを使っていても、スマートフォンの通常の通話アプリを使っていた場合、たとえば30秒で20円というような高い料金を払って通話をすることになってしまっていました。

 プレフィックス番号自動付与とは、設備を持った事業者の交換機などで自動的に識別番号を付与することです。これによって、「プレフィックス番号」をユーザーの手や、スマートフォンのアプリを利用せずに、同等の効果を得ることができます。

 固定電話でいえば、利用したい電話会社をあらかじめ登録しておけば、その会社のプレフィックスをダイヤルしなくても、登録した会社で電話をかけることができる電話会社選択サービス「マイライン」がありますが、これと似たようなものであると言えるかもしれません。

 ただ、携帯電話の場合は、マイラインとは違い特に手続きなどはしなくとも、格安携帯電話会社を選んだ時点で安い通話料金が選択されることになるので、より選択が手軽になるとも考えられます。

 携帯電話の基地局などの設備を持つ携帯電話会社のうち携帯電話大手3社は、2021年2月中に「プレフィックス番号自動付与」サービスの接続約款の届出を行い、早期の受付開始を案内するとしています。

通話品質は? なぜ通話料金が安くなるのか

 電話料金が安くなる理由にはいくつかあるのですが、その大きなもののひとつとしては「中継電話が使われる」ということが挙げられます。

 中継電話とは、携帯電話から通信をやりとりするMNOの設備を経由して、一度「中継電話設備」に接続してから、電話網に接続するという仕組みです。

 ある電話からある電話へ通話するのに、途中に「中継」が入るのにかえって安くなる、というのは理解しにくいですが、これは、本連載「656回:第三者課金サービス」で解説したように、最近話題の通話サービスで、通話料が安くなる仕組みはここにあり、間に入る第三者課金サービスの事業者が、大口契約で回線を用意し、それをエンドユーザーが使う、という形にすることで、通話料を割安に設定できるとされています。

 なお、第三者課金サービスを利用した場合の通話品質ですが、音質自体は通常の音声通話とほぼ違いなく、遅延もほとんど気にならない程度。実際には、通常の携帯電話の音声通話と変わりありません。このあたりは、同じように通話料を安くする「050」番号のIP電話と異なり、通常の回線交換方式を使っているからこそのメリットです。

 また、発番号通知が可能なサービスでは、発信者の電話番号が相手側の携帯電話に通知されることもメリットのひとつと言えるでしょう。プレフィックス番号自動付与では、00XYのプレフィックスから始まる番号ではなく、ユーザーが普段使う携帯電話番号が相手に通知されます。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)