DATAで見るケータイ業界

契約数と解約率から「顧客基盤」の動向を整理する

 キャリア各社の2025年7~9月期決算は、11月上旬以降に順次発表される予定だ。そこで、前期(4~6月期)の決算開示資料をもとに、注目ポイントを整理したい。

契約数と解約率から「顧客基盤」の動向を整理する

 キャリア各社は、金融・決済・ポイントなど多様なサービスを展開、“経済圏”を構築して顧客を囲い込む戦略をとっている。その基盤となるのが通信契約である。スマホを中心とした契約数の状況を比較してみたい。

 楽天モバイルを除く3社は、スマートフォンなど主要回線の契約数を開示しており、2025年6月末時点でNTTドコモ(ハンドセット契約数)が5308.4万、KDDI(主要回線数)が4224.2万、ソフトバンク(主要回線数)が4135.6万となっている。

 このうち、ソフトバンクは前期比で18.1万の純増を記録したが、残る2社はそれぞれ数万の純減となった。NTTドコモ、KDDIともに2025年1~3月期は純増に転じているが、直近の状況はあまり芳しくない。

 なお、楽天モバイルについては、主要回線に類する開示がないため、特殊要因(BCP、MVNE)を除いたMNO契約数の動向を参考値として見てみると、累計が817万、前期比39万増だった。

 同様に、スマートフォンなど主要回線の解約率を比較すると、NTTドコモ(ハンドセット解約率)が0.69%、KDDI(主要回線 解約率)が1.27%、ソフトバンク(主要回線 解約率)が1.29%で、NTTドコモの低さが際立つ。

 契約数同様、主要回線に類する開示のない楽天モバイルは参考値だが「MNO単純解約率」は1.74%となっている。個人向け契約における開通月と同月内の解約の影響を除いた「調整後MNO解約率」を見ても1.40%で、他社よりも高水準となっている。

 NTTドコモとKDDI(au)は、いずれも6月から新料金プランの提供を開始しており、7~9月期はその成果がフルで現れる時期といえる。

 メインブランドで大きな料金改定に踏み込まなかった残る2社も含め、契約数や解約率への影響がどう現れるのかが、今期決算の注目ポイントだろう。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/