【MWC Barcelona 2024】
新しいスタイルの“AIフォン”も、クアルコムのMWCブースをチェック
2024年3月1日 12:54
クアルコムは、MWC Barcelona 2024に合わせ、5G対応の「Snapdragon X80 Modem-RF System」を発表した。
同社のブースでは、その新機能や性能をアピールしていた。前世代から導入していたAIをさらに強化しており、より高い接続性を実現しているのが特徴になる。CPE(据え置き型ルーター)への対応も、より充実させているという。
AIは、「5G AI Suite Gen 3」を新たに搭載しており、これによってマルチアンテナマネージメントやミリ波の到達距離の拡大、位置情報の正確性向上を図っている。通信速度も向上する。ミリ波の接続性も向上する。
ミリ波の接続をAIで改善するという機能は、前世代の「Snapdragon X75」にも搭載されていたが、X80ではCPEと呼ばれるホームルーターでも、その実力を生かせるようになっているという。
また、TDD(時分割)とFDD(周波数分割)の5Gを6波キャリアアグリゲーションで束ねることができ、エリクソンと共同で行ったデモではその速度が4.1Gbpsに達したことを報告していた。
上りの通信には「Switched Uplink TDD-FDD」という機能が新たに採用されている。これはTDDとFDDを動的に切り替え、上りの通信速度を向上させるというもの。デモでは、Sub-6のn41とn25を使い、上り0.35Gbpsを実現していた。
23年に発表し、ハイエンドモデルを中心に採用されている「Snapdragon 8 Gen 3」では、端末上で処理するAIを売りにしている。
クアルコムのブースでは、その性能をあらためて紹介。チップセット発表時になかったデモとして、マルチモーダル対応の「LLaVA」を動作させていた。画像を読み込ませて、その中身をテキストで説明するというもので、デバイス上での処理ながら素早く回答が表示されていた。
また、Snapdragon 8 Gen 3を搭載したメーカー製端末に実装されたAI関連機能を紹介するコーナーも設けられていた。
ここには、XiaomiやOPPO、Honorの端末が並べられており、実際にその機能を試すことができた。
たとえば、XiaomiはMWCでグローバル版を発表した「Xiaomi 14 Ultra」を展示し、「AI expansion(AI拡張)」を紹介。写真の周囲を生成AIで書き足すというもので、トリミングの逆と言える機能だ。ブースの説明員によると、処理は端末上で実施しており、最終的なチェックのためにネットに接続しているという。
Honorの「Honor Magic6 Pro」では、テキストメッセージの文章をAIが分析して自動的にそれをカレンダーの形式に落とし込んで登録できたり、Webの画面上に表示されたイベントの日程を見てカレンダーを表示したりといった機能を紹介していた。
スマホ以外で高い注目を集めていたのは、米国スタートアップのHumaneが開発した「Ai Pin」。
同モデルは23年11月に発表されているが、クアルコムのブースであらためてそのデモを行った格好だ。チップセットにSnapdragonを採用していることから、AI端末の1つとして紹介されていた。
Ai Pinは、胸元に装着する小型のデバイスで、プロジェクターを搭載しており、手のひらにホーム画面やテキスト、画像などを表示できる。
操作は音声やジェスチャーで行う。音声で目の前にあるものを説明したり、翻訳を読み上げたりといったことができる。こうした一連の操作にAIを活用している。
セルラー通信に対応しており、音声通話も可能。フィーチャーフォンでもスマホでもない、新しい形のAIフォンと言えそうな端末だ。通信機能を内蔵しているだけに、キャリアでの販売も検討しており、米国外で初となる韓国SKテレコムとの提携も発表した。