本日の一品

最も手軽にChatGPTと話せるスマートウォッチ、「CMF Watch Pro 2」

 昨今のスマートウォッチ市場は、大きく2つの潮流に分かれている。ひとつはGoogleが開発する「Wear OS」を基盤にしたPixel WatchやGalaxy Watch UltraのようなAndroidと強く結びついた多機能型のスマートウォッチ群である。

 これらはGoogleアカウントを軸に、Gmail・カレンダー・マップ・Google Fitなどのサービスと緊密に連携し、通知管理や健康データの同期、アプリ追加、音声アシスタントなど、スマホの延長機能として高度な統合を実現してきた。

Pixel Watch 3とGoogle Wear OS
Galaxy Watch UltraとWearOS互換のSamsung Galaxy Wearableアプリ

 もう一方は、Wear OSとは無縁の“独立系スマートウォッチ”とでも呼ぶべきカテゴリーである。これには、米国制裁の影響でGoogleサービスとの決別を余儀なくされたファーウェイのHarmonyOS系製品群や、独自の軽量OSを採用するフィットネス特化型モデル群、そしてNothingが展開するCMF Watchシリーズのようなシンプルで目的特化型の製品が含まれる。

独立系CMF Watch Pro 2と連携アプリのCMF Watch

 特に近年では、ChatGPTに代表されるAIアシスタントの登場により、「通知とトラッキング」中心だったスマートウォッチの役割が、「AIとの対話」へと拡張されつつある。

 こうした中で“いま現在、最も手軽にChatGPTと音声で対話できる”製品として注目されるのが、CMF Watch Pro 2である。

 価格は実売1万1000円と手頃でありながら、APIキーの取得や複雑な設定を一切必要とせず、音声によるAI活用が誰にでもすぐに始められるという稀有な立ち位置にある。

独立系のCMF Watch Pro 2とGoogle系のGalaxy Watch Ultraの違いは極めて興味深い

Wear OS系とCMF系、その思想の違い

 Pixel WatchやGalaxy Watch UltraといったWear OS陣営の端末は、Googleの各種サービスと強力に連携する。

 カレンダー、Gmail、Keep、Google Fitといったアプリの閲覧・編集が可能で、音声による応答やToDo追加などもスムーズに行える。アプリもPlayストアから自由に追加できるなど、拡張性も非常に高い。

 一方、CMF Watch Pro 2は完全に独立した設計思想をもっている。Google連携機能は基本的に通知の受信にとどまり、データの双方向同期や直接操作はできない。

 そのかわりに、構成は極めてシンプルで、スマホにCMF専用アプリを入れて連携させるだけで初期設定が完了し、アプリ内から各種ウィジェットや機能の配置が自由に行える。

ChatGPTへの“つながり方”がまるで違う

 Wear OSでChatGPTを使おうとすれば、非公式のアプリを導入し、さらにOpenAIのAPIキーを取得・設定する必要がある。APIの課金体系を理解し、エラーメッセージに対処する力も求められ、ユーザーの知識レベルに大きく依存する。筆者のような文系の単なるガジェット好きにはハードルが高い。

 対してCMF Watch Pro 2は、専用アプリの「ChatGPT Voice」機能をONにするだけで、Watch側のマイクに話しかけるとChatGPTが即応する仕様だ。

 音声入力から応答まではスマホ経由の処理となるが、そのシンプルさは他の追随を許さない。動画でその様子を見れば、その快適さは一目瞭然だ。

CMF Watch Pro 2はスマホ側の連携アプリで”ChatGPT Voice”をオンするだけでスマホ経由でChatGTPを会話的に即使える

なぜこれほど差が生まれるのか?

 この差は、アーキテクチャーの根本にある。Wear OSは汎用のAndroidベースであり、多様なアプリやサービスを導入できる自由度の代償として、セキュリティや認証はユーザー任せになりがちである。

 一方、CMF Watch Pro 2ではNothingがサーバーサイドでChatGPTとのAPI連携を一括管理しており、ユーザーがAPIキーを発行したり課金管理する必要は一切ない。いわば“クラウド越しにChatGPTを使える時計”という新しいスタイルだ。

とはいえWear OSにも「Gemini」がある

 Wear OSも遅れを取ってはいない。ここ最近では、グーグルのAI「Gemini」がWear OS 4以降の一部端末に搭載された。音声による自然対話は標準機能になっていくだろう。スマートウォッチとは何か? という問いに、従来は「通知」「健康管理」「運動トラッキング」などの答えが用意されていた。

スマートウォッチでChatGPTならCMF Watach Pro 2が最先端だ

 しかし、AIとの対話が日常的なものになった今、それは「会話する端末」へと姿を変えつつある。当初からChatGPTと連携していたCMF Watch Pro 2は、その最初の実例であり、いわばAI時代の“手首上のバディ”とも言える。

 もちろん、それはいまやCMF Watch Pro 2に限った話ではない。アップルでも対応が進めば、AI連携は標準機能として、さらに当たり前の存在になるだろう。だがそれまでの過渡期において、いまこの瞬間に最も気軽にChatGPTと話せるスマートウォッチ、それがCMF Watch Pro 2なのだ。

 筆者はGalaxy Watch UltraでChatGPTが簡単に使えるようになるまで、空いている右腕にはCMF Watach Pro 2も付けようと考えている。さあいよいよあの”ディック・トレイシーの世界”がやってくる。

商品名発売元実売価格
CMF Watch Pro 2Nothing1万1000円
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