本日の一品

ローテク進化系、癒しの「亀スマホスタンド」

 前回ご紹介した「亀コースター」は、そのとぼけた表情と甲羅型のフォルムで、見た人をついニヤリとさせる癒し系アイテムであったが、今回の新作はその系譜を継ぎつつ、なんと“スマホスタンド”という実用機能を手に入れて戻ってきた。

 昨今、スマホスタンドは単なる道具ではなく、ガジェットとしての「キャラ立ち」や「多機能性」が重要視されている。

 当初はアルミ製の無機質なL字型スタンドが主流だったが、今やワイヤレス充電を内蔵したモデルから、アーム可動式、マグネット連携型、さらにはスマホとスマートウオッチ、イヤフォンの3点セットを同時にホールドして充電できるスタンドも登場してきている。

 そんな中、逆張りとも言えるこの“亀スタンド”は、機能を最小限に、愛嬌を最大限にして現代のスマホスタンドに挑んでいる。

 マルチスマホユーザの筆者のデスク周りには、用途や気分に応じてさまざまなスマホスタンドが並ぶ。まずは、黒いサングラス姿のブヒ(フレンチブルドッグ)型スタンド。スマホの背中を足で支える絶妙なバランス感は一度見たら忘れられない。

 そして、まるで映画「エイリアン」の触手のような腕でスマホをがっちり掴み、スマホの下部と尾っぽの両方で支える奇妙なホルダー。これが意外と見た目より安定性抜群なのである。

 また、MagSafe対応のスリムな折り畳み式アーム型は、出先での動画視聴やビデオ会議に重宝している。

 現在、自宅では娘からもらったハシビロコウ型のスタンドを愛用中。あの動かざる鳥らしい落ち着きで、背中にはスマホを担ぎ鋭く大きなくちばしにはメガネをホールドするという、親孝行の滲み出る“癒しの一品”だ。

 これらの中に今回加わったのが、この“亀スマホスタンド”である。スペック上の凄みは皆無だが、見る者の心をほぐす不思議なパワーを持っている。

 仕組みはいたって単純。前回紹介した“亀コースター”の甲羅部分の一部が、今回は可動式の「フリッパー」として立ち上がるようになっており、その上にスマホを引っ掛けてホールドする仕様である。

 重量バランス上、また充電ポートの配置デザイン上、スマホを縦置きすることはほぼ不可能だが、横置きであれば問題ない。横置きなら一般的にUSBケーブルの差し込みもスムーズで、YouTube視聴やスピーカーモードでの通話には十分対応可能だ。

 亀の平らなお腹がベースとしてしっかり支える構造なので、スマホが倒れるようなこともなく安定感は意外なほどある。

 サイズは元祖“亀コースター”よりも一回り小ぶり。甲羅の柄も微妙に異なっており、組み合わせることで兄弟、親子、あるいは恋人のようにも見える。色違いで数パターンあるのも魅力で、組み合わせの妙を楽しむのもアリだろう。

 驚くべきはその価格。筆者が入手した時点でたったの286円。他のモノと一緒に買えばもちろん送料は無料。スマホスタンドとしての価格競争においても、これは最安値クラスである。

 ハイテク競争の一線から距離をおいたこの亀スタンドは、“必要十分なローテク”という安心感と、日常にひとさじの笑いを添える存在である。

 テクノロジーの洪水の中、ふと立ち止まって“無駄のある道具”に癒される瞬間がある。前回紹介した“亀コースター”と今回の“亀スマホスタンド”がまさにそれだ。

 これが最初からペアで設計されたものかは定かではないが、2匹を重ねて見ると妙にしっくりくる関係性がある。親子か兄弟か恋人かそれとも単なる偶然の産物か。

 量産ガジェットの中で、こうしたユーモアと遊び心のあるプロダクトは減少傾向にあるだけに、貴重な存在だとも言える。スマホやスマートウォッチ、イヤホンなど、便利さの裏に疲れが潜む現代だからこそ、癒しと笑いを運ぶローテクの出番かもしれない。“亀スタンド”、技術に疲れたあなたのデスクに、ぜひ一匹。

商品名発売元実売価格
亀スマホスタンドtemu286円