インタビュー
KDDI松田社長「かつての3G戦争に似ている」、これからのAIインフラ像を語る
2026年1月23日 00:00
22日、KDDIの大阪堺データセンター開所式のあと、松田浩路社長にわずかな時間だが、話を聞く機会を得た。
松田氏は、競合他社が「国産LLM」を前面に押し出す中、KDDIはあくまで「顧客起点のハイブリッド戦略」を取る姿勢を強調。
同氏は、現在のAI開発競争をかつての携帯電話通信規格戦争にもなぞらえ、AIのあり方についての重要性を示した。
――今回ローンチした「大阪堺データセンター」は、AIデータセンターとしてメディアからの多くの耳目を集めているようです。同じ敷地では、ソフトバンクもAIデータセンター構築に動いていますが、先んじてKDDIがサービスを開始することになりました。
松田氏
日本の国力、産業競争力を上げていくためには、絶対にAIのインフラが必要です。でも企業によっては、まだどうするか決めかねているところもあります。
ソフトバンクさんも同じシャープさんから堺の事業所を活用する方針を示していて、日本全国や世界へ一緒に発信していこうと思います。
フィジカルAIという言葉が(米国の展示会であるCES開催中から)よく出ていますが、それはおそらく一例です。
1年半前に経済産業省の「クラウドプログラム」に採択され、たまたま、この“居抜き”物件があって、いち早く形にできました。2025年4月の正式取得から1年経っていないですからね、大きな成果だと思います。
――最先端のサーバー、GPUは徐々に入れていきますか?
松田氏
はい、そうですね。どんどん進化もしていますから。
少し前まで、AIモデル構築のための学習のため、という話が多かったです。これからも学習は続きますが、(生成AI活用で)推論の利用が増えていくと、求められるリソースが増えます。
オプションはいっぱいあると思います。グーグルさんの「Gemini」は今回ハイライトしてお伝えしていますが、ひとつの型を作りたいですね。
――グループ会社のELYZAによる国産LLM(大規模言語モデル)の重要性は?
松田氏
産業によって重宝されると見ています。汎用的なLLMや産業別のLLM、RAGなどがあって。個別かつ特化したLLMへのニーズもありますので。
たとえば、医療情報で、機微なものはELYZAといった使い分けが出てくると思っています。(コンステレーションAIを掲げる)NTTさんも同じような方向だと思います。
――ソフトバンクが21日にAIデータセンター向けのソフトウェアスタックを発表しています。
松田氏
KDDIとしては、お客さまに近い、いわば川下を担うべきだと考えています。さまざまなパートナーと「このレイヤーは一緒に」と進めたい。
昨年、グーグルのNotebookLMをベースにしたサービスを提供すると発表しました。
あれ、意外と面白いんですけども、(KDDIとしてはAIサービスを)一般のお客さまにも届けなければいけない。企業向けでは、ヒアリングしても思いつかないようなものもあります。そこでのAIの力は、この部分だと思っています。
我々はまずインフラを準備します。全てが完結するわけではなく、ハイブリッドになるかなと思います。
――全国各地の工場跡地をAIデータセンターにしていきますか。
松田氏
デバイスにもAIエージェント機能が今後導入されていきますよね。何を持ってAIというか、何を持ってデータセンターというか、問われる時代になるかもしれません。
AIエージェントが周辺機器に入り、デバイス上だけで動作することもあれば、クラウドと連携するものもある。パラメーターが多いとメモリーも必要ですし、価格も高くなります。
そういう意味では、大脳・小脳・脊髄みたいな三層構造になるのかなと思います。そんな時代にデータセンターはどういう役割を担うのか……。
かつて、携帯電話で、ネットワーク主義とデバイス主義のぶつかり合いといった時代がありました。(業界団体の)3GPPがネットワーク至上主義、3GPP2がデバイス至上主義といった形です。
たとえば、クアルコムは、「全部こちらがやるから、ネットワークは土管」といったコンセプトでした。一方、3GPP2は「みんなでネットワークを処理する」といった形。発想のぶつかり合いでした。
これは、今のAI分野でも起きてますよね。クラウドかデバイス(エッジ)か。
でも、その組み合わせの見極めこそが、僕らの強みとしていかなきゃいけないなと思っています。冷静に判断しないと。
――デバイスとネットワークを両輪とする通信事業者ならでは、というお話ですね。
松田氏
今日のプレゼンテーションでは、製薬業の事例を紹介しましたが、製造業でのニーズもあります
楽天モバイルとのローミング契約について
――楽天モバイルのローミングが2026年秋に区切りを迎えます。一部報道で、延長しないという話もありましたが……。
松田氏
契約としては一度、リニューアルしています。混んでいるところは、どんどん切っているんですよ。
全体のトラフィックはそんなに大きくないです。800MHz帯だけ利用していただいていますが、半地下や屋内にはやはり届きやすいですよね。
楽天さんも、もともとの設計がありますよね。我々としても計画に織り込み済みです。もともと「協調と競争」という話でしたし、どこまでどうバランスを取るのかという話でしょうか。「最強」というと、お客さまには誤解を招かないか
――なるほど。ありがとうございました。



