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IIJ決算「ギガプランで復調の兆し」、LINEMOミニプランに勝社長「影響なし」
2021年8月10日 17:16
インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2021年度第1四半期決算を発表した。売上収益は前年同期比+5.2%の529.7億円、営業利益は同+113%の43.6億円、当期利益は同+214.1%の35.1億円となった。
本記事では、同社のモバイル通信サービス関連の内容を中心に取り上げる。
IIJでは、法人向けの接続サービスやほかのMVNO向けサービス(MVNE)、個人向けのモバイル通信サービス(IIJmio)などを行っている。
今回の決算では、「法人接続サービスで増収率+40.1%」、「MVNO再編によるMVNEの売上減少」、「IIJmioでは『ギガプラン』のスタートなどで回線数増加」、「キャリアとの接続料の低下やユーザーあたりの売上減少」などがトピックとして挙げられる。
法人向けサービス
法人モバイルサービスで増収率+40.1%
法人向けの接続サービスでは、専用線サービスの売上が32.8億円、モバイル事業「IIJモバイル」では、売上が51.9億円となった。
このうち、法人モバイルサービスの売上は23.4億円で、増収率は前年同期比+40.1%となった。さまざまなネットワークカメラの接続需要が継続していることが、背景にあるという。
MVNO再編によるMVNEの売上減少
法人向けモバイル事業「IIJモバイル」では、MVNE(仮想移動体サービス提供者、MVNOに対する支援サービス)の売上が、前年同期比-15.3億円減の28.5億円となった。
これには、キャリアからの仕入れ値減少に伴う単価の減少や、ユーザーであったMVNO事業者が再編によりキャリアに編入され、順次キャリア回線に移行していることなどが背景にある。
IIJ代表取締役社長の勝 栄二郎氏は「あるコンテンツ会社がキャリアに買収されたことで、約30万回線程度減少すると見ている。MVNOの世界も厳しい競争があると思っているが、現在のところ今回以外で我々のサービスからほかのサービスに移る動きはないと思っている」とコメント。
また、今後の見通しについて「たとえば、コロナによる(ショップへの来客減)などで大手が減っている部分がある一方、地元顧客に強いケーブルテレビや電力会社が、回線を増やしているところがある。一概に増えるか減るかはわからないが、(IIJの)営業次第だと思う」(勝氏)としている。
個人向けサービス
「ギガプラン」で回線数増加
4月からスタートしたIIJmioの料金プラン「ギガプラン」について、勝氏は「非常に順調に推移している」とコメント。
2020年の第1四半期~第4四半期まで、IIJmioの回線数は減少を続けてきたが、今期では前四半期比で+1.9万回線の105.3万回線となり復調の兆しを見せた。
このうち、ギガプランの回線数は46.2万回線で、新規の回線数は約17%だという。
LINEMOのミニプランの影響は?
3キャリアのオンライン専用プランについては、「(ギガプランは)どちらかというと低容量プランで、4GB前後が中心で全体の8割を占めている。キャリアのプランとは相当に違う」とし、「ギガプラン」に与える影響は少ないとの考えを示した。
また、ソフトバンクのLINEMOの「ミニプラン」についても、「我々は(ミニプランの)3GBだけでなく、さまざまな容量のプランに分かれている。さまざまな付属サービスも用意して提供しているので、影響はないと思っている。(IIJとしては)公平な競争環境を強く求めていきたい」とした。
ユーザーあたりの売上減少
契約回線数が増加した一方で、個人向け接続サービスの売上は前年同期比-5.4%の61.1億円となった。
ギガプラン提供開始と、既存ユーザーのギガプランへの移行により、ユーザーあたりの平均売上が減少したことが背景にあるとしている。
半導体不足については影響なし
なお、半導体不足について、勝氏は「さまざまなメーカーと連絡を密にしている。今の所、注文を前倒ししたり、ほかの機械、設備に切り替えるなどで対応できている。相当長引けば、まだ何とも言えないが、今のところ、大きな影響は出ていない」とコメントした。