DATAで見るケータイ業界
携帯各社の回線数から見る2024年度の市場トレンド
2024年8月31日 06:00
2024年6月時点の携帯電話契約数は2億1,772万回線を記録し、拡大を続けている。今回は携帯回線の市場トレンドについて見ていきたい。
下記のグラフは、携帯4社の2024年6月時点の契約数を整理したものだ。NTTドコモの累積回線数は9012万回線で累積シェア41.4%、KDDIは同6848万回線で同31.5%、ソフトバンクは同5161万回線で同23.7%、楽天モバイルは同751万回線、同3.4%だった。
1年前より累積シェアよりNTTドコモは0.5%、ソフトバンクは1%それぞれ減少させる一方で、KDDIは0.5%、楽天モバイルは0.9%それぞれ増加させている。
市場全体の年間純増数は765万で、内訳は、NTTドコモが215万、KDDIが339万、ソフトバンクが-19万、楽天モバイルが230万だった。
クォーターベースの携帯会社別純増数の推移について整理したのが下記のグラフだ。
このグラフの中で特徴的なのが、6月のソフトバンクが307万の純減となっている点だろう。これは2024年4月15日に3Gサービスを終了したことで、解約が大量に発生したことが原因だ。実際、同社投資家向け説明会(2024年度第1四半期)で、「主要回線は、3Gサービス停止影響で純減 スマホは市場の流動性が高まる中、純増を継続」と記載されている。
3Gの停波では、KDDIが2022年3月31日をもって3Gサービスの提供をすでに終了しているが、その際に同じように3G回線の大量解約が発生したものの、その際は44万しかなかった。
携帯各社は停波による解約の発生では、社内でプロジェクトチームを作り、特別プランなどで4Gへの移行を進め、できる限り解約数を少なくしようと努力する。一方、ライバル会社にとっては格好の漁場に映る。すでに市場が成熟化していると言われ久しく、シェア拡大のチャンスになるからだ。
ソフトバンクIRデータから307万の純減の内訳を見ていくと、スマートフォンなど「主要回線」は15万の減少だが、やはり大きかったのは「通信モジュール等」で292万の解約が発生したことだ。同社によれば「主要回線」と「通信モジュール等」とは下記のようなものが対象となっている。
主要回線 | スマートフォン、従来型携帯電話、タブレット、モバイルデータ通信端末、「おうちのでんわ」など |
通信モジュール等 | 通信モジュール、みまもりケータイ、プリペイド携帯など |
(出典:ソフトバンク)
察するに、この中で一番影響が大きかったのが「通信モジュール」だろう。3G時代より、クルマや自動販売機などへの本格搭載が始まっている。いずれにしても約300万回線の解約市場が発生したことは、今後ここを舞台に携帯各社の争奪戦が本格化していく可能性がある。その行方に注目していきたい。