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ドコモ、増収減益の25年度Q1 ネットワーク改善加速へ

 NTTは、2025年度第1四半期決算を発表した。NTTの売上高は3兆2620億円で利益は4052億円の前年同期比で増収減益となった。子会社のNTTドコモの売上高は1兆4901億円(+0.9%)、利益は2397億円(-13%)で前年同期比で増収減益でスタートした。

NTTの島田明社長

ドコモは増収減益

 コンシューマー通信事業の売上高は7997億円、利益は1046億円の減収減益だった。一方でスマートライフ事業の売上高は3011億円で増収となったものの、利益は594億円で減益だった。モバイル通信サービスは、前年同期比141億円の減収で、利益としては販促強化やネットワーク対策のコストがかさみ257億円の減益だった。法人事業は、売上高4560億円、利益は758億円の増収増益を達成した。

 6月に始まった新料金プランにより、ブランド間の相互の流動性は均衡に近づいたが、前年度のユーザー減の影響が大きくモバイル事業は振るわなかった。純増幅は改善が続いており、MNP数は3四半期連続のプラス成長。ハンドセット解約率は0.69%と低水準を保った。ARPUは前年同期比と同じく3920円。新プランでの大容量プラン比率拡大により、今後のARPU向上を狙う。

 金融事業はdカード会員やd払いの利用増などがあり1202億円を売り上げ、前年同期比で増収だった。「dカードPLATINUM」と投資サービス連携による金融事業の成長につなげる。今後は銀行も加わることから、サービス拡大が見込めるほかd払いアプリで「かんたん資産運用」の提供が始まっている。

 auじぶん銀行とSBI証券の提携が発表されたことを受け、SBIホールディングスに出資するNTTとしての方針を問われた島田社長は「NTTはSBI証券には出資していない。マネックス証券とSBI証券を均等な条件で取引を続ける方針に変わりはない」と話した。

NW対策や顧客施策が負担に、新プランはコンテンツ拡充していく

 通信事業の減収について、NTTの島田明社長は、マーケティングコストの増加のほか、基地局増強の影響があると話す。島田社長によると「基地局は20%ぐらい増やしている」という。一方、英Opensignalが7月に公開したレポートでは5G SAの調査で、ドコモが評価から除外されていた。

 これについて島田社長は「4Gと5Gが両方使えるところ(NSA)が多い。そういう観点で(5G SAの評価対象から)外されたのではないか。他社も数がまちまちなので、今の段階で評価するのは難しいと思っている」と見解を述べた。

 ネットワーク改善については、2024年に計画した新しい基地局の設置は、計画から上振れして完了したという。加えて「2025年は前年よりも(工事を)増やす計画」と説明。工事時期も早めていく考えを示した。また「チューニングは2024年にやり切った。渋谷などビルが建ったりなくなったりというところ以外は対応をほぼ完了した」と話した。

 新料金プランについては「値上げといわれるが、既存プランは全く値上げしていない。新しいメニューの価値に対して値段付けをしたということで、値上げを意図していたわけではない。現在の価値に対して負担していただき、コンテンツをさらに追加してさらなる満足感を得られるようにしていきたい」と語った。

 2035年を目途に光やモバイルへ移行する方針が示されたメタル固定電話については、ユーザーがほかの携帯電話事業者へ移ることも想定しているとしたが、安心感を考慮してNTTが窓口になる仕組みの構築も視野に入れる。詳細は9月に発表される見込み。

tsuzumiに新型登場へ

 NTT版「tsuzumi」は10月にアップグレード版の「tsuzumi 2」がリリースされる。日本語性能において同サイズのLLMとしてはトップクラスという。

 機密情報を扱いやすい特徴はそのままに、複雑な文脈や文意の理解力が進化。ユーザーから要望の多かった社内文書などの解釈に必要な性能を、大幅強化した。経理マニュアルの問い合わせ対応の回答精度は現行モデルの4倍に達しているという。ほかにGPUひとつで動作するなどコストパフォーマンスの高さも特徴となっている。