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クアルコムのAIは5GとWi-Fiをどう進化させるか、接続性や消費電力の改善
2025年8月15日 19:10
米Qualcomm(クアルコム)は、同社のAI技術が5GやWi-Fiなどの通信をどのように進化させているか、その技術を公式ブログで明かした。
具体的には、Qualcommの5Gモデム「Qualcomm X85 5G Modem-RF」と、AIを統合したWi-Fi用チップセット「Qualcomm FastConnect 7900 Mobile Connectivity System」との連携によってセルラー通信とWi-Fiをシームレスに切り替え、ゲームやビデオ通話などのアプリケーションのリアルタイムパフォーマンスを改善している。
AIは、ネットワークの切り替えを賢く管理し、ZoomやWhatsAppなどのトラフィックを優先することで、モバイルゲームにおける遅延を低減したり、ビデオ通話中の中断を防いだりして、ユーザー体験を大幅に改善する。
さらに、パフォーマンスと効率の両方を最適化し、アプリケーションのニーズに基づいて帯域幅を動的に割り当て、ストレスのないストリーミング、ブラウジング体験を実現しながら、消費電力を削減する。
AIがゲーム体験向上
オンラインゲームは、僅かな遅延が成功と失敗の境になり得る。通信のラグや遅延、切断などの問題は、多くのゲーマーを悩ませてきたが、近年のAIの進化はこれらの問題を効果的に解決しているという。
たとえば、「Qualcomm X85 5G Modem-RF」などのAI搭載5Gモデムでは、トラフィックの検出および優先順位付けを適切に行うことで、他のアプリケーションの通信よりも、ゲームのトラフィックを優先することで、他のアプリで発生する通信によって、ゲーム体験に影響がでることを防ぐ。
トラフィックの検出と優先順位付けは、Wi-Fi接続時においてもレイテンシー低減に役立つ。「Qualcomm FastConnect 7900 Mobile Connectivity System」では、AIで最適化されたWi-Fi接続によって、セルラーネットワーク接続中と同じように、ゲーム中のレイテンシーを低減する。
モバイルデバイスは現在、最も多くのユーザーがゲームをするプラットフォームとなっているが、外出中にセルラー通信やWi-Fi接続によってゲームを楽しむユーザーにとって、AIによって安定的かつ信頼性の高い接続を利用でき、ゲームセッションを可能な限りシームレスに保てるようになった。
セルラー通信とWi-Fi接続の切り替え
セルラー通信とWi-Fi接続の切り替えは、単にネットワークを切り替えするだけでなく、接続するネットワークを変更しても、動画の品質と接続性を維持することが目的となる。
ビデオ通話の裏側にある技術は複雑で、日々進化し続けている。AI活用によるビデオ通話の改善では、ネットワーク状況が理想的ではない場合でも、クリアでスムーズなビデオ通話の継続にAIが重要な役割を果たしている。たとえば、ビデオ通話中に送信する必要のあるデータを削減し、帯域幅が限られる場合に特に役立つという。
「Qualcomm X85 5G Modem-RF」では、内蔵のQualcomm AI搭載データトラフィックエンジンを活用し、Wi-Fiからセルラー通信への切り替えを強化し、ミュートや中断を軽減または完全に排除している。
Wi-Fiからセルラー通信への切り替え
スマートフォンなどのデバイスは通常、Wi-Fi接続を終了するためのしきい値が、OTTサービス向けに最適化されていない。そのため、全てのアプリとサービスが同時にWi-Fi接続を終了することで、セルラー通信への切り替え前に中断が発生することがある。
「Qualcomm X85 5G Modem-RF」では、ビデオ通話や会議がアクティブかどうかを判断し、Wi-Fiの信号品質の低下が予想されると、OTTサービス向けにセルラー通信への切り替えを促すことで、接続の中断や遅延を防ぐ。
セルラー通信からWi-Fiへの切り替え
セルラー通信からWi-Fi接続へ切り替えにおいても、全てのOTTアプリ・サービスがWi-Fiネットワークに切り替わるため、サービスの中断や品質低下が発生することがある。Wi-Fiからセルラー通信と同様に、内蔵のQualcomm AI搭載データトラフィックエンジンがOTTのビデオ会議などがアクティブかどうかを判断し、サービスの中断を防ぐ。
AIによるWi-Fiの最適化
AI搭載のWi-Fiチップは、消費電力とデータトラフィックを最適化するように設計されており、送信されるトラフィックの種類を分析し、アプリケーションごとのニーズに応じた優先順位付けする。
たとえば、ビデオストリーミングでは安定した広帯域幅が必要となるが、Webサイトの閲覧では通信速度の変動はある程度許容される。また、Wi-Fi通信におけるAI利用の大きな利点として、電力消費の最適化によりバッテリー消費が抑えられる。
