石野純也の「スマホとお金」
値上げでも他社より安い? ワイモバイル新料金と「PayPayカード割」の構造を解説
2026年4月23日 00:00
新料金プランの「ペイトク2」などを導入するソフトバンクですが、値上げ対象は既存の料金プランにも及びます。また、メインブランドだけでなく、サブブランドのワイモバイルも6月2日に料金が改定されます。6月1日までに加入した既存ユーザーは12月まで値上げが猶予されるものの、それ以降に新しく契約する際には注意が必要です。
一方で、「シンプル3」の導入にあたって増額された「PayPayカード割」の増額特典が一部料金プランでさらに拡大することもあり、ユーザーによっては値上げを回避することも可能になります。
ソフトバンクよりも元々の料金が安かっただけに、影響の度合いは大きいと言えるでしょう。ここでは、シンプル3の値上げがどのような構造になっているのかを見ていきます。
一律220円アップに、ただしゴールド特典で料金据え置きに
25年9月に既存のプランよりも値上げした新料金プランとして導入されたシンプル3が再び値上げされます。値上げ幅は、シンプル3 S/M/Lで差はなく、いずれも220円アップ。
料金プランそのものはソフトバンクの新料金プランと同じ6月2日に改定され、以降契約するユーザーに適用されますが、既存のユーザーは年内いっぱいは現在の金額で利用できるといいます。
それぞれの基本料は次のとおり。データ容量が5GBのシンプル3 Sは3058円から3278円に、30GBのシンプル3 Mは4158円から4378円に、35GBで10分間の通話かけ放題がつくシンプル3 Lは5258円から5478円になります。値上げ幅が同額のため、より低容量のプランほど、上昇率が大きくなる改定です。
元々ソフトバンクは、シンプル3導入時にシンプル2から基本料を上げていました。シンプル2は4GBのSが2365円、Mが4015円、Lが5115円となっており、シンプル2から3では、低容量かつ低料金だったSプランの値上げ幅が大きくなっていました。
代わりに「おうち割 光セット(A)」や「PayPayカード割」を増額することで割引後の料金を据え置きか、より安くするというのがシンプル3の特徴でした。
割引後の金額という意味では据え置きもしくは値下げからの値上げですが、基本料という観点では昨年に続いて2度目の値上げになります。ただし、今回の値上げも、ある条件さえ満たせば“帳消し”になります。それが、「PayPayカード ゴールド」です。
料金改定に合わせ、シンプル3では、PayPayカード ゴールドの「増額特典(ゴールド)」が設けられます。元々のPayPayカード割はゴールドカードの場合550円だったのに対し、値上げ後の割引額は770円にもなります。
つまり、ゴールドカードの場合のみ、PayPayカード割が220円増額されるということ。値上げぶんの220円が相殺される形です。
SoftBank Starlink Directにも対応、シンプル2は魅力ダウンに
また、値上げに合わせて回線につく特典も拡充されます。Starlinkとの直接通信サービスである、「SoftBank Starlink Direct」がそれです。KDDIの場合、サブブランドのUQ mobileは別途、「au Starlink Direct専用プラン」を契約し、デュアルSIM端末に入れて使う必要があり、料金も550円かかっていました。
これに対し、ソフトバンクであればサブブランドのワイモバイルでもSoftBank Starlink Directが利用できます。
値上げに合わせて、サービスを拡充してきた格好です。もう1つ、シンプル3では海外データ通信が月2GBまで無料になるサービスもあります。ただし、これ自体はシンプル3発表時に明かされていたもの。なお、海外ローミング無料は夏以降の対応。現時点でもサービスは始まっていません。
料金プラン発表時に大々的に海外ローミング無料をうたいつつ、実際にそれが始まる前に値上げする形になっているのは、やや不誠実にも見えました。このサービスに魅力を感じて契約したユーザーは、騙されたと感じる可能性もあります。
6月1日までに契約した既存のユーザーがそのままの金額で12月まで利用できるのは、こうした事情を考慮したのかもしれません。
一方で、値上げに伴って旧料金プランのシンプル2でもSoftBank Starlink Directを利用できるようになったほか、当初は予定されていなかった海外データ通信も2GBまで無料になります。値上げに伴い、サービス面はシンプル3と同じになるというわけです。
ただし、シンプル2は値上げ幅がシンプル3より大きく、基本料が330円アップします。また、PayPayカード割の増額もありません。そのため、シンプル2のまま料金プランを維持していると、かえって割高になってしまうおそれもあります。
たとえば、シンプル2 Mは、割引フル適用で2178円から2508円になります。対するシンプル3 Mは、年会費無料のPayPayカードでも2398円のため、シンプル2より割安。値上げ後は、シンプル3のお得さが際立つようになります。
ゴールドカードは持つべきか? なしでも他社サブブランドより安い
先に述べたように、値上げ後もPayPayカード ゴールドがあれば、これまでと同じ金額でワイモバイルを使い続けられます。
PayPayカードがノーマルのユーザーや、シンプル2を契約しているユーザーも、ゴールドカードを作るだけで値上げどころか値下げになる料金改定です。その意味では、ワイモバイルもソフトバンクと同様、ゴールドカード獲得を強化していると言えるでしょう。
ただ、いくら料金が安くなるとはいえ、ゴールドカードは1万1000円の年会費がかかります。PayPayカード割は、無料で持てるノーマルカードとの差額が月額440円。12カ月ぶんでも5280円のため、ゴールドカードの年会費を料金から捻出することはできません。
一方で、家族で複数回線のワイモバイル契約があれば、それだけ、割引増額ぶんの総計は上がっていきます。2回線なら1万560円、3回線なら1万5840円となり、2回線でほぼ年会費が帳消し、3回線以上であれば割引額が年会費を上回ります。家族でまとめてワイモバイルにしているようなケースでは、ゴールドカードを作ることで値上げの影響を緩和できるようになるというわけです。
逆に言うと、単身や夫婦だけでワイモバイルにしているようなケースでは、ある程度しっかりゴールドカードを使わないと、値上げの元を取るのが難しくなるケースもあります。こうした場合には、来年からの値上げを受け入れるしか方法はありません。
とはいえ、光回線と年会費無料のPayPayカードさえあれば、5GBのシンプル3 Sが1298円で利用可能。サブブランドの料金水準としてべらぼうに高いというわけではありません。
競合で言うと、UQ mobileの「トクトクプラン2」が各種割引適用後で1628円、ドコモの「ドコモmini」もdカードがノーマルだと割引額が下がり、4GBで1210円になります。
値上げしても、サブブランドの中では引き続き低料金になっている点は評価できます。サービス面を見ても、他社より通信関連の特典が多くなり、競争力も維持しています。その意味で、ワイモバイルの料金値上げの金額は、直接競合する他社の料金を横目で見ながら、ギリギリの線で料金を上げてきていると言えるでしょう。








