【MWC Barcelona 2026】
「Snapdragon Wear Elite」発表、ウェアラブルはAIとの出会いでどう進化するのか
2026年3月3日 07:55
クアルコムは3月2日(現地時間)に、MWC Barcelonaでスマートウォッチなどのウェアラブル端末用となる「Snapdragon Wear Elite」を発表した。
MWC開幕直後に同社は記者会見を開催。AIエージェントによって変わる技術との関わり方といったビジョンや、同チップセットの特徴、さらにはパートナーが登壇し、エコシステムを拡大していく方針が示された。

同イベントには、サムスン電子のモバイルエクスペリエンスビジネス部門でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるソン・インカン氏がゲストとして登壇。「Galaxy Watch」の次期製品に、Snapdragon Wear Eliteを搭載することが明かされた。
Galaxy Watchシリーズは例年、フォルダブルスマホの「Galaxy Z」シリーズとともに発表されることが多く、夏ごろの登場が期待できる。ソン氏によると、「よりパフォーマンスが上がるとともに、大幅に電力効率が向上する」という。


発表会の冒頭で登壇したクアルコムのモバイル、コンピュート、XR部門のグループマネージャーでエグゼクティブバイスプレジデントを務めるアレックス・カトウジアン氏は、「AIが新しいユーザーインターフェイス(UI)になる」と語った。「単なるチャットボットを超え、ユーザーの周囲の状況を理解し、直感的で新しいUIになる」という。



カトウジアン氏によると、スマホやPCとウェアラブル端末は、ともに連携しながら、役割を分担していく形になるという。
大きなAIモデルの実行はスマホやPCが担い、それらと連携しながら、センサーの情報や周囲の情報をAIに加えていくのが、スマートウォッチやスマートグラスの位置づけになるという。
こうしたウェアラブル端末にはリアルタイムに応答するため、デバイス上で動作し、かつ消費電力の少ないAIの処理が求められるというのが、クアルコムの考えだ。

Snapdragon Wear Eliteは、こうしたコンセプトを製品に落とし込むためのチップセットになる。クアルコムのシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーでパーソナル&ウェアラブルAIを担当するディノ・ベキス氏は、「当社史上、もっとも先進的なウェアラブルプラットフォームで、次世代のパーソナルAIを支えるために設計されている」と、その特徴を語る。
その大きな特徴の1つが、ウェアラブル向けチップセットとして初めて本格的なeNPUとNPUを搭載することだ。eNPUは、超低消費電力で駆動するよう設計されたAIエージェント用のプロセッサーで、オーディオや音声の処理、周囲の状況の理解といったリアルタイムの処理を担う。常時オンにして、電力効率を落とさずバックグラウンドで継続的に動作することを想定している。
これに対し、NPUはスマホ向けのSnapdragonと同じ名称の「Hexagon NPU」を採用。こちらは、より処理能力を必要とするAIを処理するためのもので、最大20億パラメーターのAIモデルをオンデバイスで実行する能力があるという。クラウドのAIに接続しないことで、応答性を高めることも可能になる。
Snapdragon Wear Eliteは、最先端のアーキテクチャーで設計されており、ベキス氏によると、ウェアラブル向けとして初めて3nmのプロセスを採用しているという。
高性能なコア1基と高効率コア4基を組み合わせた5コアCPUを内蔵しており、シングレスレッド能力が5倍に向上。アプリの起動時間などが大幅に向上していると。GPUにも次世代の「Adreno GPU」を採用する。

通信面では、Wi-Fiを常時オンにしておける低消費電力の「マイクロパワーWi-Fi」を採用。モバイルネットワークについては、ウェアラブル向けに最適化された「5G RedCap」や、正確な位置を検知するための「UWB」にも対応している。さらに、IoT端末向けの衛星通信である「NB-NTN」にも対応する。

冒頭で挙げたサムスン以外には、パートナーとしてモトローラのヴァイスプレジデント、フランソワ・ラフラム氏が登壇。1月に米ラスベガスで開催されたCESで披露したAIコンパニオンのコンセプトである「Project Maxwell」と、その端末となるペンダント型のAI端末を紹介した。




