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なぜ今“ケータイ”スタイルなのか、韓国ALTが日本市場に打って出る理由

 韓国のデバイスメーカー「ALT」(アルト)が、日本市場で本格展開を発表した。第1弾製品として、折り畳み型携帯電話「MIVE ケースマ」を2月19日に発売する。

韓国の新興メーカー「ALT」

 ALTは、2017年に韓国で立ち上げられた新しい企業。モバイル事業のほかにAIデータサービスプラットフォームとメディア事業の合計3つの事業を手がける。2025年には、韓国証券先物取引所の新興株式市場「KOSDAQ」への上場を果たした。

 創業者でもあるALT CEOのイ・サンス氏はLGやサムスン電子、パンテック、SKテレコムを経てALTを立ち上げた。従業員にも、同様にサムスン電子やLG、SKテレコムで経験を積んだ人材を擁する。同社では過去8年間でおよそ150万台の携帯電話やメディアデバイス300万台ほどを世に送り出してきた。

ALTのイ・サンス氏
ALT Japanのキム・ヒチョル氏

 イ氏は「韓国でも、定期的なソフトウェアアップグレード及び各サービスに最適化されたアプリケーションを提供し、お客様との責任ある関係を築き続けている。こうしたお客様への責任とお約束を、韓国にとどまらず日本のお客様の皆様にも示していく」と話す。

 日本進出について「日本は、韓国とユーザーの習慣が似ている。2年間の調査を経て発売に至った」とイ氏は説明。今回のMIVE ケースマ以外にも「タッチ機能を活かした製品」を準備しているという。このほか、子供向け製品についても今後発売する予定という。

 ALT JAPAN CEOのキム・ヒチョル氏は、一般的なスマートフォン市場はレッドオーシャンだとして、あえてニッチな市場で戦うと同社の戦略を説明する。

韓国での実績と日本向けの改良

 MIVE ケースマは、韓国で「STYLE FOLDER2」として発売された製品。同国内でもスマートフォンの操作が難しいと感じるシニア世代から好評を得ており、初代・2代目あわせて累計100万台以上の出荷実績を持つ。

 一方でレトロ回帰ブームから若年層の女性も手に取るケースがあるという。日本向けに製品名が変わったのは、わかりやすさを重視したため。「ケー」はケータイから、「スマ」はスマートフォンに由来しており、MIVEは同社の製品ブランドだ。

 キム氏は「スマホの利用時に一番難しさを感じるのはタッチパネルの操作」と説明し、ボタンでの操作を前提とするMIVE ケースマ導入の意義を示す。ディスプレイはタッチパネルにも対応しているため、必要に応じてタッチ操作もできる。

 韓国語と異なり、ひらがな、カタカナ、漢字の3つの文字種を使う日本語への対応が難しく、予測変換もうまく機能しなかったため、日本語IME「Wnn」(ウンヌ)を手がけるオムロン デジタルと協力した。

 オムロン デジタル ITソリューション事業部 営業統括部 部長の長谷川貴久氏は、重視したポイントを、ソフトウェアと物理キーボードとの融合と話す。物理キーボードとソフトウェアキーボードのシームレスな行き来に、Androidの日本語フレームワーク構築に深くかかわった、同社の知見が生かされているという。

オムロン デジタルの長谷川貴久氏

 NTTドコモの3G終了が迫るなか、キム氏によると「何があってもフィーチャーフォンがいい」というユーザーが一定数存在するという。スマートフォンには抵抗感がある一方、LINEなどは使いたいという意向もあり、MIVE ケースマはそうしたユーザーにアプローチする。

日本市場とともに成長したい

 イ氏は「日本は『心』と『志』を大切にする国。正しい心を持ち、強い志を持って挑戦すれば良い結果につながると信じている」と日本本格展開への意気込みを語る。

 続けて故稲盛和夫氏の著書「心。」に触れ「アルトと私自身も、日本のお客様と日本市場のためにどのような心構えでいかに最善を尽くすべきかを日々、そして一瞬一瞬問い続け準備を重ねていく。その誠実さを忘れずに信頼を積み重ね、責任がある姿勢を持って日本市場と共に成長していく企業でありたい」と語った。