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リアルタイム翻訳もお手の物、写真も被写体ごとに異なるフィルターで――Snapdragon 865のオンデバイスAI

 米クアルコムの最新チップセット「Snapdragon 865」では、AI処理機能の強化もはかられている。

 Snapdragon 865には、AI関連の処理を司るHexagon 698を搭載。「AI処理は急速なペースで改善する必要がある」として、AI処理用のTensorアクセラレーターが今回、完全に再設計された。その処理スペックは15TOPS(Trillion Operation Per Second)に達し、Snapdragon 855の2倍、Snapdragon 845の5倍となった。

オンデバイスAIで翻訳

 現在も、AIによる音声認識を用いて、話した言葉を書き起こすサービスが実現している。また、そのテキストを別の言語へ、より自然な内容で翻訳することも実現済みだ。

 Snapdragon 865では、そうした複数のタスクを、リアルタイムかつ、デバイス内のAIアルゴリズムで処理できる。

 クアルコムによるデモンストレーションでも、壇上に立ったクアルコムテクノロジーズのAI戦略担当のプロダクトマネジメント、バイスプレジデントであるZiad Asghar氏は、自身の話す英語での内容がリアルタイムでテキスト化される様子を披露。

 さらにその内容が中国語へ翻訳できることも示す。さらに自身の声色で、英語で話した内容をもとに、中国語で話す音声を生成し、再生するというところまで紹介する。こうした機能に用いられる音声データはクラウドへ送信されることなく、全てデバイス上で処理される。

 AI処理の精度向上などを図るため、クアルコムでは第5世代のAIエンジンを実装。ユーザーから大量のデータが寄せられる時代になることを想定し、アルゴリズムを工夫してデータを圧縮する仕組み、あるいはより電力消費を抑えながらAIの処理を進める仕組みなどが組み込まれている。

日本のモルフォが865向けに顔認識のソフトウェア

 Snapdragon 865でスペックアップするカメラ関連の処理で、AI処理性能を活用する。その一例として紹介されたものが、スマートフォンメーカー向けに画像認識ソフトウェアを手がけるモルフォのソリューション。

 同社ではこれまでもクアルコムと協力してソフトウェア開発を進めてきたが、今回、865向けの「セマンティックフィルター」を、4日のクアルコムのイベントで披露した。

 セマンティックフィルターでは、カメラが顔を捉えると、髪、肌、目といった顔の要素だけではなく、背景との分離などを行う。

 これにより、背景はぼかしつつ、髪のディティールはハッキリと残し、美顔処理を施すといったフィルターを実現する。

SnapchatはCPU処理の4倍速く

 「Snapchat」は顔を認識して、装飾をしたり、異性の顔のように変換したりする機能が人気だ。Snapchatによれば、Snapdragon 865では、通常のCPU処理に比べて、4倍速く処理できる。

Snap社のエンジニアリングシニアディレクターであるYurii Monastyrshyn氏
4倍速く

 現在の一般的なハイエンドスマートフォンでも、特に支障なく使えるSnapchatだが、実際は、顔認識のたびに、ややギクシャクとした動きになることがある。今回のデモンストレーションでは、大人のスタッフに子供顔になるフィルターをかける様子が示され、その切り替えがスピーディで、自然な様子であることが紹介された。

大人の顔が……
幼くなるフィルターも一瞬で適用

 このほか、GoogleレンズなどもSnapdragon 865のAI処理に最適化されるという。性能向上に加えて、消費電力の抑制などが期待できるという。

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