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「Snapdragon 865」搭載スマホの実力は? スペックとベンチマークをあらためてチェック
2019年12月16日 21:30
従来比25%、AI性能は2倍に――クアルコムが発表したスマートフォン向けチップセットの新モデル「Snapdragon 865」のスペックの一端だ。
項目 | Snapdragon 865 | Snapdragon 765 |
CPU | Kyro 585 2.84GHz×1 2.4GHz×3 1.8GHz×4 | Kyro 475 2.3GHz |
GPU | Adreno 650 | Adreno 620 |
下り最大速度 | 7.5Gbps | 3.7Gbps |
通信 | ミリ波/sub-6対応 SA/NSA、DSS、グローバルローミング、グローバルマルチSIM | |
カメラ | 最大2億画素カメラ、8K映像(30fps)、4K映像(120fps)、4K映像+6400万画素写真の同時撮影、20億ピクセル/秒、960fpsスローモーション撮影(720p)、Dolby Vision for Video、 | 最大1億9200万画素カメラ、最大2200万画素デュアルカメラ(30fps、ゼロシャッターラグ)、最大3600万画素シングルカメラ(30fps、ゼロシャッターラグ)、 |
その他 | 第5世代AIエンジン、オンデバイスAI、3D Sonic Max(指紋認証、865のみ) |
今回、そのスペックの詳細が明らかにされるとともに、ベンチマークアプリでその性能を試す機会に恵まれた。
CPUの構成
Snapdragon 865は、さまざまな処理を中心的な役割で担うCPU、AI処理用のプロセッサー、あるいはグラフィック処理用のGPUなど、いくつかの部品がひとつにまとめられている。
CPUの「Kyro 585」は、先代モデルと比べ、その性能が25%アップ。8つのコアのうち、armのCortex-A77を用いるCPUは、全部で4つ。1つは2.84GHz駆動と最もパワフル。あとの3つはPerformance用で2.4GHz駆動だ。
残り4つのコアは効率性を追求するもので、armのCortex-A55を用い、1.8GHzで駆動する。
通信関連の仕様
5G対応のX55モデムは、下り最大7.5Gbpsをサポート。LTEと同じ電波を共有できる「DSS(ダイナミック スペクトラム シェアリング)」に対応する。またWi-Fi 6(IEEE802.11ax)に対応する。
2億画素カメラに対応
Snapdragon 865は、200メガピクセル、つまり2億画素の写真撮影をサポートする。
動画では、1秒あたり2ギガピクセル(20億画素)の処理に対応し、より高精細な映像を楽しめるようになる。4K HDR映像を撮りつつ、6400万画素の写真を撮影できる。また、8K映像の撮影もできる。
またDolby Vision for Video対応で、HDR映像の撮影もサポートする。
このほか、960fpsのスローモーション映像も対応している。
ベンチマークアプリで示したその実力
これまでよりスペックアップするというSnapdragon 865。その実力の一端を示すべく、クアルコムは各国の記者の前で、ベンチマークアプリによるテストの結果を披露した。
ベンチマーク用のデバイスは、5.9インチ、2880×1440ピクセルのディスプレイ、12GBのメモリ(DDR LP5 dual rank)、ストレージは128GBというもの。
利用アプリはAnTuTuやGeekbenchなど、ベンチマーク計測では一般的なもの。アプリの中では機種名のような形で「qti Kona for arm64」と表示されていたが、これはSnapdragon 865を示す。
たとえばAnTuTuを実行した際のスコアは、約54万。クアルコムが事前にテスト(3回実行した際の平均値)もその程度だ。
会場にいる国内外の記者が、手元にあるスマートフォンでもベンチマークをして比較したところ、iPhone 11 Pro Maxでのスコアは約53万と、ほぼ同等の結果となった。
ベンチマークアプリは、処理性能を示すひとつの目安にはなるが、実際の利用においては、ユーザーインターフェイスなどの作り込みや、発熱対策など、それ以外の要素で最終的な「使いやすさ」が定まってくる。
とはいえ、Snapdragon 865が示す実力は、現在のスマートフォン市場で最高スペックとなるもの。2020年、日本でもおそらく登場するであろうSnapdragon 865搭載スマートフォンがどのような仕上がりになるのか、今から楽しみにしたい。