本日の一品
お酒を飲めない筆者がデザインの可愛さに惹かれて手に入れた錦鯉の盃
2025年6月30日 00:00
日本酒を飲むための器「盃(さかずき)」は、単なる酒器以上の意味を持つ。古来より日本では、盃は祝いの席や神事の場で用いられ、儀式や人と人との絆を象徴する道具でもあった。
漆塗り、磁器、ガラス製など、その素材や形状はさまざまだが、いずれも酒の香りと味を引き立てるために工夫が凝らされている。
一方、近年、国内外で注目されているのが「錦鯉」だ。元は新潟・小千谷市などで品種改良された観賞用の鯉であり、その美しい模様と優雅な泳ぎから「泳ぐ宝石」、「泳ぐ芸術品」などと称される。
現在ではアジアをはじめ欧米の富裕層にも人気が広がり、オークションでは一匹数百万円以上で取引されることもある。筆者宅から近い上野恩賜公園でも、関東甲信越地区総合錦鯉品評会がときどき開かれ人気のイベントとなっている。
その錦鯉と日本酒の盃が融合したユニークな製品が、小千谷市の「聖地KOI盃OJIYA」シリーズである。
筆者がこの「錦鯉の盃」を目にしたのは、新潟の特産品を扱うオンラインストアでのことだった。お酒が飲めない身ながら、器の中に浮かぶ精巧な錦鯉の姿に心を奪われ、気がつけば購入手続きを完了していた。
手元に届いた盃は、想像以上に繊細で美しく、水面に顔を出したように見える鯉の姿が、なんとも愛らしい。
実際に酒を注いでみると、まるで盃の中で鯉が泳いでいるかのような視覚効果が生まれる。これは、飲む人だけでなく周囲の人も笑顔にさせる。年始の祝い膳、お節料理とともに並べれば、その場の空気を一気に和やかに変えてくれるに違いない。
和室だけでなく、モダンな洋室のテーブルにも違和感なく溶け込む意匠は、ギフトとしても優秀だ。
例えば、退職祝い、日本酒好きの上司への贈答品、あるいはインバウンド客向けの「日本らしいお土産」としても価値がある。最近では、外国人観光客の中にも日本酒に強い関心を持つ人が増えており、この盃を通じて日本の伝統文化と美意識を実感してもらうことができる。
盃に合うお酒はやはり新潟、そしてお隣の富山の地酒だろう。たとえば「久保田」、「八海山」、「鶴齢」など、淡麗辛口の酒は、盃の凛とした佇まいとよく似合う。今回は特別に大事にし過ぎていた富山の満寿泉(ますいずみ)の干支ボトルと一緒に撮影してみた。
満寿泉は毎年、その年の干支をガラス細工で表現した限定ボトルを発売しており、酒好きのコレクターにも人気が高い。
本来であれば、今年2025年の干支である「巳(み)」ボトルと一緒に撮影したかったのだが、うっかり正月の写真を撮り忘れてしまい、掲載しているのは昨年の「辰」ボトルとの組み合わせである。やや残念ではあるが、干支の酒器と錦鯉盃の縁起の良さは十分に伝わるだろう。
盃とは本来、酒を味わうための道具である。しかし、こうした遊び心と技巧を凝らしたデザインの盃は、単なる酒器を超え、食卓の空間全体を演出する道具へと進化する。毎日使う必要はない。特別な日だけ、この盃を使えば、それだけで一種の「儀式」としての重みが生まれる。
価格は決して安くはない。しかし、価格以上に得られるものが確かにある。盃を替えるだけで会話が生まれ、記憶に残る時間が作られる。インテリア小物として飾っておくもよし、来客時のおもてなしの切り札とするもよし。そこには、「コスパ」では測れない“豊かさ”がある。
| 商品名 | 発売元 | 実売価格 |
|---|---|---|
| 聖地KOI盃OJIYA | ストーリオ | 5500円 |







