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クアルコムのAI活用ソフト「Qualcomm AI Orchestrator」でできること

 米クアルコム(Qualcomm)は、AI向けソフトウェア「Qualcomm AI Orchestrator」(以下、「Orchestrator」)の概要を発表した。

 「Orchestrator」は、デバイス上に保存されたユーザーのお気に入りの料理、ワークアウトルーチン、頻繁に連絡をとる相手、以前の好みの履歴などを理解することで、ユーザーの意図をより深く理解する。

 ローカルコンテキストと個人の嗜好を理解した上で、この知識を生成AIアシスタントに統合することで、ユーザーにとって意味のある応答が得られるという。オンデバイスAIの体験が向上すれば、レスポンスが快適になるだけでなく、プライバシー強化、ユーザー体験のパーソナライズ化など、重要なメリットがある。

 「Orchestrator」はマルチモーダルモデルにより、テキスト、視覚、音声などさまざまな形式をサポートしている。マルチモーダルのサポートにより、質問をしたり、画像を生成したり、カメラ入力を介して対話する場合でも、ユーザーの意図を理解する。

 「Orchestrator」は、アプリケーションの機能、実行できるアクションや関連するAPIを理解する。また、検索拡張生成(retrieval-augmented generation)をサポートする。これは、ローカルで利用可能なデータを使用して、AIエージェントを提供されたデータに関する専門家にすることができる生成AI技術という。

 ユーザーの個人的なコンテキスト、さまざまな生成AIモデルをナビゲートする能力、アプリ能力、実行できるアクション、検索拡張生成を知ることで、「Orchestrator」は、ユーザーの質問やリクエストを受け付けとり、ユーザーのニーズと好みにあわせた体験が実現する。

「Orchestrator」でできること

 1日の始まりにスマートフォンに大量の通知が届いているが、昼休みまでにそれら全てに目を通す時間が無い場合がある。そんな時に、自ら全ての通知を確認するのではなく、「Orchestrator」が通知の概要を理解して、重要な通知を選んでくれる。

 たとえば、見逃せないメッセージの一つは、母親から午後6時30分に夕食を食べに行こうというメッセージが届いたとき。こんな時に「母のお気に入りのレストランで夕食の約束をして。」と返事をすると、AIアシスタントがカレンダーをチェックして空き状況を確認して予約をする。さらに、母のお気に入りのレストランを知っているアシスタントが、予約アプリを使ってテーブルを予約してカレンダーにその情報を登録してくれる。

 仕事の終わり時間が近づき、レストランに行くための時間が近づくと、出発時間になったことが通知される。出発してから、「15分遅れる」と母からメールが届くと、AIがアシスタントがただちに「15分遅れることをレストランに連絡し、駐車料金を前払いしておきました」と応答する。

 さらに、15分間の余裕がうまれたために、母の好きなバラの花を買いに立ち寄る新しいルートを提案する。購入するバラの花はショッピングカートに入れられ、到着した時にあわせて受取できるように手配される。

 こうした、通知の要約、完全に文脈を理解してリクエストの受付、カレンダー管理、位置情報サービスとの連携、パーソナライズドされたオススメなどの統合により、手間を必要としない体験を実現し、大切な人と充実した時間を過ごすことに集中できるようになるという。