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楽天モバイルの2026年は「ネットワーク強化の年」、さらなる契約回線増を図る
2026年2月12日 22:03
楽天グループは12日、2025年度の連結決算を発表した。説明会では、楽天モバイルの通期EBITDA黒字化を達成したことや、今後さらなる回線数拡大に向けて都心部や都内地下鉄駅を中心にネットワーク設備を増強していくことなどが同社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏から説明された。
売上収益は前年比+9.5%の2兆4965億7500万円、営業利益は-72.9%の143億8200万円、当期利益は-1232億1300万円だった。
なお、同説明会のプレゼンテーションでは、すべてAIにより生成された映像および音声を使って行われた。同社では、本会で生成AIによって説明された内容は、同社および登壇者の発言に代わるものと案内されているため、本稿でも登壇者が発言したものとして取り上げていく。
楽天モバイルが1000万回線突破、ネットワーク品質増強のフェーズへ
楽天モバイルでは、2025年12月に契約回線数が、MVNO回線なども含めて1000万回線を突破した。2025年度の目標として掲げていたもので、三木谷氏は「ユーザーはもちろん、パートナー企業や支援いただいた方にあらためてお礼申し上げる」とコメント。新規顧客の獲得コストなどを考慮したEBITDAは、前年比+667億円の129億円となり黒字化を達成。「力強い成長と堅調な収益改善を示せた」(三木谷氏)と評価した。
説明会で三木谷氏は、AI活用や人材開発の強化とともに「楽天モバイルとエコシステムのシナジーを拡大させることが注力領域」だと説明。楽天モバイルの契約がグループサービスの利用拡大に寄与するとし、クロスユースのベネフィットを改善させるという。具体的には、同社が持つデータや楽天モバイルショップ(実店舗)などモバイルならではの資産を活用したグループサービスの販促などを進めていく。
楽天モバイルと楽天シンフォニーを含めたモバイルセグメント単体の売上収益は、前年比+9.6%の4828億円。Non-GAAP営業利益は、前年から471億円改善し-1618億円。EBITDAは、前年比+651億円の288億円となった。モバイルセグメントでも初のEBITDA通期黒字化を達成した。
主要指標を見ると、全契約回線数は前年比+171万回線の1001万回線、MNO解約率は0.08ポイント増加した1.46%、ユーザーあたりの売上単価ARPUは前年比+3円の2860円となった。楽天シンフォニーの顧客数は同+30顧客の74顧客、販売パートナー数も17社にのぼっている。
販促力強化の先行投資で四半期では減益
楽天モバイル単体では、第4四半期の売上収益は、契約回線数やARPUの増加が貢献し、前年同期比+24.9%の1018億円、Non-GAAP営業利益は、前年から54億円改善した一方、販促力強化のための先行投資を行い、前四半期から損失が拡大し、408億円の損失で着地した。
MNO純増数は、前年比+143.8%の59万回線となった。個人向けでは、楽天エコシステムとのシナジーの認知が拡大してきたことや法人向けの施策が功を奏した。また、端末の拡充やU-NEXTがセットになった料金プランの展開など、若年層を中心に伸長した。
一方、MNO解約率は、短期解約の影響を調整した数字で1.46%となった。前四半期から0.13ポイント悪化している要因を三木谷氏は「季節要因」と説明。一方、2025年11月から累計5回線以上の契約時に事務手数料を徴収するようにした効果で、12月の解約率は10月と11月に比べて改善しているという。
2月からは、楽天モバイルの契約で楽天銀行の預金金利を上乗せするボーナス金利を開始する。具体的には、Rakuten最強プラン契約者は年+0.02%、Rakuten最強U-NEXTプラン契約者は年+0.10%金利を上乗せする。ARPU向上を狙ったもので、楽天エコシステムやコンテンツなど、さまざまなものと組み合わせながら収益改善を図る。
ネットワーク強化宣言2026
三木谷氏は、「携帯事業者として、安定的かつ高品質なネットワークの提供は必要不可欠なもの」とコメント。近年は、データ利用量の多い若年層のユーザーも増加してきており、「2026年はネットワーク強化の年」とし、重点的に対策していくという。
具体的には、トラフィック増加分をじっかりと自社のネットワークで捌ききれるよう、設備の増強を図っていく。これまでも全国に自社ネットワークを構築し、KDDIのネットワークも借りながら運営してきたが、近年は都市部を中心に契約者数が急速に拡大してきている。このため、同社では、2026年度に2000億円強の設備投資を計画し、基地局建設を加速させていくという。
2025年度は「当初計画していた1500億円の投資額には届かなかった」と三木谷氏は振り返る。理由は、工事会社リソースの確保が遅延したからだとし、2026年度は工事会社との綿密な協力体制を構築し、社内の人的リソースを集中させることで、基地局建設を加速させるとしている。
ユーザーからは、繁華街や地下鉄の品質改善が求められているという。繁華街には5G基地局を整備してトラフィックを分散させる。地下鉄では、共用基地局の帯域幅を5MHzから20MHzに拡張させることで、よりスムーズに通信できるようにする。
地下鉄では、東京メトロと都営地下鉄の駅で対策を実施。また、JR山手線の駅周辺でも5G基地局の設置を進めており、2025年12月の時点で18駅で5G対応を完了させた。2026年前半までに残りの駅でも完了させるとしている。
AIは255億円の利益貢献
チーフAI&データオフィサーのティン・ツァイ氏は、同社のAI戦略について説明する。同社ではAIによる変革を推進しており、2025年の実績として、「2025年に255億円の利益貢献をAIにより創出した」(ツァイ氏)と話す。これは、年度目標の210億円を上回るものだという。利益貢献については、ユーザー体験の向上による売上増加と業務効率化によるコスト削減によるものだとしており、2026年度もさらに強化していくとしている。
これまでの取り組みでは、パーソナライズ検索や人気検索、ディスカバリー・レコメンデーションを導入。広告配信でも場所やタイミングを自動的に最適化するプラットフォームを導入し、楽天市場出店者の売上増加と楽天グループの広告利益増加に貢献した。
2025年7月にエージェント型AIプラットフォーム「Rakuten AI」を導入。Rakuten Linkや楽天市場、楽天トラベル、楽天ビューティーなどさまざまな楽天サービスにAIを導入し、今後もエコシステム全体でさらに多くのAIを導入していくという。
2025年12月18日には「Rakuten AI 3.0」を発表。最新AIモデルでは、性能が劇的に向上し、世界トップクラスの日本語対応能力を備えているという。それにもかかわらず、他社のAIと比較して低コストで導入できると指摘。ツァイ氏は「特定分野のタスク向けにモデルを最適化することで、企業の利益率を向上させられている」とアピールした。
三木谷氏は質疑応答で「我々が持つ金塊であるデータをAIで活用して、サービス同士のクロスユースを進めていく」とコメント。AIコンシェルジュやAIエージェントでエンゲージメントを高めていくとともに、業務効率化も推進していくという。具体的には、コンピューターのエンジニアリングやネットワークマネージメント、コーディングの分野での成果が高いと説明。さらに、各事業にAIを推進する担当者「C“AI”O」を置き、事業の大小にかかわらずAI活用を推進、全社を挙げてAIを活用していくとした。
短期解約ユーザーについて「業界全体での対応を望む」
契約時の特典を目当てに短期解約を繰り返すいわゆるホッピング行為に対して、三木谷氏は質疑で「業界全体としてあまりよいことではない。携帯業界全体で対応が進むことを望んでいる」とコメント。
端末購入プログラムのガイドライン変更が検討されていることについては「他社と比較して新しいネットワークを持っており、自動化などを進めてきており比較的コスト構造が安い。十分対応できる」と回答。
また、「1000万回線突破の後、2000万、3000万回線というレベルを今後目指していくのか?」との記者の問いに対し、三木谷氏は「これまでの巨大なインフラプロジェクトを、5年間でここまで達成できているのは、比較的急ピッチでやってきた」と評価。一方で、地域間でかなり差があることも事実としたほか、シニア層のマーケットシェアが低いという点に触れ、「楽天シニアなどを含めた手厚いサービスや、サービスを安定的に提供していくために地道にやっていく」とコメント。最後に「私の言葉から“地道”っていうのはあまり聞かないかもしれませんが……」と言葉を残した。




































