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5Gスマホを手軽に開発できる「Snapdragon 865/765」搭載モジュール、クアルコムから
2019年12月4日 17:07
クアルコムは、最新チップセット「Snapdragon 865」「Snapdragon 765」を搭載するモジュールを開発した。ノキアブランドの携帯電話を手がけるHMD社が同モジュールを活用する方針を明らかにしている。
Snapdragonは、コンピューターとしての頭脳となるCPUや、グラフィック処理を司るGPUなどで構成されるチップセット。さらにモジュール化することで、アンテナやアンプなどが1つのパッケージとして提供されることになり、5G対応スマートフォンを開発しやすくなる。
5Gスマホでは、4Gよりも高い周波数(ミリ波、サブ6)を扱うことなどから、開発の難度が高まっている。しかしモジュールを用いれば、発熱対策や通信性能などのチューニングが軽減できると見られ、開発にかかる時間の短縮も見込める。
モジュールを採用することでパーツの配置も効率化できれば、スマートフォン内部の空間に余裕が生まれ、たとえばより大きなバッテリーを採用することもできる。さらにユーザー体験や外観、ソフトウェアの開発にも注力できることになる。
結果的に、より多くの5G対応スマートフォンが、使いやすさなどにもこだわった形で登場しやすくなりそうだ。
モジュールを採用する製品に対しては、Snapdragon Modular Platforms認定プログラムが用意され、VerizonとVodafoneがサポートすることもあわせて発表されている。
ノキアブランドでモジュール採用へ
モジュールの登場にあわせノキアブランドで携帯電話を提供するHMD Globalは、Snapdragon 765搭載のモジュールを活用する方針を表明。
HMDでは、一般的にユーザーは高額なスマートフォンには手を出しにくいと指摘。そこでノキアブランドではSnapdragon 765のモジュールプラットフォームを採用することでコストダウンを図る。
4Gネットワークと並列する5G(ノンスタンドアローン、NSA)に加えて、5G単体でネットワークを構築するスタンドアロンもサポート。さらに同じ周波数を4Gとの間で共有するDSS(ダイナミック スペクトラム シェアリング)に対応しているプラットフォームであり、5Gネットワークが進化することに端末側も対応しやすいことを利点のひとつに挙げる。
そうした繋がりやすさに加えて、ARやゲーミング、4K動画などエンターテイメント分野での十分な性能が期待できることも、スマートフォンメーカー、ひいてはユーザーにとってメリットになる。
HMDのチーフプロダクトオフィサーであるJuho Sarvikas氏は「開発プロセスが劇的に合理化される」とモジュール化されることを歓迎。「Pure Display(ピュアディスプレイ)」「ZEISS(ツァイス) Imaging」「Future Proof 5G」とディスプレイ、カメラ、ネットワークで十分なスペックのスマートフォンの投入を予告し、今後への意欲を見せた。