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NEC、ローカル5G事業への本格参入を表明、SA型5Gモバイルコアを提供

 NECは、地域限定のネットワーク「ローカル5G」事業への本格参入を発表した。2023年度までに100以上の企業・団体へ同社のローカル5G関連の製品やサービスの提供を目指す。

今冬に免許申請、20年度以降自社でも活用へ

 ローカル5Gは、総務省が主導する5G時代の新たな制度。5Gの電波を企業や自治体などに割当てることで、それぞれ個別のニーズに合わせ柔軟に5Gネットワークを構築できる。通信事業者の5Gが普及していない地域でもいち早く5Gを利用できるほか、他地域の通信障害や災害の影響を受けにくいなどのメリットがある。

 NECでは、端末や基地局、クラウド、コアネットワークからデータ分析AI技術などのソフトウェア面までの運用保守をパートナー企業と連携しながら、トータルソリューションとして提供する。中心となる領域は製造、建設、交通、流通、公共などになる。

 NECでは、12月下旬に受付けが開始される28GHz帯のローカル5G免許を申請、同社玉川事業場内に開設する「ローカル5Gラボ」で利用する予定。同施設では、ローカル5Gの通信環境の体験や使用例の検証などが可能となる。

 このほか、NECの子会社であるNECプラットフォームズの甲府工場とタイ工場において2020年度以降にローカル5Gを導入する予定としている。

Stand Alone型5Gモバイルコアを開発

 NECでは、ローカル5G事業への参入に合わせてスタンドアローン(SA)型コアネットワークを開発し、5G導入を進める通信事業者やローカル5Gを導入する企業向けに提供を開始した。

 提供されるコアネットワークはオンプレミス型に加え、クラウド上でNECがネットワークを運用し、サービスを提供するクラウド型の2種類。

 3GPP標準に基づき、ネットワーク制御とユーザデータ処理が分離されており、制御部分をクラウドに集約することができる。これにより、ローカル5Gでは、制御用の設備が不要になるため、導入や運用時の負担を大幅に軽減できる。

 加えて、制御用ソフトウェアのマイクロサービス化を実現。個々のサービスを独立して扱えるため、各サービスに最適なリソースを追加や削除ができ、スケーラビリティに優れる。また、コアネットワーク構築時のソフトウェアの設定は自動化されており、迅速なサービス展開が可能。

 また、3GPP標準に準拠したネットワークスライシングに対応している。これにより、サービスメニューの多様化やさまざまなニーズが考えられるローカル5Gにおいても、5Gの特徴である高速、大容量、多接続、低遅延を損なうことなく、サービスごとに仮想的に分離したネットワークで安定した通信を実現する。